32.アシオー島
読んで頂きありがとうございます。
この章から読まれた方は、是非【ユキア・サガ 航海① ネフシュタンの魔片 第一巻 第1章】から読んで頂けますと、幸甚です。
続きの方は★★★からとなります。
ロックが「よし、配置につくぞ!」レイとザザに聲をかけ
船首楼から降りていく。
レイ、ザザも各々の配置場所に向かう。
オレは、キラ、チュチュ、ゲネロスと船首楼に残った。
船首楼甲板上は涼風の戦ぐ歌が、波が奏でる旋律に乗って
心地よく耳に届く。
蒼茫たる大洋から緋隻眼を天空に向けると
アシオー島方向に、紫雲が棚引いている。
正に幸先の良さをします瑞祥だった。
「良い天気だなー」
両拳を空に突き上げ、オレは背伸びする。
それから望遠鏡を手に取り覗き見た。
漸くアシオー島が小さな点となって出現。
言うまでもなくノードゥス号はアシオー島とは
比較にならないほど小さいから
敵がこちらを視認するのは、まだ暫く時間を要す。
この辺りの海域は小さな無人島が散見できたから、
人の営みを感じないのは特に気にならない。
でも妙だな、とオレは思う。
人の気配がないのは得心できるけど、
鳥獣たちの動静を察知できない。
この地方は気候も安定しているので、どの島にも緑が溢れ
広がっている。
当然、鳥獣にとって楽園の筈なのに。
オレの気のせいか?
いや違う。
鳥獣達は島にいないんじゃなくて息をひそめてるに違いない。
その所以は?
地震、洪水、嵐等の天災の前触れか、
それ以外の危険を回避しようとしているのだろう。
いや、もし天災が原因ならば、鳥獣達は安全な場所へ移動して
難を避ける筈。
だけど、それらしき痕跡も兆しもない。
てことは、それら以外の危殆を回避する為に
凝然としているのではないか?
だとするなら、鳥獣達にとって天災とと同列に九ぐされるのは、
その住処を荒らし命を奪う……人間だ。
つまり、この海域のどこかに鳥獣達が命の危機を感知する程の
何者かが存在してるってこと。
考えるまでもなくこの場合、ウルティオー海賊団のが
支配している眼前の島に違いない。
そこには、その轟音と破壊力で鳥獣達を震え上がらせ
大恐慌に陥れる大砲がある。
鳥獣達は人間のあわただしい動きに気付き、
火薬の臭いを敏感に感じ取っているのだろう。
それは、ウルティオー海賊団のが、オレ達を
迎え撃つ準備をしたってことだ。
やっぱりミッチは、オレ達に先制攻撃をする為に
出撃して来たってことか?
でも、なんであいつらはオレ達が今日アシオー島に
向かって事前に知ってたんだ?
ウルティオー海賊団ののチャベは、オレ達が今日の午後
オロル島から出航することは知ってるけど、
行先まではわかる筈がない。
オレ達とルルンしか知らないことだった。
一体何が起こってるんだ?
はっきりしていることは、ウルティオー海賊団が大砲の
発射準備をして、終えた血を待ち構えているってことだ。
レイ、ザザロックもそのことにもう気付いているだろう。
オレは再び望遠鏡でアシオー島を確認。
先刻より倍の大きさになった島から、緋隻眼を離し、
望遠鏡を腰の道具入れにしまうと、相棒に命じた。
「吠えろ! チュチュ!!」
チュチュは力強く、空中で翼を広げ紫炎をまとう
短く太い四肢を踏ん張り、
「ウォーンッ!!」
恰もオオカミとなって咆哮を轟かせた。
オレはチュチュの遠吠えと合わせて「闘、臨」と印を組み
刀、結と繋ぎ九字を切る。
「忍法、隠遁幻術、影楼ノ陣っ!」
例の札を巻いた苦無を鋭く切り裂き海面に真っ直ぐ飛んだ。
レイ、ザザ、ロックもオレ同様苦無を投げていた。
苦無が波間に突き刺さった刹那、
――ドーンッ!!
ノードゥス号の前後左右から、水柱が蒼穹へと爆昇!
