↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/110

36 セル村の宿にて②

「あの……」


それまで黙って話を聞いていた茉奈ちゃんが、おずおずと手を挙げた。


俺と雪乃さんは同時に視線を向ける。


「どうしたの?」


そう促すと、茉奈ちゃんは少し緊張した様子で口を開いた。


「もし廃村へ行くなら……私、みなさんの力になれるかもしれません」


その言葉に俺と雪乃さんは顔を見合わせる。


「力になれる?」


雪乃さんが聞き返すと、茉奈ちゃんは大きく頷いた。


「《テレポート》っていう魔法を覚えたみたいなんです」


「行ったことのある場所を思い浮かべると、その場所へ移動できるみたいで……」


「だから廃村にも行けるんじゃないかなって」


一瞬、言葉を失った。


テレポート。


聞き間違いでなければ、とんでもない魔法だ。


雪乃さんも驚いたように目を見開いている。


「それ、本当なの?」


「たぶんです。何となく使い方が分かるというか……そういう感覚があるんです」


茉奈ちゃんは少し不安そうに答えた。


この世界に来てから何度も見てきた。


スキルや魔法は、ある日突然『使い方が分かる』ことがある。


だから嘘ではないのだろう。


むしろ問題は、その効果が本当なら俺たちの計画を大きく前進させることだった。


そんな中、茉奈ちゃんが少し照れたように笑う。


「それと……他にも色々変わったみたいなんです」


「良ければ佐伯さんに見てもらえませんか?」


俺は思わず笑みを浮かべた。


「もちろんだよ」


「じゃあ見てみようか」


そう言って《鑑定》を発動する。


すぐに情報が流れ込んできた。


===============================================

名前:御厨 茉奈  年齢:11歳

職業:運搬屋   能力:神速の宅配師

レベル:5

固有スキル:次元収納、念動収納

受動スキル:なし

武器スキル:弓

(チャージショット、アローレイン)

魔法スキル:時空魔法

(テレポート)

      生活魔法

(清、火、水)

===============================================


思わず苦笑する。


なんだか、とんでもないことになっていた。


数日前に見た時はレベル2だったはずだ。


それが今ではレベル5。


武器スキルも増え、魔法まで習得している。


そして何より《テレポート》。


本当に記載されている。


俺は内容をそのまま伝えた。


すると茉奈ちゃんは嬉しそうに声を上げた。


「生活魔法は若葉さんと真紀さんに教えてもらったんです!」


「あっ! 弓の技も増えてる!」


「やったー!」


年相応の無邪気な笑顔だった。


そんな茉奈ちゃんの隣で、雪乃さんがじっとこちらを見ている。


何か言いたそうな視線だ。


「雪乃さんも見ます?」


そう聞くと、


「えっ、本当にいいんですか?」


と、予想以上に食いついてきた。


しかも満面の笑みである。


俺は思わず苦笑しながら《鑑定》を発動した。


===============================================

名前:鈴木 雪乃  年齢:28歳

職業:斥候   能力:千眼の先見

レベル:10

固有スキル:気配察知、気配遮断、韋駄天

受動スキル:千里眼、電光石火

武器スキル:小剣

(カットイン、ホークブレイド、ソニックピアス)

魔法スキル:なし

===============================================


こちらも驚いた。


固有スキルが増えている。


《韋駄天》。


どう考えても移動系のスキルだろう。


固有スキルは増えないものだと思っていたが、どうやら違うらしい。


結果を伝えると、雪乃さんは納得したように頷いた。


「やっぱりそうなんですね」


「最近、さらに身体が軽くなった感覚があったんです」


「今なら壁くらい走れそうな気がします」


さらっと凄いことを言い出した。


壁を走るって何だ。


忍者か。


だが、この世界なら本当にできるのかもしれない。


そして俺はふと思い立ち、自分にも《鑑定》を使ってみる。


===============================================

名前:佐伯 一樹  年齢:46歳

職業:商人    能力:万物の理

レベル:19

固有スキル:鑑定、分解、分析

受動スキル:経験値倍化、異相共鳴

武器スキル:棍棒

(連撃、兜砕き、大車輪、乱打)

魔法スキル:なし

===============================================


「おお……」


思わず声が漏れた。


レベルは十九。


そして固有スキルが増えている。


《分析》。


名前からすると《鑑定》の発展系だろうか。


さらに武器スキルも増えていた。


《大車輪》。


《乱打》。


どちらも攻撃技であることは間違いない。


今度の戦闘で試してみる必要がありそうだ。


俺が結果を伝えると、二人とも《分析》という言葉に興味を示した。


「それ、便利そうですね」


「どんなことが分かるんでしょう?」


茉奈ちゃんが首を傾げる。


だが現時点では俺にも分からない。


「明日、色々試してみようか」


そう提案すると二人とも頷いた。


こうして今後の方針を再確認したところで、この日の話し合いは終わりとなった。


部屋を出ていく二人を見送りながら、俺は改めて考える。


《テレポート》。


《韋駄天》。


《分析》。


俺たちは確実に強くなっている。


そして少しずつだが、この世界で生き残るための力を手に入れ始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。