14、通い妻?
俺は美弥を押しのけた。
それから起き上がってから「美弥。良い加減にしろ」と言う。
土砂降りの雨の音がする。
そして美弥が啜り泣く声がする。
というか音的には其方の方が大きい。
「どうして?」
「どうしてもクソも無い。俺は」
「でも唯華ちゃんを押し倒したじゃん!!!」
「あれは事故だ」
「事故!?事故って言い訳するの!?」
マズい。
美弥は完全に正気を失っている。
俺は溜息を吐いてから雨の世界を見ながら怒る美弥を見る。
そして「俺は好きとか嫌いとか分からない。そもそも言っているが俺はお前達は妹としてしか見れん」と真剣な言葉を発する。
美弥はその言葉に涙を流す。
そんな姿に俺は肩を掴む。
「俺はお前の気持ちには、そして唯華の気持ちに応えられない」
「本当にそう?信じても良いんだよね」
「俺はお前達の事はどう考えても妹としてしか考えられない」
その言葉が正解なのか不正解なのかは分からん。
だがこれは正解も不正解も無いと思う。
俺はジッと美弥を見る。
美弥は「分かった。今は落ち着く」とポツリと呟いた。
そんな顔を見ながら居ると雨の勢いが弱まった。
「お兄さん!」
そう絶叫が聞こえた。
というか心配に心配を重ねた様な声だ。
そこに雨合羽姿の未来が居た。
3本の傘を持っている。
俺は「未来か」と言う。
「何をしているの!美弥ちゃん」
「未来ちゃん」
「心配したんだから!お兄さんも心配していたんだよ!」
「ごめんなさい」
それから美弥は「ごめんなさい」と涙を流す。
段々空が晴れてきた。
そして雲が消えていっていた。
良かった。
何とか土砂降りをかいくぐったな。
「お兄さんも心配したんですから」
「そうだよな。すまない」
それから俺達は立ち上がり顔を見合わせてから唯華の家に戻る。
そしてドアを開けると唯華が居た。
唯華は無言で美弥を見ていた。
美弥は眉を顰める。
「何。唯華ちゃん」
「言い過ぎた」
その言葉に美弥は「え」と言う。
唯華は「私は身勝手すぎた」と話す。
そして「私、アルバムを観たんだ」と言う。
俺は「アルバム?」と聞く。
「幼い頃の記憶を呼び覚ます為にアルバムを観ていたんだよ」
「そうだったのか」
「そうだね。そして私達が夏祭りに行った時、ひな祭りの時とか。私、色々思い出して泣いた」
「そうだったんだな」
俺は唯華を見る。
唯華は無言で俯いてから拳を握る。
美弥も居心地悪くする。
すると未来が「じゃあ和解の印をしようか」と切り出す。
和解の印ってなんだ。
そう思っていると未来がウインクしてから「NARU〇Oです」と言う。
某有名忍者漫画かよ。
「どうして和解の印なの?」
「お互いに悪かったって謝る為の印」
「未来ちゃん……」
そして未来は唯華と美弥に和解の印をさせる。
その姿を見ながら俺は苦笑してから「お帰り」と言った。
良かった。
みんな戻って来たな。
これで元の関係になる筈だ。
☆
それから俺達は傘と雨合羽を返してから家に帰宅する。
そして明日の事を考える。
明日はコイツらは学校だが。
さて俺はどうするか。
「お兄さん」
「何だ」
「私達の学校に来ませんか」
「お前な。無理に決まっているだろ」
「参観です」
「無理だろ!」
そんな会話をしていると美弥がくすっと笑う。
「お兄ちゃん。言い忘れていたけど私、運動部なの」と言う。
俺はビックリしながら美弥を見る。
美弥は「だからいつか大会に来てね」と笑みを浮かべる。
俺は「まあ行けたらな」と言う。
そして翌日になった。
☆
懐かしい夢を見た気がする。
俺はそんな事を考えながらゆっくり起き上がる。
すると目の前に誰か居るのに気が付いた。
俺は眠気眼を擦る。
「お兄ちゃん。おはよう」
「ん。ああ。美弥か……って美弥ァ!?」
何をしてんだコイツ!?
そう考えながら俺は「お前どうした」と言う。
よく見るとセーラー制服姿だった。
俺はその姿に目をパチクリする。
「えへ。可愛いでしょ」
「あ、ああ。確かに可愛いな。ってそんな問題じゃねーよ。今何時だよ」
「午前7時」
「成程な」
俺はゆっくり起き上がる。
それから嫌な頭痛を感じながら「美弥。学校は」と聞く。
すると美弥は「行くよ。だけどその前に朝食を作りに来たの」と言う。
は?
「朝食ってなんだ」
「お兄ちゃんの奥さんになる為の練習の朝食作り♡」
「お前な」
「冗談だって」
そして美弥は「着替えるの?」と聞いてくる。
俺は「ああ。臭いしなこのままだと」と言ってから美弥を見る。
美弥は「そっか」とニコッとする。
「じゃあ部屋から出るね」
「ああ。そうしてくれ」
「それとも着替えに手助けが必要?」
「要らん!」
それからぺいっと美弥を廊下に追い出す。
そして俺は「ったく」と言いながら着替えながら周りを見渡す。
整えられた部屋。
高校時代にしていた部活の面影。
パソコン、本、趣味道具。
「嫌だな。俺の記憶は」
そんな事を呟きながら俺は溜息を盛大に吐く。
それから俺は窓から外を見る。
カーテンを開けた世界は華やかで鬱の世界だった。
変わらず灰色に見える。
「やれやれ」
俺は肩を鳴らしながらそのままズボンとシャツを着替える。
そして洗濯物を持ってから洗面所に行くと「おはよう」と母さんが居た。
俺は「ああ。おはよう」と言う。
「あら。洗濯物かしら」
「洗濯するよ」
「まあまあ。そんな事は良いから。美弥ちゃんの所に行ってあげて」
「何で家に入れるんだよ」
「なんでって美弥ちゃんが入りたがっていたから」
「母さん……」
もし俺が狼だったらどうするんだ。
美弥を食べちゃう様な、だ。
というか前も言った覚えがあるが。
すると母さんは「アンタにそんな根性無いわよ」と言ってから苦笑いを浮かべた。
「ほらほら。サッサと行った行った」
「母さん。話はまだ終わってない」
「終わったわよ。美弥ちゃんの時間無いんだから」
それから俺達は台所を抜けて朝ご飯が用意されている部屋に向かう。
全く。
そう思いながら美弥を見た。
美弥は「お兄ちゃん♪」と言いながら迎えてき




