寮生活、2日目…の前に。Side成美
昼間、春海と誠伍に詰め寄られた勢いで口に出してしまった言葉が、今でも頭の中をぐるぐる回っている。
「ぼく、あの子の事、本気で好きになっちゃんたんだもんっ!」
口にする前まで、言語化できなかった感情だった。
直接会うまでは、本当に、ドッキリの範疇を超えるつもりは全くなかった。これだけは真実だった。
初対面のインパクトで驚かせて。
自分の見た目を最大限に活用して、誘惑して、ドキドキさせて。
内心、勢いで襲われちゃっても、それはそれで楽しそうだよね、って思いながら。
だが。
窓から入り、驚かせて、その顔を見た瞬間、その全てが頭から消えた。
真っ先に去来した思いが、
─────可愛い
次に、
─────どうしよう
そして、ついに頭の中で、
─────欲しい
その思いだけが、頭の中で回っていた。
多分、それだけで熱に浮かされていたんだろう。
気が付いたら、距離を詰めていて。
押し倒して。
キスまでして。
舌まで入れて。
そして、その相手から悲鳴とともに突き飛ばされた。
床に倒れて、頭をぶつけて。
誠伍に蹴られ、怒鳴られ。
春海にも土下座させられながら怒鳴られて。
一日二人の部屋に閉じ込められてても。
まだ、自分が何故こんな事をしたのか、まったくわかってなかったのに。
勢いにつられて、口に出してしまったことで。
─────ああ、ぼくは─────
あの子が、欲しかったんだ─────
やっと、腑に落ちた。
そして、同時にわかってしまった。
あの子があんな顔した理由も。
悲鳴を上げ、突き飛ばされたのも。
ぼくが、怖かったんだ─────
今更になって、思い知った。
幕間的な要素はここまで。次回から本編に戻ります。




