たまには失敗だってある。
---ブリッツドール、
雷の魔石を核に強固な岩石を寄せ集めてできた体は頑丈で、
下手な武器では傷をつけるのが精一杯である。
レベルが低い冒険者では剣や槍では弾かれ、打撃武器では少々欠けるのが精々だろう。
また強固な体と重量から繰り出される体当たりやパンチはシンプルだが恐しい破壊力を秘めており、それに加えて打ち出される雷撃により近距離のみに限らず対応してくる嫌らしさもあってランクBに限りなく近いランクCとされている。
リリアムもまた、ブリッツドール相手に苦戦していた。
リリアムのお気に入りとなった「水象刀」であるが、ブリッツドール相手には相性が悪い。刃が欠けることのない、という点では都合がいいのだが、剣身を構成する水塊が攻撃の衝撃で飛び散ったりした場合、相手の雷撃による攻撃が通電したときどうなるかわからないのだ。
そんなわけで、昔打った剣で敵の攻撃を凌ぎつつ間合いを保ちながら相手の隙を窺う時間がかれこれ30分続いている。集中力を切らせられない時間としては長い。モンスターの疲労具合を推し量るのはむずかしいが、体格からいって長引けばリリアムのほうが不利だった。
地面の窪みに足を捕られ、リリアムがバランスを崩す。
その隙を見逃さず拳を振り下ろすブリッツドール。
無理に逆らわずに転がるようにして回避する。
飛んできた破片が飛んでくるのを、致命傷になりそうなものだけかわし、弾く。
一向に倒れないリリアムに痺れを切らせたのか、飛び掛ってくるのを体勢を整えて迎え撃とうとする。
再び吹き飛ばされて、仰向けに転がっている私に影が差す。
ブリッツドールが振り上げた拳を落とそうとしていた。
リリアムはブリッツドールの胸部に右手を伸ばし、
ブリッツドールの拳が地面を打ち抜いた
そう地面をだ。
ブリッツドールの背中から緋色の刃先が飛び出ていた。
緋蓮刃。
リリアムの手に握られていた刀身のない剣から圧縮された炎が打ち出されていた。
「あ~あ、魔石は駄目でしょうね…。」
ぎりぎりのところで倒したものの、弱点である雷の魔石を貫通したのだ。仕方がなかったとはいえもったいない。
リリアムはさっぱりと魔石を諦め、ブリッツドールの体を構成する
岩石の中から鉄鉱石なんかが含まれていないか探すことにする。
せめて素材くらい見つけられなければ凹む…。
小さな呟きを聞くものは誰もいなかった。




