ナナ
決闘は、間もなく訪れた。
彼らの側から、招待という形で、僕たちは彼らの根城へ赴いた。警戒していた警備体制も、客人であれば丁重に扱う。僕らの心配をよそに、簡単に教祖まで辿りついてしまった。
教祖は、若かった。まだ、二十代だろう。
僕たちを見ると、まず、拍手をした。そして男に向け、
「すばらしい方だ。私のほかに、このように能力を授かった人間が居るとはね」おまけのようにこちらを見ると、「そちらはお弟子さんかな」
そんなことを言った。彼は全く、僕を警戒していない。
「招待されたところ悪いが、私はお前を殺す気で居る。そんな相手を褒めたところで、何も得はしないぞ」
「結構です。私を殺そうといきがる人間が居ると言うのも、また一興。しかし誰もそれを果たせていない。あなたは、どのようにして私を殺すんですか?」
「悪いが」男は繰り返し、視線を教祖へ向ける。「お前の能力はわかっている。場に、影響を与えることができる。そうだろう? お前には、私の能力がわかるか?」
しかし教祖は高笑いを上げる。
「これは驚いた、私の能力はばれてしまっているわけですね。ええ、たったそれだけの能力ですよ。そして、私にはあなたの能力は、わからない。これは、本当に、殺されてしまうかもしれないな」
それは、馬鹿にしているわけではなさそうだった。そして何か秘策を持っているわけでも、なさそうに見えた。本当に、予測が的中し、そして彼は、本心から、殺されてしまうかもしれないと思っているかのような、そんな顔に見えた。
「余裕だな」
「余裕なんてありませんよ。私が力を使おうと思えば、この建物の中に居る全ての人間に影響が出る。もちろん、私自身にも、です。その中、私はあなたにどうやって勝てばいいのでしょうね。困ったことに、私はまだ目的を成し遂げていないと言うのに」
この台詞は、こちらには好都合だった。
何せ男も、なんてことのないただの人間だからだ。もう、何の能力も持っていない。
「ならばこういうのはどうだろうか。お互いに、能力を使わず、人間らしく、肉体で勝負をする」
「人間らしく、ですか」
男は白々しく、嘘を続ける。
「私も能力を持って生まれた身。自分が異端である認識は、常にあった。自分は人間ではない何かなのだと。そう思わざるを得なかった。しかしどうだ。この、まさしく勝負をするために能力を与えられたかのような二人が、最後の最後、人間として誰もが持っているこの身で、決着をつける」