全ての水柱の中心から、六芒星の黒く耀く暗光が飛び出す。
それは上空で拡散し瞬く間に船をすっぽりと覆い、
透明感を持った影の如き天幕になった。
その内部は、太陽の光が遮られて気温も少し低くなっている。
オレは、「陣」と印を組み緋隻眼を閉じて、
「一ノ陣」
と唱え、集中してノードゥス号の姿形を脳内に重い描き、
微動だにしない。
――アシオー島の方向、船の前方200ヤード辺りが影楼の如く
ゆらゆらと大きく揺らぎ始めた。
程無く、オレが緋隻眼をゆっくり開くのと同時に、
そこには一隻の船の姿が現す。
それはノードゥス号と同じ姿をしている。
オレはチュチュを抱き寄せ
「チュチュ、初任務、お疲れ様!」
その頭から背を和かに撫でた。
チュチュはオレの貌中をペロペロ舐める。
それは、優しい母犬が子犬にする姿と同じだった。
※※※※※
金貨、銀貨を無限にばら蒔いたのかと思わせる程、
太陽光をキラキラと照り返して耀くテュッレーニア海。
この海域は、ティターン海のほぼ中心位置する。
神聖ロムルス皇国最大の島ロムルス本島と、クルクス島、
アヴィス群島、サル・ディ・ニア島、ガリアス大国から
奪取したコル・ス島で結ばれていた。
ロムルス本島は、このテュッレーニア海と南に広がる
イオーニア海、北から東に広がるアドリア海に囲まれている。
その中でテュッレーニア海は、コル・ス島を加えたことによって、
神聖ロムルス皇国の内海に近い。
ところがアヴィス群島の海域はヒト族が
定住していなかったこともあり、
神聖ロムルス皇国の領海防衛線で軍備がなく脆弱だった。
その為神聖ロムルス皇国の本島から一番遠い島の一つ、
アシオー島に防衛・攻撃の拠点とすべく、巨費を投じている。
その島がノードゥス号の船首楼甲板から
キラの目に映った。
が、キラはそれよりも幻界さを以下下手眼差しで、を向けている。
「あれは何? 一体どういうこと?」
キラは左肩にいチュチュを乗せて軒先にまたがっている
オレにじゃなく、右隣で翼を休めていたゲネロスに首を傾ぐ。
「あの船は実態ではありませぬ」
レイは気配もさせずキラの背後にいつの間にか立っている。
「例えるならば、海上に揺らぐ陽炎の中にある神気楼のようなもの」
そのその右隣ゲネロスの後ろでザザが胸を張った。
「こっちにの船は影楼陣ノ術で結界が張られてるでござるから、
逆に周囲から観えな様いでござるよ」
ロックがゲネロスがいる側の階段から船首楼甲板に上がって来て、
「あれに攻撃しても無駄だと理解出来れば、
もうその先は読めるだろ?」
「敵に」レイが遂に作戦を明かす。
「砲弾が擦り抜ける様子を目の当たりにして、
幽霊船が襲撃してきたと勘違いし、大混乱になる他ありますまい。
我等は背強を見極めつつ、生じた隙を一気に衝く」
オレは「ん、そんな感じで」と満足した。
前方の幻影っを指差し
おれは「あれとの距離を保ちつつ、アシオー島の湾内入り口に侵入、
オレ達はそれから船を降り、フライ、コールド、コンディ、ドクターの
4人にターゲットを絞り、奔って上陸するから、
あいつらはオレタチヲ幽霊だと勘違いするだろう。
後はゲネロスに頼んだ」
ゲネロスは、返事の代わりに藍碧の美しい翼で、
キラを覆う仕草をする。
「どうやら」ゲネロスはキラの問いに
「オレが答えることはなくなったようだな」
「やっと私にも作戦が飲み込めた」
キラは謎めいた忍者の高度な術を痛感し、驚嘆していた。
「凄い術ね。お見事! としか言いようがない。
「奇跡的だとも思う……」
だがキラは、オレの言葉の中で生まれた新たな疑問を
ぶつけることも忘れない――。
※※※※※
「だけど、船を降りたら走って上陸って、どういう意味?」
ザザが、にやにやして
「キラさん、それはその時が来てからのお楽しみでござる」
愉快そうだ。
私ははそのお楽しみがそのお楽しみがチャクラをもって
為すのだと思っているのだろうと推量していた。
私は忍者達がチャクラで空中に床を形成して、自由自在に
動きまくられることを既に知って影る。
だけどそれは約10ヤード範囲内でのこと。
アシオー島の湾内の入り口で船を降りて、走って上陸するって
普通に言ってたけど、そこから港まで1マイル近くあるのに……?
