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当時小学5年の3人のクソガキ女児どもと別れ東京の会社に就職した。7年後、重いうつ病になり体調を崩し地元に帰るととんでもない事になっていた(転載中)  作者: 楽
第一章 7年

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15、唯華の怒り

 美弥がニコニコしながら俺の為に食事を作ってくれた。

 鮭に煮物に切り干し大根などなど。

 俺達は母さんと一緒に多めに作ったそれらをご馳走になる。

 そして美弥はバタバタ学校に行く為に玄関にやって来た。


「美弥、大丈夫か。時間は」

「大丈夫だよ。だけど急がないとね」


 そう美弥は言いながら急いで準備をする。

 俺は持っていた財布を覗く。

 そこに一応、ブラック企業で運転する為に取得した運転免許証が有る。

 それを見てから顔を上げて「美弥」と話しかける。

 美弥は俺を見た。


「なんつうかドライブすっか」


 その言葉に美弥は目をぱちくりした。

 それから俺は母さんに「母さん!車借りるわ!」と言う。

 すると母さんは「は?!アンタ、運転免許証は?」と聞いてくる。

 俺は「持ってる!」と大声を出す。

 そして車の鍵を借りた。


「美弥。俺、運転免許有るからさ」

「お兄ちゃん。いつの間に運転免許持ってたの?」

「クソブラックのせいで取らされたんだよ」


 美弥は眉を顰める。

 それから「そうなんだね」と言った。

 俺は「クソブラック企業にはこういう面では世話になったかもな。何故なら教習料を払わずに済んだしな」と話す。

 美弥は「うん。じゃあ学校まで連れてって」と笑みを浮かべた。


「ああ。じゃあ乗るか」


 それから俺達は車に乗りキーでエンジンをかけてからサイドブレーキを解除してから運転する。

 というか3ヶ月ぶりだ。

 事故らない様にしないとな。


 ☆


 美弥を学校に連れて来た。

 初めて見たけど美弥の学校って俺の母校だったんだな。

 そう考えながら苦笑いでミラーで美弥を見てみる。

 美弥は「ありがとう」と言った。


「じゃあまた。お兄ちゃん」


 それから車を降りてから手を振る美弥。

 そして俺はそんな美弥を見送ってからエンジンをかけてから運転した。

 そうしてから俺は商店に立ち寄る。


「おやまぁ。もしかして雪穂くんかい?」


 商店に入るなりそう言われた。

 泉の婆ちゃんだ。

 丸眼鏡にパーマが特長の。

 7年ぶりだな。


「ご無沙汰です。泉さん」

「デカくなったわね。近所で聞いたわよ。久々に雪穂くんが帰って来たって」


 泉さんはニコニコする。

 俺は「はい。その節は」と言いながら苦笑しつつ泉さんを見る。

 適当な飲み物を持ってレジに向かう。


「雪穂くん」

「はい?」

「何があったの?」


 その言葉に俺は過去を思い出す。

 7年前の3月を。

 そして首を振ってから「何もないです」と言っていると商店のドアが開いた。


「あ、やっぱり」


 そんな声の主は泉だった。

 泉とは例の同級生。

 俺は驚きながら「泉?実家出たんじゃなかったのか?」と聞いてみる。

 泉は「うん。介護福祉で働きながらだったけど退職して戻って来たんだよね。実家の家業を継ぐのに」と言う。

 相変わらずだな。


「美人になったな」

「んもー。要らないからそういうの。美弥さん達に言いなよ」

「美弥達に?ご冗談を」

「喜ぶと思うけど」

「まあな」


 そんな話をしていると商店のドアが開いた。

 そして「お兄?」と声がした。

 え?唯華じゃないか。

 何をしている?


「唯華ちゃんはお手伝いだよ」

「バイトじゃなくてか?」

「うん。お手伝いだよ。お兄」


 成程な。

 学校に行けない分、こうして手伝っているんだな。

 偉いもんだな唯華は。


「唯華ちゃんには賃金を払いたいんだけどね」

「要らないですよ。泉さん。私、こうして動いているだけで良いんです」


 という感じか。

 そう考えながら見ていると荷物を置き俺を覗き込んでからニヤッとした唯華。

 俺は苦笑して汗を流す。


「聞いたよ?お兄。自動車免許あるんだってね?」

「あの馬鹿。話したのか」

「お兄。行きたい場所があるんだけど」


 言うと思った。

 俺は「だが今はお手伝い中だろ?無理無理」と言ったが。

 泉は「お手伝いは終わったよ?」と言う。

 察しろよ。


「だから行こう。お兄」

「学校行けよお前」

「良いじゃん。デートしたい」


 デートじゃないけど。

 つーか車の運転は久々なんだ。

 事故らない様にしないとな。

 すると泉の婆ちゃんが「塩飴を持って行きんさい」と言った。

 俺達は顔を見合わせてから「ありがとうございます」と頭を下げた。

 それから泉達に別れを告げ唯華と車に乗る。


 ☆


「で、どこに行きたいんだ」

「実際、行く場所無いけどね。まあどっか連れてってよ」


 この野郎。

 そう考えながらミラーに映る笑顔の唯華から目を外した。

 それから運転していると「どうしてブラック企業に勤めたの?」と唯華が聞いてきた。

 俺は「!」となりながら前の標識を見ながら「まあそうだな。金が必要だったからな」と言う。


「だけどわざわざブラック企業に勤めなくても良くない?馬鹿じゃん」

「なりふり構ってられなかったからな」

「お兄のお婆さんの件?」

「ああ。間違いなくそれだな」

「お婆さんに心配かけたらそれこそ意味無いじゃん。だって心配されるし」


 俺は車のハンドルを見る。

 それから右に曲がったり左に曲がったりしながら山道を行く。

 俺は「確かにその通りだよ。焦りすぎて後悔ばかりだった」と言う。


「馬鹿なの?私達の気持ち考えた?悲しかったんだよ?3人で泣いてたんだから」


 ウインカーを動かしながら運転する。

 複雑な感情で反論出来ない。

 馬鹿野郎だったよ。

 だけど手術費とかの50万円は当時はマジに大金だったしな。

 ばあやを救たかっただけだ。


「唯華」


 グスッと音がした。

 少し怒る様に。

 ふてくされる様に「何」と声がする。

 俺はその言葉に「すまなかった」と言う。

 そして車は中腹に着いた。

 ここからとあるモノを唯華に見せようと思っている。

 俺だけしか知らない世界を。

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