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世界がアップデートされたって? 〜地球に突如現れた迷宮、13年以内に攻略しないと大魔王が攻めてくるらしいです〜  作者: 青井あげは


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 2階層に到達した日から3ヶ月

 あれだけニュースで迷宮の話をしてたけど、話題は段々他の事にシフトし、日常の一部となっていった。


 まだ行方不明者がいて、たまに死者の報道もされるが、政府が編成した救助隊のお陰で所在が判明するケースも出てきている。

 ただ、未だに迷宮に入る人達は後を絶たず、政府も入ることを制限せずに誰が入ったか、出ていったかの把握をするためにゲートの管理委員を設置し、管理を優先して行うことにしたらしい。

 また、13年後までの迷宮攻略も合わせて行うべく、情報の収集と有志での攻略者も合わせて募り、政府の攻略部隊を編成した。

 もちろん、個人やパーティーで迷宮に入り攻略を目指す人達もいて、その人達は前線組と呼ばれている。


 現在報道されている範囲では、日本に出現した第13の迷宮は4階層まで解放したパーティーが最前線らしく、その辺りの情報も更新されている。

 一度解放したゲートには別のゲートから出入りした時でも選択できるので、攻略は情報が出ているゲートに一度入ることで、そこから攻略を進める方法が主流となっている。


 ちなみに、私達が入ったゲートからは3階層までのルートは公開されていて、最前線ルートには負けているけど、挑戦者も増えて顔見知りもできた。

 また、3ヶ月の内に第一階層の中央を目指して進んだパーティーもいたが、どうやら中央へ行くほど強いモンスターが出て来るらしく、断念していた。

 ただ、中央へ行くほど村の規模や設備も上がり、売られてるものも増えるらしい。


 私達は、結構早めに第2階層にたどり着けたこともあり、あの後も警察の道案内とかを頼まれて何度か入った。

 その後、立ち入り制限を解除された後も迷宮に挑戦している。連休の初日となる今日も3階層に行く予定だ。


「ほのか~、準備できた?」

 ちょうど、友希ちゃんが呼びにきた。

「今行く~。」


 いつものようにゲートを潜り、3階層の村に向かう。

「今日はどうしよっか。」

「連休だからね。やっと次の村の解放に向かえるよ。タワーに挑むにも、近くの村の解放は必要だしな~。」

「平日だと数時間で帰れる野良ゲート利用してのレベル上げとか、ドロップ集めてお金稼ぐとかしかできないもんね。」

「そう、だからこの連休のうちに次の村へのゲートを解放しておくんだよ。」

「タワーまでは最短3つの村を経由しないといけないんだよね?」

「今この近辺の最前線情報だとそうらしいね。階層上がるほど上層へのタワーの間隔が広くなってるらしくて、その分、村やゲートを何回も経由しないといけなくなるんだよね。」

「じゃあ、しっかりと準備して進まないとだね。」


 とりあえず、いつものように村で必要な食料や道具を買い揃えていく。

 二階以降では、明らかに容量以上のものが入るウエストバックが手に入るようになったから、冒険の準備も楽になった。

 ただ、物凄く高かったから二人で1つしか買ってないけど。

 他にも、便利な魔法道具や頑丈な防具、すごく切れ味の良い武器とかもあるけど、お値段もそれなりになってる。

 そう考えると、田辺くんの簡易工房みたいな生産系のスキルって結構重要なのかもしれない。

 まぁ、田辺くんはあの一件以来迷宮には入ってないらしいけど。


 おっと思考がずれた。とりあえず今回は一応1週間分の食料と水、それから回復薬と傷薬を買い込んでいく。

 今は色々な人がネットを通じて情報交換をして、迷宮の仕組みもある程度判明している。

 例えばステータスの体力は、基本、値×10のHPとして表示されそのHP分だけ傷とかを肩代わりしてくれるらしい。

 だから、HPが無くならない限り肉体に損傷は受けない。

 けど、痛みとかは感じるんだよね。

 で、そのHPを回復するのが回復薬、HPが切れた後とかの傷を治すのが傷薬。なので、この2種類は推奨されているんだよね。

 まぁ、安くはないんだけど。命には変えられないから。


「こんなもんかな。」

 友希ちゃんと荷物の最終確認をする。

「うん、大丈夫そうだね。」


 ウエストバックは友希ちゃんが装備して、私はリュックを背負う。

 ウエストバックは結構な容量が入るんだけど、入れれる大きさには限りがある。流石に開口部を越えては入れれないのでそういったものは大きめのリュックに入れて、私が持ち運んでいる。


