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青き碧の仲間たち  作者: 高階闇堂
寮生活2日目
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24/25

寮生活2日目(阿貴の目覚め)

寮生活、2日目


翌朝。

「んぅ…」

阿貴が目を覚ました時、最初に視界に入ったのは、見知らぬ天井だった。

否、見知らぬ、というのは語弊がある。正しくは、見慣れない天井だった、というべきだろう。

自宅の、自分の部屋の天井ではない。

まだ寝起きでぼうっとなっている頭で数秒の時間をかけて、漸く理解する。


僕、寮に入ったんだった─────と。


薄いカーテンから入り込む朝の光。

かすかに外側から聞こえる足音。

自分が寝ていたベッドの感覚。

その全てが、昨日の朝まで暮らしていた自宅の部屋と違っていた。

今日から、ここが僕の部屋。

その実感だけが、胸に落ちた。


前日は、たった1日いただけなのに、やけに濃厚な1日だった、と思う。

重い荷物を引きずって寮にたどり着いて。

最初に女子に間違われて女子寮に案内されかけて。

部屋に入ったと思えば、突然美少女(?)が窓から入り込み。

その人物に「同室だよ」と自己紹介されて。

そして─────


阿貴は、そこまで反芻して「その時」の事を振り払うように頭を軽く振った。


思い出したくない。

でも、忘れられない感覚。

このまま続いてたらどうなっていたんだろう。

ただ、怖くて突き飛ばして。


その後の事は、よく覚えていない。

ただ、寮長が成美に対して本気で怒り、その成美と一緒になって土下座してきたこと。

もう一人の先輩─────誠伍は春海に責任を取らせる意味で、先に部屋を出ていた事。

土下座された時、その様子に、そこまでしなくても、と言いかけたことくらい。


阿久津成美。

その相手は、その時から一度も部屋に戻ってきていないようだった。


目を覚ましてその事に気が付いた時。

胸に去来したのは、果たして安堵か。

阿貴は、一つため息をついて、改めて、昨日から自分の居場所になったこの部屋を見回す。

昨日はいろいろな事がありすぎて、そこまで気が回らなかったが。


そこで、改めて、いくつか違和感に気付く。

まず、自分側のスペース。

まだいくつかの段ボールは片付ききれていない。

昼間力尽きて、説明会まで寝てしまった後、どうにか「今必要最低限」の衣類、タオル、私物を出しただけの、まだこの部屋に馴染み切っていない、取っ散らかった感がある。

対して、成美側は。

昨日が()()()()()()()()()()()だったはずなのに。

何故か、()()()()()()()()()()()()()感じすら漂ってくるほど、部屋の配置が馴染みすぎていた。

雑に散乱した雑誌類。

机に放置されているヘッドホンと私物なのだろうタブレット。

何故かあるヘアゴムとか小物類。

その全てが、当人はそこにいないのに、前々からここにいた体温すら感じられた。


先に来ていた、では説明が付かない。

阿貴が入寮したのは昼前だった。

成美が先に来ていた、と考えても、その差はせいぜい数時間程度。

それだけでこれほど生活感に差が出るとは、思えない。

そして。

成美は昨夜、()()()()()()()()()()()()()


冷静になって考えたら、違和感はそれだけではなかった。

自分と同じ新入生であるはずの成美と、寮長である春海、そしてもう一人の先輩である誠伍。

この三人の距離感だ。

成美が、先輩であるはずの二人を平気で名前を呼び、タメ口で接していて。

二人もそれを無礼とも思わず、ごく普通に受け入れていたように見える。

昨日知り合ったばかりの相手同士の距離感ではない。

仮に、三人とも中等部から持ち上がりで以前から知り合いだった、とするならあるいは説明もつくが。

それでも、少なくとも先輩後輩の関係とは思えない距離感だった。


それに、説明会の件もある。

昨日、阿貴はあの一件の後、力尽きて寝てしまい、説明会の時間までそのままだった。

だからこそ、覚えている。

同じ日に入った新入寮生は、全員が食堂で顔をそろえるはずだった。

なのに。

少なくとも、阿貴が見た限り、そこに成美の姿はなかった。

新入生、のはずなのに。

同じ部屋の住人であるはずなのに。


しかし、そこまで考えて、阿貴は小さく首を振った。

何か事情があるのかもしれない。

だけど、昨日会ったばかりの自分が気軽に踏み込んでいい話ではない。


何よりも。

そんな事を考えるより先に、阿貴にはやるべきことがある。

中途半端に広げたままの自分の荷物の整理だ。

やっと寮生活が二日目に入りました…どんだけ時間かけるつもりなんだ、なんて言わずに気長に付き合っていただけると幸いであります。

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