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海外高校編入留学しても、やはり?

リョウが80歳になっても世界的な俳優として現役で活躍しているというキャリアデザインを想定すると、

いっそ高校は英語圏が望ましいとユウコは信じている。


自分が学んだテキサス州サンアントニオの環境はそう難しくはなかったがスペイン系の人間が多く教師の南部訛りもあったので、

日本人の少なめな同レベル高校とすると、さらに東のサウスカロライナ州の郊外などが良さそうだと考えた。


ユウコはマネージャーのヤギを通してリョウがアメリカの高校に編入するか退社するしかないという状態だとして、事務所に申請をだした。


日本の労基法ではひと月半あれば退社できる筈だがリョウは他にも個別に契約を結んでいるので弁護士が必要だったが、

心身ともに問題があるとすればそれなりの配慮も入り帰国まで事務所に所属のままでどうか、ということになった。


長く俳優を続けるための策なのでリョウにもユウコにも異議はなく、2人で隠さずに暮らせるのをリョウは喜んでくれた。


サウスカロライナは、東は大西洋に面し西はブルーリッジ山脈に接する北海道ほどの面積の州で、気候はおおむね温暖かつ湿潤で、山岳部を除いて雪の心配も無いところだ。


港町チャールストンはフィッシャーマンズ・ワーフのシーフードもとても新鮮で美味しい。


ユウコの手続きは素早く、編入先の高校もほぼ決まり、事務所のマンションを出てひとまず数週間はアメリカのマンスリーマンションに滞在することになった。


仕事と学校から解放されたリョウは生き生きとして数週間を過ごしたが、

行きの空港や日本人が少ない外国キャリアの機内をも含め、どこにいても美しく目立つリョウを観光や留学の日本人が放ってはおかず、どんどんネットに晒してしまう。


日本人が多いアメリカでは駄目だと分かっても、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの英語圏で日本人が居ない街などあるのだろうか。


リョウには、自分を知らない人ばかりが住んでいる場所で暮らすことなど、すでに不可能なのか。


ネットを見るリョウはまた、外出しなくなってしまった。


ハヤトは、病院で自分を担当した医師や看護師でさえサインをねだったり興味深げな視線を這わせてくるので、この先治療を続けて惨めな外観を見せたくなどない、とリョウに言っていたようだが、

リョウもすでにその好奇の視線の範疇に居るのは間違いない。


ユウコは、リョウが英語で個別に俳優として契約書を理解して仕事を決めていけるようになって欲しいので、

英語圏に少しでも浸って慣れる必要があると考えている。


イタリア語フランス語スペイン語などの言語圏は想定していない。


リョウが鬱ぎ込むことが増え、食事を外で取ることもなくなってしまった。


未成年でお酒も飲まないし、タバコや薬物などは日本の高校生のリョウには経験も無い。


ユウコは自分がリョウの妻であることに感謝し、リョウと毎日毎夜向き合った。


老人しか居ないような日本の田舎や離島の方が、リョウにとって自由なのかもしれない、と分かってきたが、何とか数年は英語圏で暮らしてからだ。


ユウコはリョウをホームステイにし、自分はその家のすぐ近くのアパートで暮らし、リョウの勉強をサポートした。


学問の中身自体は日本の高校生にとっては簡単なレベルで、英語であるということさえクリアすればなんの問題もないことを、

もともとユウコはよく知っていた。


リョウは日本人とは一切付き合わず、ユウコと共に白人のホストファミリーとその関係者らとの交友を少しずつ楽しめるようになってきていた。


リョウには来年の大学進学の選択肢も出てきていたが、彼はまだ19歳で人生は始まったばかりだ。


夏休みのニューヨークではブロードウェイやオフブロードウェイを出来るだけたくさん観るため、ディスカウントチケットに並ぶ毎日を過ごした。


リョウは毎晩鑑賞しているとどうしても有名な役者としては身体の中から滾るものを押さえきれないように高揚してしまい、

ネットにニューヨークのリョウらしき画像がアップされることも増えていき、もうTKTSに2人で並ぶことは出来なくなった。















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