「それじゃ、行きますかー!」

「はーい!」


 村の出口から出て、1番近くにある塔より60度ほど右側を目指して進んで行く。

 第三階層は第一階層より起伏に富んで、木々も生えていて丘と森が混ざった環境になってる。

 そしてモンスターも熊や狼のような猛獣や鳥、昆虫系のものも出てくるようになった。


「あ、またフォレストベアだ。ほのか戦闘準備。」

「はーい!」

 レベル10で解放されたジョブシステムで、見習い暗殺者を選択した友希ちゃんは、ジョブスキルで索敵関連のスキルを獲得していた。

 そのお陰で、こっちが奇襲を駆けられることは少なく、より安全に進めていけるようになった。

 ちなみに私は見習い剣闘士を選択した。

 剣士が良かったんだけど、出てきた選択肢に無かったんだよね。たぶん器用とかが少なかったからだと思う。

 剣闘士は剣のスキルの他に自身に攻撃力アップのバフを掛けれるスキルがあって、攻撃力がさらにマシマシになったんだよね。

 ちなみに、友希ちゃんは魔力を意識して伸ばしていってるから、今ではしっかりとワイヤー機動が板についてる。


 木の影から出てきたフォレストベアも友希ちゃんの敏捷の速さとワイヤーで回避&動きの阻害をしてくれたから、私の剣闘士のスキル、スラッシュで簡単に倒せた。


「ほのかの攻撃力は気持ちいいね。この階層のレベル帯だと、もしかしたら1番高いんじゃない?」

「そんなこと無いよ~、友希ちゃんの速さだってこの前驚かれてたじゃない。」

 もともと敏捷値が高かった友希ちゃんは、その速さを活かして前線でヘイトを稼ぐ動きをしていて、それを目撃した他の塔攻略者に驚かれていた。


「あたしはほのかほどステ尖ってないよ。ワイヤーアクションを常時使えるようにする為に意識して魔力を伸ばしてるし、前に出るから体力や頑強も上がっちゃうからね。器用とかも、もとから高かったからさ。」

 最初のステフリがランダムなのがな~、とほとんど友希ちゃんの口癖みたいになってる何度目になるか分からないぼやきを呟く。


「でも、やっぱりゲームと同じでこういうシステム的なのがあると、考察とか攻略とか考える人が出てくるよね。ステータスの上がる傾向がその人の経験に影響されるってのが分かって、ビルドっいうの?意識する人も出てきたし。」

「ステータスの上がり方が片寄ってる人多かったからね。それにしても動画で上がってた、スライムに1時間攻撃受け続けてから倒すってのを延々やってた人は面白かったけどね。」

 友希ちゃんが言ってるのは検証動画として上がってたやつだ。

 私も見たんだけど、30匹スライムを倒したところでレベルが上がって、ステータスが体力が2、頑強1、持久力1、魔力1上がったらしい。

 体力と頑強はまぁ分かる、持久力もまだ良いけど、魔力ってなんだよ!って叫んでる動画で、中々閲覧数も高かった。

「あの動画、結局魔力が上がった原因が分からないって言ってたね。」

「そうそう、検証サイトとか見たんだけど、いくつかのランダム値があるとか、今までの蓄積値がとか色々推測が上がってたね。面白いのだと、倒したモンスターによって決まるんじゃ?とかもあったかな。」