もう本当に訳が分かんない。
それでも私はユキアに言わなければならないことがある。
私はただ黙って守られている人形にはなりたくない。
「一つ言っておく」
私は断固とした態度で
「私もみんなと一緒に闘う。
ネフシュタンの魔片を発見した時、
或いは入手した時、
逸早く確認したいっていう考えもあるし……」
私は一つ一つ告白することにした。
「それから始めて話すけど、私もある法術を会得してるの。
仲間のリオやトバルも。
私が海帝から逃れられてきたのはその術のお陰。
だからあなた達の役に立てると思う」
それに私は、ユキア達の闘いをまじかで見ていたいし、
出来るだけ支えたい」
「駄目だ」ロックが峻拒する。
「キラはオレ達の依頼主だ。諦めてくれ」
「でも」私は食い下がる。
「ウルティオー海賊団は今や400人以上の海賊団でしょう?
私はたった4人のあなた達を戦わせる為に、
この冒険を依頼した心算じゃないっ!」
だけど、ユキアは決然と揺ぎ無い緋隻眼を私に向けた。
「依頼主の命を守り、己の命を賭けるのは、
信義を重んじるオレ達忍者の誇りなんだ」
レイは20門以上の大砲を配備し、400人以上の手下を従える
海賊との戦いを前に、なんと目元に笑みを浮かべている。
「心配は御無用。
我等にとってはこれまでにも経験してきた戦力差。
それに、敵を全員相手にする訳ではありませぬ故」
ザザも笑い貌で緊張感はない。
「大丈夫でござる。
オイラ達はこの4人でもっと困難な任務を、
今より幼き頃に何度も片付けてござるよ」
2人の屈託のない表情が、私の心魂をギュッと締め付けて
切なさが止まらない。
私の所属するΩは聖遺物、魔遺物、幻玉を入手し、
それぞれに応じて対処する為に、人知れず存在している。
でも、その真の意図をユキア達は知らない。
それらを明かすことは現段階では禁じられている。
ロックの因縁があるとはいえ、
ユキア達は純粋にトレジャーハンターの私達かたの以来だと考え、
信じ、危険を承知の上で闘いに身を投じようとしている.
万が一にもない信じ願っているけど、その目的を知ることなく
もしもユキア達が儚く命を散らしてしまったら……?
そう考えるだけで、胸が張り裂けそうになってしまい
膝から力が抜けて行く。
もしそんなことになってしまったら、
私はこの永遠の命を棄ててしまおう。
私もユキア達と命を賭ける。
そんな私の心情をよそに、ユキアが嘆く。
「あー、ルムウベッタ・フォカッチャと肉を焼いておくべきだったー」
腹を撫でながら、自分に対して凝ってるというう風に。
「ユキア様」レイが返す。
「まだ昼餉を摂ってから4時間しかたっておられませぬが?
パンも肉も確りお召し上がりになったことを、お忘れですか?
ルルンのトルタも残っておりませぬ」
ところが驚いたことに、レイは腰の後ろの革袋から、
鶏の照り焼きを挟んだパンを取り出して、ユキアに渡す。
「ありがとーうっ!」
とユキアは破顔。
するとロックが羨ましそうに
「全く相変わらずだなユキアは。
美味そうじゃないか。
俺にも一つくれよ」
「……ない。」とレイは素っ気ない。
ザザが呆れ果て
「ロックも学習しなければだめでござるよ。
レイはいつだってユキア様の分しか用意してないでござる。
余っていても、それはユキア様のものでござるよ」
ザザは腰の革袋から、竹笹を取り出して開き、
美味しそうに昆布むすびを食べはj目る。
「おぉー」ロックは甚く感心したようで、
「むすびを自分で用意していたのか。
大人になったんだな、ザザは」
ザザはロックに、竹笹からもう一つむすびを取り出して放った。
ロックはそれを手に「俺に分か!? おっ、ザザお前は
出来る男だなっ!
