7.5
設定と第13迷宮(日本に出現した迷宮)攻略状況を、政府管轄の攻略隊側からの視点で少し。
「さて、第2管理者とやらからの通達があった件だが。」
首都に出現したゲートの1つを囲うようにできた建造物、その横の会議室で迷宮内のスタンピードの情報が集められていた。
話を振られた制服姿の男が資料を片手に答える。年はまだ30前後程か、この会議室では比較的若い方だ。
「はい、現在攻略が1番進んでいる新宿ゲート、そこから潜っている特務(迷宮対策特務機動隊)第一小隊、第三班からの報告ですが、10日後程でスタンピードが発生するとのことです。規模は総勢100体を超え、20~50体程度に別れて各解放済みゲートを目指すとのこと。」
100体を超えると言うその規模に、会議室からは息を飲む声が聞こえる。
「第4階層の進捗は、まだ村2つ目を解放したところだったか?」
席に座った壮年の男が報告した男に問いかける。
「はい、現在はその村を拠点に周囲のゲートやモンスター、地形などを確認中です。」
「つまり、そこに向けてスタンピードだったか?それが100体を超えて向かってくると。」
「同ゲートからの一般の探索者、全線組と呼ばれる者達が他に3チームいますが、何れも塔出口の村もしくは、その先の2つ目の村迄しか到達できていない為、その可能性が高いかと。」
「確認のために聞くが、他に4層まで攻略しているとこは無いんだな?」
「はい、現状GMC(ゲート管理委員会)で把握している限りだと無いはずです。新宿ゲート以外では、大阪梅田ゲート、函館第2ゲート、福岡第1ゲート、四国の中央ゲートが共に第三階層の塔直前まで進んでいる状況ですがまだ第4層には到達していないはずです。」
もちろん把握していないゲートも多いので…、とは言うまでも無い情報だ。
「そうなると、4層を攻略している特務第一と第二だけでは、4層を耐えるのはキツいか。」
現在特務は第一か七小隊の7隊でなっているが、迷宮攻略を目的とした特務は第一と第二の2小隊のみ。
他5小隊は各地の救助に当たっている為、1層をメインで活動しており、4層で戦える程の戦力は無い。
「銃火器が効けば蹂躙できるものを。」
迷宮の救助や攻略に、そのゲートの数や民衆の混乱は多かれどモンスターへの驚異と言う意味では当初政府はそこまで危惧はしていなかった。
と言うのも当たり前の話で、いくら未知のモンスターが出たとて、現代の銃火器や、戦車、戦闘機といった兵器を用いれば、圧倒的兵力で蹂躙できる自信があった。
それがこれだけ攻略に時間がかかっているのにはいくつかの理由がある。
まず、電子機器を扱う物は迷宮の中では使えなくなる。その為、それらを搭載した戦車や戦闘機と言った兵器はただの鉄塊となった。
では、それ以外の物、銃や爆発物等は?と言うと、これは問題なく使えた。
使えたのだが、何が問題なのかというと、それは迷宮の外から持ち込んだ兵器・武器では、HPと言う外皮のような物を突破することができないのだ。
それは、銃に限らず刃物や警棒のような鈍器でも同じだった。
銃では全く無傷の角の生えたウサギが。迷宮内のそこらの木の棒や、なんなら素手の方が簡単に倒せたのには、もはや笑うしかなかった。
「現在は全線組と呼ばれる一般のチームと協議し、共闘な打診とその場合の勝算など、対策を検討しているとのことです。」
「致し方ないな。迷宮内ではステータスが物を言う。それを覆すのはスキルくらいだ。
最悪の場合、現在の4層ルートは廃棄し、3層の塔を複数攻略することを目指して、スタンピードの進行を分散させるのも視野にいれる必要があるな。その間に4層で戦える戦力を増やすことも必要か。」
ひとまず、全線組との話し合いはそのまま進め、結果を待つ間に、今後の方針を決めると共に他の隊の強化の必要性や、増員なども検討する。
また、複数のルート解放するメリット等もできたので、その辺も検討していく必要がある。
「やはり、一般の協力は不可欠か。」
そんな呟きが聞こえる中、会議はまだまだ続いていく。




