↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/115

64 (閑話)マナから見た二人

最近の二週間ほど、私たちは拠点に籠もって生活している。


三人で過ごす毎日は穏やかで、とても楽しい。


佐伯さんはその間ずっと、パンを焼いたり、ドライフルーツやシロップ、塩を作ったりしていた。


三人分の食事作りは、私と雪乃さんの担当だ。


雪乃さんは料理をしながらも、佐伯さんが美味しそうに食べる姿をいつも嬉しそうに眺めている。


そういえば、ワイン作りにも挑戦した。


私と雪乃さんでヤマブドウを踏み潰し、佐伯さんが出来上がったブドウ汁を丁寧に樽へ詰めていく。


その作業を見つめる雪乃さんの目は、とても優しかった。


魔物狩りや素材収集にも三人で出かける。


やっぱり佐伯さんと雪乃さんは強い。


最近は本気で、この二人が最強なんじゃないかと思うことがある。


グレートボアなんて、佐伯さんが棍棒を一振りするだけで倒してしまう。


ワーラットが十匹以上現れても、雪乃さんが≪韋駄天≫で一瞬のうちに片付けてしまう。


私の出番なんてないんじゃないかと思うこともある。


だけど、そんな時でも二人は必ず声をかけてくれる。


「マナ、先制攻撃!」


「援護射撃頼む!」


言われた通りに攻撃すると、戦闘後に雪乃さんが頭を撫でてくれる。


「助かったよ。ありがとうね、マナ」


その言葉が嬉しい。


近頃は二人とも「茉奈ちゃん」ではなく「マナ」と呼んでくれる。


それが少しだけ誇らしかった。


なんだか本当のお父さんとお母さんみたいだ。


周辺を探索している時も、雪乃さんは≪気配察知≫を使いながら佐伯さんのことを見ている。


器用だなと思う。


たまに佐伯さん抜きで、私と雪乃さんだけで周辺警備に出ることもある。


その時の雪乃さんは、分かりやすいくらい残念そうな顔をしている。


ちょっと可哀想になるくらいだ。


でも村へ戻ると――。


「お帰り。怪我してない?」


佐伯さんがそう声をかける。


すると雪乃さんは顔を真っ赤にしながら、


「た、ただいまです!」


「はい! 怪我はありません!」


と満面の笑みで答える。


その様子を見ていると、たまには別行動も悪くないのかもしれないと思ってしまう。


ある日。


佐伯さんが大豆から作る醤油の研究をしていた。


雪乃さんは少し離れた場所から、その様子をうっとりと眺めている。


私は意を決して、小声で聞いてみた。


「そんなに好きなら、告っちゃえばいいじゃん」


すると雪乃さんの肩が大きく跳ねた。


顔が一瞬で真っ赤になる。


「む、無理だよ……」


泣きそうな声だった。


「私なんか相手にしてもらえないよ……」


さらに小さな声で続ける。


「それに……」


「この気持ちを伝えたら、今の関係でいられなくなる気がして……」


そこまで言うと、雪乃さんの目から涙がこぼれた。


私は思わず固まってしまう。


ここまで本気だったんだ。


完全に恋する女の人じゃないか。


これは雪乃さんから告白するのは無理そうだ。


となると――。


佐伯さんから動いてもらうしかない。


でもなぁ。


佐伯さん、ものすごく鈍感だからなぁ……。


私は小さくため息をついた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。