時代劇でも濡れ場はある
サービスシーン?
ないよ、んなもん。
俺は硬派な男、ヤマト。
自分、不器用ですからの権化。
バニラクリームチョコホイップダークモカマンゴーソースフラペチーノで喉を潤していく。
ったく、コーヒー牛乳なる昭和のドリンクは口に合わないぜ。
ぬりゅぬりゅぬりゅぬりゅ。
対して、女湯を覗くために荒ぶる触手。
柔よく剛を制すと言わんばかりに軟派な化身。柔道に謝って。
「まあ、ゲルはソフトな質感だよな」
休憩スペースで待機中。
その辺にあった椅子をツボ押しチェアにクリエイトし、血行促進を促していると。
「お待たせ」
クリスたちが暖簾をくぐり戻ってきた。
紅潮した頬が艶っぽく、一瞬目を逸らしてしまう。
「お帰り。ゼリー風呂、どうだった?」
「プニプニしてた」
「プニプニ?」
「えっと、なんというか……柔らかいスライムに包まれる感覚よ」
スライムに飲み込まれる感覚……? 卑猥なやつか!
俺は健全な男、ヤマト。
パストロールは全年齢向け異世界。だから、高校生が転生しても大丈夫。
「あーね? これがゼラチンっしょ? 凝固されたフルーツの気持ち、マジ理解」
「美少女果実……美人エキス配合……」
「超エロじゃんっ。ヤマちょ、お年頃かー」
フィオナが大口開けて抱腹絶倒。
「う、ううんっ。最少は戸惑うかもしれないけど、段々癖になるわね。魔力も回復したし、リラクゼーションの一つと考えればいいんじゃないかしら?」
「流石、触手マッサージ評論家。クリスさんが満足レベルは合格だろ」
「そんな肩書持ってないから」
「え、じゃあ風呂上がりのストレッチ要らない? お前ら、撤収しろー」
ぬるうん!?
「……いるに決まってるでしょ」
濡れた金髪をまとめた美人が、ぷいっとそっぽを向いた。
「てか、風呂上がりの乾燥は大敵じゃん。例のアレ、クレメンス」
「用意しといたギャルのオキニ。フェイスパックぅ~」
「あんがと、ヤマちょ! サンクスギビングデイ!」
全員、白塗りマスクの感謝祭。怖いねー。
一時期のハロウィン、都会の若者が暴徒化したジャパンって国もっと怖いねー。
クッションに寝そべり、顔面蒼白なクリスとフィオナ(スキンケア)。
はたして、女湯を覗けずフラストレーションが溜まった魔の手が迫っていく。
俺の意思と全くの乖離。かけ離れた思想、困ったもんですな。
ぬーるぬるぬるぬる。
「き、効くぅぅうううウウウウ――っ! そこっ、らめぇぇえええ~~っ!?」
スーパー銭湯の憩いの場にて、女騎士の嬌声が響き渡る。
ほんと、貸切状態で良かったと思いました。