 そんなことを話ながら森を進んでいく。

 熊意外にも、1メートルくらいの蜘蛛や芋虫のようなモンスターも出てきたが、どれもそこまで強くないのでさくっと対してドロップアイテムを回収する。

「土谷さん達に聞いた話では、そろそろ休憩できるスペースがあるはずだよ。」

 土谷さんは2階層の塔付近の村で知り会ったパーティーのリーダーで、3階層解放のBOSSを一緒にクリアした気の良いお兄さんだ。

 何でもモンスターをハントするゲームとかが好きで、大学の友達と趣味で参加してるらしい。

 ちなみに、同じ県内だけど向こうは繁華街付近のゲートから入ったらしく、スタート地点は別々だった。


 休憩スペースにたどり着いて、テントと魔物避けの道具を設置し、夜営の準備をする。

 この辺は慣れたもので、ちょっとしたキャンプ気分だ。

 森も近くにあるから薪も集めやすいし、水は魔道具で多めに持ってきてる。

「熊肉ドロップしたけど、どうする?」

 ドロップアイテムの整理をしていた友希ちゃんが肉の包みをもって聞いてくる。

「熊肉って食べたこと無いよね。う~ん。」

 一応塔の中のドロップ品と塔の外の地球産の物は違うから、すごく美味しい可能性もあるけど、気が進まないんだよね~。

「シチューだし、無難に村で買ったうさぎ肉にしとこうかな。」

「そう?でも少し興味あるんだよな~、少しだけ焼いてみるかな。」

 そう言って、料理用のナイフで肉を固まりに切って、串に刺しだす友希ちゃん。


 結果、今日の晩御飯はうさぎ肉のシチューに熊肉の串焼き、それと村で買ったパンだ。

 ご飯を食べながら雑談をする。


「そう言えば、土谷さん達はもう上層ゲート用の塔まで行ってるの?」

「そうらしいよ、そのボスが強くて人集めとレベル上げをしてるって。

 この前の3層解放ボス手伝ってくれたのも、集めた人のゲート解放の手伝いのついでにって言ってたし。」

「ふぇ~、早いね。強いボスってどんなのかな?」

 今ボスに到達してるってことは、この13番目の迷宮の塔では、準最前線組と言っても良い速度だ。


「確か、トレント系でアイアンバークとかだったかな。表皮が固くてトレント系の弱点の火もあまり効かないんだって。」

「へ~。詳しいね。」

「ほのかが知らなすぎなんだよ。私達の次の目標でもあるから、調べるのは普通でしょ?」

 えへへ~、と笑ってごまかす。

「あれ?でも火が弱点って火を使えるスキルがないとダメだよね?」

 それって私達にはあまり関係なさそうな気もするけど。


「まぁね。魔術師関連のジョブ選択するか、武器で火属性が付与されてるのをドロップするかかなぁ。それかアイテムかなぁ。」

「ほぇ~。武器のドロップって滅多に無いよね。それも属性付きって見たこと無いよ。」


「ボスドロップで出やすいんだってさ、武器は。まぁあたし達が弱点つくならアイテムになるかな。消耗系の魔道具とかで属性付与が無くはないから。高いけど。」

 どちらにせよ、まずは塔までのゲートを解放するのが先だけどね。と、友希ちゃんが締め括る。


 ちなみに、熊肉は癖があるけど中々食べごたえがあって美味しかった。


 日も完全に落ちたしテントに入って寝る準備をする。

 魔物避けの魔道具の効果があるうちはモンスターに襲われることは無いから、安心して寝れる。魔道具さまさまだ。


「それじゃあおやすみ~」

 寝る挨拶をして眠りにつくり。


 翌朝、6時くらいから出発の準備を始める。

 私はスキル「安眠」の効果で、寝れば体力やMP、SPもすっかり回復し、疲労感もなくスッキリ起きれる。


「ほのかのスキル、地味だけど良いよね。普段はあれだけど朝だけは羨ましくなるわ。」

 友希ちゃんが眠そうな目を擦りながらテントからでてくる。

「お湯沸かしておいたから、コーヒー飲む?それと朝ごはんもどうぞ。」

 そう言ってサンドイッチを手渡す。

 友希ちゃんは眠そうにしながらサンドイッチをうけとり、一口かじる。

 あ、目を閉じて船を漕ぎだした。

 普段はしっかりしてるんだけど、朝は弱いんだよね。


 そんな友希ちゃんを見ながら朝ごはんを食べていると、

 唐突に音が響いた。


「ピンポンパンポーン。テステス。あー、大丈夫だな?

 ハロー地球の諸君。これより私、第二管理者からのアナウンスがあるので、しっかり聞くよーに。」


 それはいつか聞いたアプップデートと違い少し威圧的な声で、アップデートの時と同様に皆の頭に直接聞こえてきた。

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