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恐れ
最後の一つを直前にして、リリアムの作業は遅れていた。
別に故障があったとか素材が足りていない、構想が練れていないといった問題が起きていたわけではなかった。
強いて言うなら、目標達成を前にして怖じけづいていたのだった。
10年もの間武器を打ちつづけてきた体は女性らしさを薄れさせていた(とリリアムは思っている)。体はダークエルフの特徴が色濃く染み付き、褐色の肌に純白の髪だった。
紫水晶を思わせる瞳以外、ぱっと見て“リリアンローゼ“だと気づくのは難しいだろう。
リリアム自身にダークエルフへの忌避はない。
だけれど、エルフにとってはそれが普通、慣習なのだ。
“ビュリーに蔑んだ目で見られるのではないか“
それがリリアムの唯一絶対の恐怖だった。
自らを抱くように屈み込んでいた。
体の震えが止まらなかった。
目をつむり、自身の内側を見直すリリアム。
静かに鎚を手にした。