よ、兄弟!」
ロックに調子よく尾だたられてどや貌のザザ。
「何事も日々学習と修行でござるよ」
そんな3人を横目にユキアは2つ目のパンを食べ始め、
喜悦に浸っている。
4人のそのやり取りに、私は思わず吹き出してしまう。
私は黙祷を捧げる。
ユキア達に神の御加護があります様にと。
※※※※※
太陽が、テュッレーニア海の水平線にそっと触れた。
夕映えは緋金の夜を羽織る。
歩廊は熾る焔の如く、緋に染められてしまう。
潮の甘い風と帆と波が奏でる爽快な旋律とテンポが心地良い。
船首楼甲板でオレはチュチュを左肩に乗せて、その後ろ左から
レイ、ロック、ザザと並んでいる。
全員が緋色で形状が異なる龍革武具を装備、ユキアとレイは刀、
ロックは大剣、ザザは二振りの短剣を刷いていた。
4人の背後でキラとゲネロスがアシオー島の岬を凝視している。
――今。
オレの術が生んだ幻の影楼船は、アシオー島の二つの岬が挟む
海路に突入した。
ノードゥス号は結界で姿を隠し、その後200ヤード辺りを
追走している。
オレは望遠鏡で影楼船を観察していた。
影楼船は湾に侵入東側の埠頭へと向かう。
が、ノードゥス号は結界で姿を隠し、湾の入り口に入って、
左側に投錨する。
そこは正にここにしか港は築けないという場所だった。
大型の軍艦が20隻以上ていく可能な埠頭と、右側には
漁船の船着き場が見える。
形勝の地を活かし、要害で堅固な島に相応しい港。
影楼船は何の問題もなく湾の中央へと進む。
不気味な程の静寂。
だが、その一刹那後。
――ドッ、ドッ、ドドオーンっ!!!
その行く手を阻む轟音に、大混乱に陥った鳥の群れが
アシオー島の上空を賑々しく覆う。
――ドッ、ドッ、ドドーン!!!
爆音が連続して響き渡り、島とその周辺の大気が激しく揺らぐ。
アシオー島の東西の塔、左右4門の大砲から、
港の大門左右4門を加えた砲弾は、島へと突入して来た
船に全て直撃した筈だった。
然し、その船はかわしもせず、それでもかすり傷ひとつ
負ってない。
ウルティオー海賊団やこの締めの海軍にとっては怪異なことに
砲弾は悉く船を貫通して海へと沈む。
三方向から一回ずつほぼ同時に攻撃があった後、
砲撃は一旦止んだ。
が、その直後、今度は狂ったように砲弾が乱射され、
湾内に何本も水柱が登っては消えていくが、
船は破壊できない。
「ゆ、幽霊船だぁーー!!」
という聲と共に、大恐慌になってしまって逃げ惑う海賊と
海軍の姿が見え始めた。
その中に混乱を沈めようとする指揮官らしき者達の姿が
オレの緋隻眼に映る。
「港正面、3時、10時の方向に一人ずつ。
でも敵船が一隻見当たらない……、そういうことか」
「おそらく」ロックがオレの読みを分析する。
「幹部のうち一人が船に乗り込んで出撃してるんだろう。
副船長のコールド辺りじゃないか。
船長のフライは城塞に残り城攻めに備えている筈だ。
だから海運のペルデレ、コンディ、ドクターが出て来たってとこだろ」皆城塞へと「港正面は変な海軍将校」オレは望遠鏡から緋隻眼を離し
「3時方向に変な医者、10時方向に変な木人がいたぞ」
「変な奴ばかりでござるな」ケラケラ笑うザザ。
が、オレは油断はしない。
オレ達が攻めてくることを何故か知っていて、
待ち構えていたウルティオー海賊団だ。
それなのに戦力を削って敵船がいないのは、不自然だとしか思えない。
ロックが言った通り、どこかに出撃しているという
可能性もなくはないが……。
でも、オレの直感はそれを否定し、寧ろそこに罠が仕掛けられていると、
警報が肺腑で鳴りっぱなしだ。
レイがいつもの如く冷静に進言する。
「ユキア様、このまま影楼陣ノ術の保持を続ければ、我等のチャクラが
底を尽く蓋然性が高い故、ここで術を解きチャクラを
温存するのが肝要かと。
幹部2人を釣ったので上出来かと思いまするが」
でもオレは、無言で亭には反応せず、湾の入り口を注視した。
レイがそんなオレに首を傾げた――その時!
