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「ピンポンパンポーン。テステス。あー、大丈夫だな?
ハロー地球の諸君。これより私、第二管理者からのアナウンスがあるので、しっかり聞くよーに。
たった今、第二迷宮にて6階層目の到達者がでた。
予想より遅い到達だけど、まずはおめでとうと言っておこう。
さて本題だ。6層解放により、パーティーシステムが解放された。
パーティーシステムは8人まで登録できて、経験値やゲートの共有、パーティー内での一部ステータスの開示、さらにパーティールームの利用などができるようになる。
他にも色々と細かな仕様があるが詳しくは6階層以降の町にあるギルドで確認できるので、そこで確認するように。
尚、5階層以下の町や村でもギルドの窓口を設立するように通達しているから、6層未到達者もそのうち利用できるようになる。楽しみに待つと良い。
もう一点、同じく6層解放に伴いスタンピードが解放された。
これは、不定期で未解放の昇降路ゲートがある塔から大量にモンスターが溢れ、解放済みゲートおよびその周辺を襲う物となっている。
襲われた解放済みゲートは閉じて、スタンピードのボスを討伐し解放しないと使えなくなるから気を付けるように。
尚、スタンピードのモンスターは通常より経験値やドロップが良いように設定されているから、皆こぞって参加してくれ。
スタンピードの情報もギルドか、土地の長に確認すれば多少誤差はあるが発生時気が分かるので、参考にしてくれ。
以上だ。
地球の未来の為にも、引き続き迷宮攻略を楽しんで邁進してくれ。
健闘を祈っている。では。」
そう言ってアナウンスが終了した。
「今のって」
そう言って友希ちゃんと目を合わせる。
友希ちゃんも流石に目がぱっちり開いて覚めてる。
「システム的にパーティーが追加されたのは置いておくとして、スタンピードか。」
「沢山のモンスターが攻めてくるって言ってたよね、未解放の塔から解放済みのゲートに向けてって言ってたけど、あれ?解放済みのゲートって一人一人違うよね。」
「たぶんだけど、誰か一人でも解放してたらって話なんじゃないかな。もし今スタンピードが起きて、道中で出くわしたら危険なんてもんじゃ無い。とりあえず次の村に急ごうか。」
それから、急いで荷物を片付け次の村を目指す。
道中ではスタンピードの予兆のようなものもなく、なんとか2日目の夕方に次の村にたどり着いた。
「とりあえず、スタンピードの情報を確認しに行こうか。確か村長とかに聞けば良いんだよね。」
「確かそう言ってたはず。」
村に入り、村長宅に向かう。
入口付近には何人かの人溜まりができていた。
「なんだ、あんたらもスタンピードとかってやつの情報を聞きにきたのか?」
大学生くらいのお兄さんがこっちに顔を向け話しかけてくる。
格好からしてジョブは剣士系かな。
他にも大きな盾を持った人や軽装の人もいるけど、皆そこまで体格は良くないのはあるあるだよね。スキルやステータスで力が変わるから、体格で強さは推し量れない。
「一応ね。スタンピードに参加するかどうかもあるけど、情報はあるに越したことはないし。」
ほのかちゃんが返答する。
「そりゃそうだ。でだ、スタンピードってのが一週間後くらいに発生する可能性があるそうだ。」
「1番近くのまだ解放されていない塔、そこから発生するらしいが、本隊がどこに進行するかは分からないそうだ。」
剣士の人の話に盾の人が合わせて教えてくれる。
「ちなみにこの辺りの解放済みのゲートは、塔までの道中の村3つは確実で、他の野良ゲートは村周辺に2つか3つくらいか?平均して。俺達は村以外は解放してない。お前らは知ってるか?」
「いや、あたし達も村だけだね。ここまで一直線に来たし。」
「そりゃそうか。で、お前らどうするんだ?」
どうするんだ?というのはスタンピードの討伐に参加するのか?と言うことだろう。
その問いに友希ちゃんは肩をすくめる。
「この村には来たばっかりだからね。とりあえず村長さんに話聞いて、ゲート解放して戻るよ。スタンピードの討伐に参加するかは考えて決めることにする。」
剣士の男が満足げにうなずく。
「あー、そうしな。初見で集団戦だ。ガキがいたんじゃ気が散るから、もし参加するにしても村の中にでも籠っているんだな。」
たしかに私達は中学生だけど、足手まとい扱いしなくても良くない?
