91 漣と真紀のスキルチェック
翌日の朝、俺たちは朝食を終え、居間に集まっていた。
漣と真紀さんが向かいに座る。
俺は二人を見ながら言った。
「じゃ、いくよ。《鑑定》」
二人に向かって《鑑定》を発動する。
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名前:藤堂 漣 年齢:18歳
職業:武闘家 能力:拳聖
レベル:39
固有スキル:阿修羅業火、迅雷風烈
受動スキル:剛拳無双
武器スキル:素手
(瞬光連鎖、轟天連脚、爆熱連閃、爆炎連撃、地獄の火炎劇)
魔法スキル:火魔法
(ファイアアロー、ファイアストーム)
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名前:山本 真紀 年齢:16歳
職業:魔導士 能力:全知の系譜
レベル:37
固有スキル:至高障壁
受動スキル:神智根源、魔皇の息吹
武器スキル:杖
魔法スキル:火魔法
(ファイアーボール、ファイアアロー、ファイアストーム、ラグナロク・フレア)
水魔法
(ウォーターボール、ウォータージェット、アクアブレイク)
風魔法
(ウィンドカッター、サイクロン、ブラストトルネード)
土魔法
(ストーンバレット、ストーンウォール、アース・シェイカー)
生活魔法
(火、水、風、土)
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鑑定結果を伝えると、二人はしばらく固まっていた。
先に口を開いたのは漣だった。
「待て待て待て」
頭を押さえながら言う。
「俺、武闘家だよな?」
「そうだね」
「なのに火魔法使えんの?」
「使えるみたいだね」
「なんだそれ」
漣は本気で困惑していた。
「殴っても強い」
「蹴っても強い」
「遠距離攻撃までできる」
「ズルくねぇか?」
「自分で言うな」
真紀さんが即座に突っ込む。
だが漣は気にしていない。
むしろ興奮していた。
「それより地獄の火炎劇ってなんだよ」
「名前からしてヤバそうなんだけど」
「俺も初めて見た」
「怖いから街の外で試そう」
「それはそうだな」
二人で頷く。
すると今度は真紀さんが身を乗り出した。
「私も凄くない?」
「固有スキルあるんだけど!」
「今まで私だけ固有スキル無かったんだよ!」
嬉しそうだ。
だが次の瞬間、真紀さんの表情が変わる。
「……待って」
「神智根源って何?」
「魔皇の息吹って何?」
「私、魔王になるの?」
「知らないよ」
「なんで私のスキルだけ中二病が重症なの!?」
部屋に笑いが起きた。
真紀さんは頭を抱える。
だが顔は嬉しそうだった。
二人とも確実に強くなっている。
俺は思ったことを口にした。
「そういえばさ」
「漣も真紀さんも《ファイアアロー》《ファイアストーム》が使えるよね」
二人が頷く。
「同じ魔法を重ねて撃ったらどうなるんだろう?」
二人が同時に目を見開いた。
「確かに……」
漣が呟く。
真紀さんも腕を組んだ。
「若葉と同じ水魔法を使うことはあったけど、重ね掛けはやったことないな」
「どうなるんだろうね」
興味深い。
後日試してみることになった。
その時だった。
視線を感じる。
見ると、マナが子犬のような目でこちらを見ていた。
その横では雪乃さんも羨ましそうな顔をしている。
俺は苦笑した。
「二人とも久しぶりにスキルチェックする?」
二人は同時に何度も頷いた。
俺は《鑑定》を発動する。
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名前:鈴木 雪乃 年齢:28歳
職業:斥候 能力:千眼の先見
レベル:38
固有スキル:
気配察知、気配遮断、韋駄天、罠感知、罠解除、罠設置
受動スキル:
千里眼、電光石火、先遣の眼、重力との戯れ
武器スキル:小剣
(カットイン、ホークブレイド、ソニックピアス、牙突、瞬穿、千本桜、疾風陣)
魔法スキル:なし
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名前:御厨 茉奈 年齢:11歳
職業:運搬屋 能力:神速の宅配師
レベル:34
固有スキル:次元収納、念動収納
受動スキル:なし
武器スキル:弓
(チャージショット、アローレイン、ハートシーカー、ゴッドスレイヤー)
魔法スキル:時空魔法
(テレポート、スロウ、クイック、ヴェール、スラッシュ、ゲート、エコー)
生活魔法
(清、火、水)
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結果を伝えると、雪乃さんが首を傾げた。
「そういえば近頃、変なことができるようになったんです」
変なこと?
「全体を上から俯瞰できるんですよ」
「ドローンが上空から撮影してるみたいに」
そこまでは分かる。
だが雪乃さんは続けた。
「あと、浮けます」
「……は?」
漣が間抜けな声を出した。
雪乃さんは軽くジャンプする。
そのまま。
落ちてこない。
ふわりと空中に浮いた。
真紀さんが絶句する。
漣は椅子から立ち上がった。
数秒後。
雪乃さんはゆっくり着地する。
「ね?」
そう言って微笑んだ。
「ね?じゃねぇですよ!」
漣が叫ぶ。
「浮いてますよ!」
「人が!」
俺も同意だった。
するとマナが手を挙げた。
「私も新しい魔法があります」
「《ゲート》と《エコー》です」
そして説明を始めた。
「《ゲート》は門を設置する魔法ですね」
「設置した門同士なら、私がいなくても移動できるみたいです」
全員が固まった。
真紀さんが恐る恐る聞く。
「それって……」
「荷物も?」
「運べます」
「人も?」
「運べます」
沈黙。
「ヤバくない?」
真紀さんが呟いた。
俺もそう思う。
国家規模で欲しがる能力だ。
「《エコー》は遠くの相手に言葉を届ける魔法です」
そこまで説明したところで、マナがしゅんとした。
「でも……」
「藤堂のお兄ちゃんみたいな凄い技じゃないし」
「真紀お姉ちゃんみたいな派手な魔法でもないし」
「戦闘にはあまり関係ないですよね」
「やっぱり私、役に立たないですね」
「ごめんなさい」
全員が同時に言った。
「いやいやいやいや!」
マナがびくっとする。
俺は真面目な顔で言った。
「《ゲート》があれば物流が変わる」
「救援も補給もできる」
「前線強化もできる」
「国家でも欲しがる能力だぞ」
マナはぽかんとしていた。
俺はさらに続ける。
「《エコー》もそうだ」
「伝令が不要になる可能性がある」
「情報伝達は戦争でも商売でも最重要だからな」
すると漣がステータスを見ながら呟いた。
「待て」
「ゴッドスレイヤー?」
二度見している。
「神殺し?」
「神殺しだな」
「なんで運搬屋が神殺し持ってんだよ」
真紀さんも頷く。
「私も気になった」
「ゲート」
「エコー」
「テレポート」
「時空魔法」
「これ戦争変わるレベルじゃない?」
俺は頷いた。
そしてマナの能力を説明した。
・大量の物資を収納できる
・時間を操作できる
・空間を隠せる
・空間を切り裂く攻撃ができる
説明が終わる頃には二人とも完全に黙っていた。
しばらくして漣が言う。
「なあ佐伯さん」
「俺の地獄の火炎劇よりヤバい?」
「比較にならないと思う」
「えぇ……」
漣が天井を見上げた。
すると雪乃さんが微笑みながら言う。
「マナは神様みたいな力を持っているんですよ」
マナは照れ臭そうに笑う。
「そんなことないよ」
「へへへ」
その様子を見ながら俺は苦笑した。
そして思う。
もしかすると――
俺たちの中で一番規格外なのは。
マナなのかもしれない。




