妖精郷とお嬢様 2
2/9ご指摘を受け、一部誤字修正しました。
よろしくお願いします。
翌日はスムーズ? に目覚めることができた。
最も自力で起きたというよりはシュタイナーに乗られて重さを感じて目覚めたといった感じだ。
「おはよう、シュタイナー」
「ワン!!」
俺はシュタイナーの頭を撫でながらベットから起きようとしたら、シーツ中央が膨らんでいるのに気がついた。
「シュタイナーよ、これは?」
「ワン?」
ワンでは分かんないよ。
尻尾は相変わらずブンブン振り回してるけど。
意を決してシーツをめくるとそこには……天使がいました。
小動物のようにくるまって寝ているリサがいた。
寝顔を初めて見たが、可愛いです、リサさん!!
いやいや、ていうか、何でそこで寝てるの!?
「ワン!!」
いつの間にか、シュタイナーがリサ目の前までいき、起こそうとしている。
もう少しそのままでも良いんだよ、シュタイナー。
「う……ううん」
俺の願いも届かず、目覚め始めるリサ。
「おはようございます、ユウ。それにシュタイナーも」
挨拶がすごく上品ですねお嬢様。
「おはよう、リサ。何でここでねてるの?」
「ユウの看病をしてますもの。近くで寝ていて、当たり前ですわ。それにベットも大きいのだから問題ありませんわ」
確かに、このベットは大人用なのだろう。
俺とリサが横になってもスペースに余裕がある。
「野宿や牢屋を経験したんですもの、ベットがあればそこは楽園ですわよ」
「いやいや、問題はそこじゃ……はあ、リサが良いなら別にかまわないよ」
一緒のベットで寝ることについては、恥ずかしさや俺が意識しすぎと感じたため言葉を飲み込んだ。
「ユウ、傷を見せてくださな。包帯をかえますわ」
この方面は苦手なのであろうリサが、悪戦苦闘しながら、薬を塗って貰い、包帯をグルグル巻いてくれた。
ちなみに、俺の身体は背中と左手に大火傷、右脇腹というかアバラ数本にヒビ、右足も骨折はしてないが痛めているといったように無事なところが少ない。
「火傷の回復が早くてよかったですわ」
「ソフィアさんや桔梗さんに感謝だね」
二人の薬のおかげで、外側の傷が異常なほど回復が早く、今は痛みが少しある程度だ。
俺は、そのまま立ち上がり、「痛っ……」とアバラを押さえ声をもらしてしまう。
「身体の中には効き目が薄いようですわね。はい、これを」
そう言いながらリサは俺を支えつつ杖を渡してくれる。
その時、ドアが開かれ——
「リサ、ユウが目覚めたって聞いたけど、ホントなのー?……」
と言いながら、俺達を見たソフィアさんは固まってしまう。
「上半身ハダカの男、そこにしなだれる美少女……これはアレよね、アレ。お祝いが必要ね」
「「……えっ?」」
「大丈夫。お姉さんはわかってるわ。まだ、早い気もするけど、愛に年齢は関係ないもんね」
愛って、それは……俺は顔が赤くなるのを感じる。
リサも理解したようで、みるみる顔が赤くなる。
「「ソフィアさん!!」」
「……もう、ただの冗談よ。そんな息のあったツッコミしなくても良いじゃない」
「ふう、からかうのはよして下さい」
「そうね。まずは、目覚めてよかったわ。眠りっぱなしなんだものね」
「すいません、心配かけましたね。それにありがとうございました」
「気にしないで。それじゃ、着替えて、族長に挨拶に行きましょ」
俺はうなずき着替え始める。
◇◇◇◇◇
部屋の外へ出るとソフィアさんが——
「ようこそ。エルフの故郷、妖精郷へ」
大きな木がたくさん並び、木の葉が天井みたいに覆っている。
暗くなるはずなのに、日差しがあるかのように明るい。
しかも春のような暖かさでポカポカしている。
「わたくしも驚きましたわ。なんでもこの巨大な木々から微かな光を放っているらしいですわ」
「ほんとにすごいね。想像していた以上だよ」
「ユウ、後ろを振り返ってみて」
俺はソフィアさんに言われるまま後ろを見ると、巨大な木があった。
さっきまで俺達がいた部屋は、この木の中に造られていたんだ。
ログハウスって言っていいのかな。
継ぎ目がない大きな板を使っているなと思っていたけど、そういうことか。
「ソフィアさん、もしかして他の木もこんな感じでエルフの人が住んでるんですか?」
「だいたい、そうね。中には家を建てたりしてる人もいるわね」
周囲の木を見れば至る所に窓があり、そこが部屋だとわかる。
「ユウ、リサ。そろそろ行きましょうか」
その後、郷の中央にある広場についた。
そこには、ソフィアさん家や他の木より一回り大きな木があり、その中が集会所になっているとの事だ。
「さっ。中にどうぞ」
ソフィアさんにうながされ中に入ると、半円球の大きな空間があった。
その中央に一人の男のエルフがいた。
デザインがこったマントを羽織っていて、人間で言えば父さんと同じくらいの歳に見える。
顔は、やはりエルフだけあって顔が整っていて格好いい。
それにしてもこの顔立ち、どっかで……。
「おお、待ちかねたぞ、ユウ殿、リサ殿。わたしはオベイロン。この郷で長をしている者だ。よろしく」
オベイロン?
