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49 活動指針

準備した昼食は、みんなで召喚の広間へ運ぶことにした。


理由は単純だ。


ここが一番落ち着くからである。


おそらく、この場所はかつてエルニア教の教会だったのだろう。


巨大な女神像が見守る空間は、不思議と心が安らぐ。


食事を並べ終えると、三人で昼食を始めた。


「うわ、このお肉すごく美味しい!」


「本当ですね。シロップを塗るとパンが別物みたいです」


「これなら毎日でも食べられそう!」


そんな感想を言い合いながら、和やかな時間が流れていく。


昨日までの張り詰めた空気が嘘のようだった。


食事が一段落したところで、俺は午前中の成果を報告する。


「まず、聖水の泉が見つかった」


「おかげで生活用水の心配はなくなったよ」


二人の表情が明るくなる。


「それから塩作りにも成功した」


「果物のシロップも作れたし、酵母の仕込みも終わってる」


「酵母は数日待つ必要があるけど、順調にいけばパン作りもできるはずだ」


そこまで話すと、雪乃さんが微笑んだ。


「順調ですね」


その一言に、俺も自然と笑みが浮かぶ。


続いて、今度は雪乃さんの番だった。


彼女は広間の床に指で簡単な地図を描きながら説明を始める。


「まず一つ目です」


「この廃村の周辺には、強い魔物の気配はありませんでした」


それはありがたい情報だった。


今の俺たちにとって、安全な拠点は何より重要だ。


「そして二つ目ですが――」


雪乃さんは地図の西側を指差す。


「ここから西へ三日ほど歩いた場所に、関所のような施設があります」


「ただ、人の気配はありませんでした」


「その周辺には魔物の気配が多く、その中に少数ですが人の気配も混じっています」


少し考えてから続ける。


「おそらく旧レイモンド伯爵領だと思います」


「魔物の侵攻を受けている土地ですから、この廃村の住民たちも、その脅威から逃げ出したのではないでしょうか」


なるほど。


それなら廃村になった理由にも説明がつく。


雪乃さんは今度は東を指差した。


「三つ目です」


「ここから東へ半日ほど歩いた場所に、多数の人の気配を感じました」


「おそらくゼストです」


「道中に強い魔物の気配はありませんでした」


その言葉に俺は頷く。


これなら予定通りゼストへ行けそうだ。


最後に雪乃さんは南を指差した。


「四つ目です」


「ここから南へ五日ほど進んだ場所に、大きな森があります」


「西側で感じた魔物とは比較にならないほど強い気配を感じました」


「ですが、不思議とこちらへ侵攻してくるような雰囲気はありません」


「おそらくアズールの森だと思います」


アズールの森。


ガイル帝国へ続くとされる危険地帯。


今は近づくべき場所ではなさそうだ。


報告を聞き終えたところで、俺は口を開く。


「午後からは周辺の魔物を狩ろうと思う」


二人の視線が集まる。


「聖水の効果を確認したいし、魔物肉が本当に食べられるのかも試したい」


「雪乃さんの調査によると、周辺の魔物は弱いみたいだしね」


二人は揃って頷いた。


すると雪乃さんが思い出したように言う。


「あ、そういえば畑がありました」


「何か作物が育っています」


「それと、ブドウらしき植物も自生していました」


「佐伯さんに確認してもらえれば、今後に活かせるかもしれません」


「それは助かるな」


俺は大きく頷いた。


そして最後に今後の予定を伝える。


「明日は休養日にしようと思う」


「ここ数日、かなり慌ただしかったからね」


二人とも納得したように頷く。


「それで明後日、ゼストへ向かう」


「パンの材料を調達したいし、冒険者登録もしたい」


「商業ギルドの確認や情報収集もしておきたいからな」


少し考えてから付け加える。


「一泊か二泊はするつもりだ」


「そのつもりで準備しておいてくれ」


そう言うと、雪乃さんと茉奈ちゃんは力強く頷いた。


三人の視線が自然と重なる。


逃げるだけだった旅は終わった。


ここからは、自分たちの未来を切り開くための旅が始まるのだ。


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