↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/114

02 ここどこだ?

まぶた越しに感じる光が、徐々に弱まっていく。


恐る恐る目を開くと、そこには巨大な女神像がそびえ立っていた。


思わず息を呑む。


優に十メートルは超えているだろうか。白い石で造られたその像は、荘厳という言葉がよく似合う姿をしていた。


そして俺は、自分が見知らぬ広間の中央に立っていることに気付く。


周囲には、俺と同じように戸惑った表情を浮かべる人間が数人。


さらにその外側を囲むように、中世の騎士を思わせる鎧姿の男たちが何十人も立ち並んでいた。


全員が槍や剣で武装している。


物騒な光景だ。


映画の撮影か何かだろうか。


そんな考えが頭をよぎるが、どうにも空気が違う。


妙に張り詰めていて、冗談や演技には見えなかった。


「ここどこだ? なんだお前ら?」


突然、若い男の声が響いた。


声の主は制服姿の青年だった。


高校生だろうか。


その隣には同じ制服姿の少女が寄り添っている。


さらに近くには同年代と思われる男子生徒が二人。その後ろには女子生徒が一人、怯えたように身を縮めていた。


どうやら同じ高校の生徒らしい。


少し離れた場所には小学生くらいの少女が一人。


今にも泣き出しそうな顔で周囲を見回している。


さらにその先には、二十代後半から三十代前半ほどの女性。


スーツ姿からして会社員だろう。


どうやら俺以外にも巻き込まれた人間がいるらしい。


もっとも、顔見知りは一人もいなかったが。


周囲を観察していると、騎士たちが一斉に武器を収めた。


そして数歩後ろへ下がる。


何かが始まる。


そんな予感がした。


次の瞬間、女神像の前に三人の男女が姿を現した。


最初に目を引いたのは、豪華な衣装に身を包んだ中年の男だった。


貴族。


そんな言葉が真っ先に浮かぶ。


男は堂々と胸を張り、自らをアニストン・ギルモアと名乗った。


ギルモア辺境を治める辺境伯らしい。


「こちらはアルステア教大司教、シルビア・ベネディクト殿だ」


辺境伯の言葉に続いて、横の女性が頭を下げる。


そして三人目。


こちらは名乗りも紹介もなかった。


ただ、先の二人より半歩後ろに立ち、まるで威嚇するような視線を俺たちへ向けている。


護衛か。


それとも別の何かか。


俺が考えていると、アニストン辺境伯が大きく両手を広げた。


「ようこそ、ギルモア領へ!」


広間によく通る声だった。


「我らは、そなたら異世界人を歓迎する!」


周囲がざわつく。


高校生たちは顔を見合わせ、小学生の少女は完全に固まっている。


――アルステア教?

――ギルモア領?

――異世界人?


頭の中で単語を並べてみる。


どれも現実味がない。


大がかりなドッキリ。


新興宗教の集会。


誘拐。


いくつか可能性を考えてみるが、どれもしっくりこなかった。


何を言っているんだ、この男は。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。