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英雄譚  作者: 枕木きのこ
3/9

サン

 二年前、とある宗教団体の教祖が、日本社会への攻撃を始めた。当初、それは「かの台風は私の力である」「地震をも、私は自在に操れる」と、全く信憑性の欠片もない発言ばかりで、誰も信じないどころか、ネット上では散々な物言いをされたものだった。

 彼らの信念は、日本社会の崩壊と再生、らしかった。それも、自分たちの宗派が中心に立つ、彼らのための再生というわけだ。当然馬鹿にされ、誰も相手になどしていなかったが、ひとつの事件を経て、それは色を変える。

 地下鉄に乗り合わせた乗客、百五九人が、同時に、心臓発作で死んだ、という事件だった。奇怪なものに目がないメディアに大きく取り上げられたこの事件は、過去の、例の事件を髣髴とさせ、人々を震撼させた。

 何よりよくなかったのが、この事件を、教祖が予告していた、という点だった。もちろん、予告の段階で警察は動いたが、彼らには教祖を捕まえることができなかった。まるで宣戦布告のように、教祖を捜査していた関係者が、同じように、警察署内で次々と心臓発作を起こし亡くなっていったからだ。手を出すには、強大すぎた。武力行使に訴えようとしても、特殊部隊も、何かしらの災害や事故などに巻き込まれ、彼らの拠点に近づくことさえ叶わなかった。

 ともかく、その一件を経て、彼らを見る目は、がらりと変わった。ある者は畏怖し、ある者は信仰し、日本は彼らによって二分された。

 諸外国も、この事態を重く見たが、教祖の「日本には誰も近寄れない」という言葉通り、空からも、海からも、日本に、ある一定地点まで近づくと「進めなく」なってしまう、という奇妙な現象が起き、傍観するしかなくなってしまった。

 彼らはこの二年で多くの人を味方につけ、多くの人を殺した。

 そこに、濁りはない。

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