それって、妖精王オベイロンですか?
まさか、本に載っている人と会えるとは……貴重な経験だ。
「はじめまして、オベイロンさ……オベイロン様の方がよろしいでしょうか?」
「いや、『さん』で構わないよ。それにしても物怖じしないね、君は。リサ殿の方が年相応に見えるな」
オベイロンさんの視線がリサに向く。
俺もつられてリサへ顔を向けると、リサがカクカクした動作でお辞儀を始めている。
「は、はじめまして、オ、オベイロン様。本日は、お日柄も良く、この様な場をひ、ひら、いつっ」
舌かんじゃったようで、口元を抑えている。
「はっはっはっ、そんなに畏まらなくていいんだよ、リサ殿」
「リサ、緊張しすぎだよ」
「ユウ!! なんであなたはそんなに落ち着いてますの? あの妖精王オベイロン様ですのよ。おとぎ話でも登場する方ですわ。緊張しますわよ」
「そう言われても、緊張しないんだからしょうがないよ」
リサは呆れたように、こっちをジト目でみる。
仕方ないじゃん、緊張しないんだもん。
「さて、まずは私からお礼をさせて貰おう。ユウ殿、リサ殿、ソフィア達を助けてくれてありがとう」
オベイロンさんは、そう言いながらお辞儀をしてきた。
「いえ、そんな……俺達もソフィアさん達に協力してもらって脱出が出来たんですから……」
「そうですわ、ソフィアさん達が居なければ最後は焼け死んでましたわ」
焼け死んで……そうだね、歌やエルフの魔術がなければ死んでたね、あの時。
「そう言ってくれるとありがたい。しかし、助けて頂いたのは事実だ。ありがとう」
「族長、そのへんにしましょう。私、お腹が空きました」
「うむ、そうだな。では、ユウ殿、リサ殿、上で食事を用意しているのだ。朝食を一緒に食べよう」
俺とリサは「はい!!」と返事をし、上の階へ上がった。
階数で言えば三階なんだが、窓の外を見るとかなり見晴らしが良く、普通の家で言えば七階くらいの高さだった。
俺、リサ、オベイロンさん、ソフィアさんでのテーブルを囲み食事を始める。
料理の内容は、ポタージュや茹で料理だったりと野菜中心だった。
それでも複雑な味付けで単調なものはなく美味しかった。
「これからの事だが、傷が癒えるまでゆっくりとしていくといい。その後、君たちの住んでいる場所が分かれば、近くの森まで送れると思うよ」
「どうやって家に戻ろうかと考えていたので、助かります。ありがとうございます」
「ありがとうございますですわ、オベイロン様」
ほんとにありがたい。
ここがどの辺にあるのか悩んでいたんだよね。
「それなら、明日か明後日にでも帰ろうと思います。よろしいでしょうか?」
「構わないが、そんなに急がなくても良いのではないか?」
リサも「そうですわ」と俺を見ながらうなずく。
「リサ……俺達、村を出てから何日経ってると思ってるの? もう一週間近くだよ」
「う、そうでしたわ。お師匠様やシリウス様、それにローザ様……」
リサも納得してくれたようだ。
「家族のものが心配しているようだな」
まあ、父さん達がリサの心配をしているのは確かだが、俺の心配はしてくれてるのだろうか?
「分かった。それでは、出発は明後日にしなさい。それまでに『道』の準備を完了させよう」
「準備に時間がかかるんですか?」
「『道』はな、決められた場所との繋がりなら準備なしで行けるのだが、それ以外の場所と繋がるには時間がかかるんだよ」
それだと一つの疑問が浮かぶ。
「あれ? それでしたら俺達が脱出した際は、時間かかりませんでしたよね?」
「言い方が悪かったな。簡単に言ってしまえば、迎えるのに準備はいらず、送り出すのに準備が必要なんだよ。そして繋がっている場所とは準備がいらず、送り迎え可能だ。ユウ殿の時は、迎えだからすぐに『道』が開いたんだよ」
「なるほど、理解しました。それで準備に明後日まで必要何ですね」
あとは明後日までどうしようかな。
「今日と明日は郷を見て回ったりするといいだう。娘を、ソフィアを案内役にしよう。構わないな、ソフィア」
「もちろん、構わないわ」
「ええっー!! ソフィアさん、オベイロン様のご息女なの?」
リサは今、気が付いたんだね。
まぁ、オベイロンさんとソフィアさんの顔立ちが似ていたからもしかしてと思っていた俺は納得だ。
「リサちゃん、そんなの気にしないでねー。今までみたいに仲良くしてね」
そんなソフィアさんの笑顔にリサもつられて笑顔になる。
「ユウ殿、明日お時間を頂きたい良いかな? ちょっとお茶に付き合って貰いたい」
「もちろん構いませんよ」
「ありがたい。旅立つ前に話をしておきたいと思っているのだ」
どんな話だろ?
話の内容が気になりつつ、こんな感じで朝食は終わった。
そのままソフィアさんガイドによる妖精郷観光のために俺達は広場に向かう。




