ほのめかし
「ヤマト氏。ちょっといいかね?」
リコールさんに呼び止められた。
真の仲間(候補)に手続きを頼み、俺は会議室に残った。
「君のスキル、実に興味深い。マナ濃度が向上する中、その格好は外部の魔力干渉に強い抵抗値を示している」
「耐性付与の装備なんて、ありふれてません? 火魔法無効のアクセサリーとか?」
「属性レベルのそれじゃないねえ。マナはどこにでも存在するがゆえに、もっと上位概念の領域だ」
白衣の美人がメガネをくいっ。
「私もそれなりに鍛えたウィザード。魔法系のステータスは君より大きいはず」
「でしょうね」
「それでも、魔力干ばつに対して無力に等しいじゃないか。目下、ファイアボールを一発唱えるのが限度。それ以上は――発動しない。実に無力だよ」
とにかく、魔法のコスパが悪い。
それが、異世界パストロールの特徴。
あまつさえ、魔力枯渇でコスト三べえだ。
「エネルギーの包括的循環機能。それを無意識に体現したとは、なかなかどうして面白い」
「理屈で考えない方がいいですよ。この触手、ユニークスキルらしいんで」
ユニークスキルとはっ。転生者が気持ち良く! 俺TUEEE! が優先される。
それを遮ろうとした刹那、ご都合主義でぜぇ~んぶ解決。意見した者の末路とは。
……あの~、すいません。ぼく、全然無双できないんですけどぉ?
リコールさんが瞳を怪しげに光らせた。
「ほう! カオス理論の使い手だねえ。ぜひとも、実験もとい研究対象にさせてくれたまえ」
「あーっ、ミューたちが待ちぼうけでイライラしてる! 俺には分かる! だって、真の仲間だから!」
これが、通じ合う絆というやつか。違うよ。
「クク、吉報を期待しているよ。おそらく、魔力循環に介入できるのは――」
マッドサイエンティストの匂わせを食らった気がするものの、杞憂にしておく。
なんせ、俺は自衛玄人。
ネタバレ対策にSNS禁止、動画のサムネ回避、余裕なのだから。