ゆっくりと5本帆柱の海賊船リベンジ王が港の入り口に
姿を現す。
2本の交差したカットラスの上に頭蓋骨を乗せた
海賊旗をはためかせながら。
ロックの黒蒼眼がギラリと耀く。
「コールドが指揮を執っている筈だ」
リベンジ号は、影楼船の背後に向かって湾内を進む。
射程圏に入ると、好機到来逃すべからず、
――ドゴォーン!!
船首砲で影楼船を狙い撃つ。
だが、何発撃っても砲弾は水柱を登らせ、
虚しく海に呑み込まれるだけだった。
「おっふぅ……」ザザが額の汗を拭う仕草をして戯ける。
「危うく後ろからドガーンッ!! とやられるところでござったな」
オレは陣の印を組み「第一の陣・解」と出の一部を解く。
帰楼船はゆらゆら揺れてすーっと完全に消滅してしまう。
キラは驚いて口を両手で覆う。
「あの時機で解術か。
目の前で行き成り船が消えて、
コールドは肝を潰しただろうな」
オレは仲間達にその先を語る。
「よしっ! これでコールドはオレ達の船が消滅したことで
幽霊船を思い込み、仲間と合流する為に
港で錨を降ろす。
このままオレ達の船も湾を進み、その時を待つ」
この闘いの本陣ノードゥス号お錨を上げて微速前進するよう、
オレの命に従ってロックが式術水夫たちに指示を出す。
★★★リベンジ号は、オレの逆賭したとおりに動き、
海賊達は大混乱の中、次々と「幽霊船だーっ!」
と叫びながらと叫びながら皆が動き、港の大門から
城塞へと殺到した。
が、その反対にリベンジ号な逃げて来る者もいて
収拾がつかない。
ノードゥス号もついに湾の中央に進み、リベンジ号の後方で
船首砲を敵船に狙い定め、発射準備を終え投錨した。
オレは再び陣の印を組み「本陣・解」と唱え、
刀・結と続け九字を切った。
ノードゥス号を覆っていた不可思議な結界が、
ふっと消滅すると、今度は夕焼けに包。
た。
オレは気魄を込めて命を下す。
「一人、一倒でいく。
海軍の者には一切手出しをするな
オレがフライを、ロックがコールドを残りの2人は
レイとザザに任す。
それぞれ敵を斃したら、捕縛して一旦船に戻り、
船牢に叩き込んでからキラチュチュを護衛して待機。
以上!
武運を祈る!! 撒!!」
緋炎海賊団船長が命じると、ロックは港正門に、3時方向ににザザ
10時方向にレイが船縁を蹴って、港へ素早く跳躍した。
オレも最後に、船首楼甲板から跳躍した。
見送るチュチュが4人の背中を押すように、
――ウォーン!!
と咆哮する。
4人全員が飛沫も上げず鳥の羽がふわりと着地したかと思わせる程、
海面ですーっと立ち、
まるでそこは大地にように目指す標的へと疾走していく。
※※※※※
「夜が開ける頃……私は無意識の中で聖句を口にする。
「イエスは湖の上を歩いて弟子達のところへ行かれた……と
聖書マタイ書第14章にある」
人間が水上を走る姿を初めて目撃したキラは、
聖書の堕一部と情景が重なっていたの一だ。
私は確信し断言する。
「忍術はメシア教、ラウズ教との関連が必ずある筈。
私には寧ろ聖術より忍術や私達の法術の方が、
メシア教、ラウズ教との結びつきが、強く、深いことを
証ししてるように思えてならない、
緋い太陽の夕映え、緋い忍者達の姿と重なって、
滲み、消えていく。
「幽霊が来たぞぉーっ!!」
という叫び声と共に。
私はユキア達を見送りながら、もう一度聖書の一節を
祈るように呟いた。
「勇士の盾は赤く、戦士は緋色の服をまとう
――旧約聖書ナホム書第2章」
私は押し寄せる感動の嵐に、心魂と身体の震えが止まらなかった。
読んで頂きありがとうございます。
駄作ですが、批評も含め、ご感想を頂けると喜びます!
評価✩✩✩✩✩やブクマをして頂けると更に喜びます!
長い物語ですが、様々な要素で楽しんで頂けるよう努力してます。
これからの物語も是非読んで頂けますように・・・。 m(_ _)m