ここまで二人でこれたんだから、そこそこは戦えると思えんだけど。なんか感じ悪いな。
そんなことを考えてると、友希ちゃんは気にした様子もなく、
「ご忠告ありがと、お兄さん。いくよ、ほのか。」
と言って村長の家に向かうので、私も追いかける。
村長宅はこの辺じゃ少し大きめの家で、いかにもな雰囲気を醸し出してる。
「すみませ~ん。」
友希ちゃんが家の扉を開いてこえをかける。こういう時、物怖じしない友希ちゃんがいてくれて助かるんだよね。
「なんだ?また探索者か?」
奥から50歳くらいの、がっしりとしたおじさんがでてきた。
この人が村長さんかな?村長っていうくらいだからおじいさんが出てくるのかと思ってたけど、以外と若い。
「で、お前さん達も魔物の大進行について聞きたいのか?」
「大進行?あー、スタンピードのことか。そうです。」
「うむ。他のにも伝えたが、およそ一週間前後で上層と繋がる塔から魔物が押し寄せてくるだろう。魔物はゲートの発する魔力に引かれてやってくる。塔周辺のどこのゲートに向かうかまでは分からんが、既にそこを縄張りにしている魔物がいるとこは避けるようだから、村が襲われる可能性は高いな。」
「ふーん。それってどれくらいの規模でくるの?」
「この層だと少なければ20体前後か。多いと50体程になるな。」
「50体か。」
流石に50体も来たら数人程度が集まっても難しいよね。
これって、低階層ならまだしも最前線って討伐無理なんじゃ。
「本隊が来ない場合も、余波と言うべき数体は来るから、十分気を付けてくれ。もちろん、村も若い衆含めて警備はするがな。」
「わかったよ、村長さんありがとう」
そう言って友希ちゃんが席を立ったので、私も慌てて立ち「ありがとうございます」と村長さんにお辞儀をして村長宅を後にする。
「さてと、スタンピードの方は良いとしてもう1つ、パーティーの方も確認しておこうか。」
「そうだね、ギルド窓口だったかな?そこに聞けば良いんだよね!」
とりあえずその辺にいる村人にギルド窓口の場所を聞き、広場そばの建物に入る。
中には取り急ぎしつらえたのか、受付のようなものが3箇所設けられていた。
「えっと、空いてるとこに行けば良いのかな?」
「そうみたいだね。」
友希ちゃんと二人で受付に向かう。
「お姉さん、パーティー登録したいんだけど、ここでよかったかな?」
友希ちゃんが村娘風の格好をした受付の人に話しかけると、にっこり笑って受付の人が答えてくれる。
「はい、大丈夫ですよ~。メンバーはお二人です?」
「うん、あたしとこのほのかで登録したいんだ。」
「それでしたら、ここのウィンドウにパーティー名を書いて、リーダーの方はこちらのボタンを、参加者の方はその下のボタンを押してください。」
そう言って受付のお姉さんが極薄のタブレットのような物を取り出し、渡してくれる。
「パーティー名かー、考えてなかったな。ほのかどうする?」
「う~ん。私も全く考えてなかったよ。折角だから可愛いのがいいかなぁ。」
「え~、カッコいい方が良いじゃん。」
カッコいいのか、まぁそれでも良いんだけど全然思い付かない。
友希ちゃんも腕を組んで、「う~ん」とうなって考えてるみたい。
「例えば、青天月火隊とか?」
「え?なにそれ?」
いきなり厨二的な名前がでてきた。いや、私達中学生だけど。
「え、カッコいいでしょ!」
「どこからそんな名前でてきたんだよ~、火の要素全く無いし。」
「それはほら、燃えたぎる熱いなんかよ!じゃあ、ほのかは何が良いのよ。」
う~ん。そうだよね。
「例えば放課後探索隊とか?」
「嫌だ、カッコ良くない。」
即答で却下された。
いや、私も思い付きで出したから別にいいんだけど。
「あ、あの~、パーティー名は後でも変えれますし、仮で付けても大丈夫ですよ?」
とりあえず、二人の名前からとって「希望の花(仮)」にしておいた。
これもかなりダサいけど、まあとりあえず仮ってことで。
それからパーティーの説明を受けたんだけど、できることはこんな感じらしい。
――――
・パーティーの参加/脱退はギルド窓口でできる。その際の承認はリーダーかサブリーダーが行える
・パーティー内で解放ゲートが共有される
・パーティーは最大8人まで
・ステータスを確認するとき、自分以外のパーティーメンバーのHP、MP、SPが確認できる
・戦闘の経験値はパーティーで等分
・ゲートからパーティールームが利用できる。パーティールームはマイルームと行き来できる。
・パーティーから脱退した際、再度パーティーに入るには3日間インターバルを置かなければならない
――――
何か色々あって難しいけど、友希ちゃんに任せれば大丈夫たよね。
「よし、とりあえずパーティーはできたしゲート解放とパーティールームっていうやつを見てみよっか?」
「たしかに、ちょっと気になるよね。」
それから村のゲートを解放し、パーティールームに入ってみる。
「おお、広い!」
「ほんとだね、二人で使うにはちょっと広すぎるかな?」
パーティールームに入ると、リビングのような部屋に大きなテーブルと8人分の椅子、ホワイトボードなんかもある。
キッチンも付いていて、たぶん会議とかできるようになってるのかな?
それから、扉を出るとトイレやシャワー室に物置部屋?それから、階段もあった。
階段を上がると8つの扉があり、二つにネームプレートがついていて、私達の名前が書いてある。
「これって、あたし達の個室ってことかな?」
「たぶん。入ってみる?」
「うん!」
その個室に入ると、見慣れた部屋があった。
これ、ゲートから入れるマイルームだ。こうやって繋がったのね。
ちなみに、自分以外の部屋には何故か入れないようになっていた。
パーティールームの一階の玄関にあたる扉から出ると、さっき入ってきた村のゲートか帰還先を選べるようになっていた。
それから、とりあえず村に戻って戦闘でドロップした素材を店で売る。
「そう言えば、ドロップしたアイテムを売るときに初めてモンスターの名前が分かるんだよね。フォレストベアの毛皮とか牙とかお店の人に教えてもらって。
ゲームならドロップしたアイテム拾えばアイテム名を見れるんだけど。」
「そうね。あたしもその辺は気になったけど、そういったところはリアルだよな。」
「よし、荷物の整理はできたから今日は一旦帰還しようか?一応明日も休みだから宿に泊まってもいいけど。」
「そうだね、家のベッドで休む方が落ち着くしね。」
「んじゃ帰りますか~」
再びゲートを潜って家に帰る。
もちろん、装備とかアイテムはマイルームやパーティールームの物置部屋にちゃんと置いてきた。




