緋蓮刃
神への試練は容易くはないのである、まるっ!
ファイアーラビットの角以外をギルドに売りさばく。
ぼったくられているのは分かっているが構わない。
売り払って得た金で薪や炭を買い込み、街を出る。
やはり追跡者がいたが、森でエルフには適わない。
早々に振り切って事前に用意しておいた鍛冶小屋に行く。
本来鍛冶場というものは、移動した先々で簡易のものを作るというのは
剣の出来にとっていいことはない。それを可能にしているのはリリアムの魔法の才により、炎と炎から発生する熱を精緻にコントロールできるが故である
緋蓮刃 ランクC
ファイアーラビットの角を加工して作った玉に魔法陣を刻んだものを柄部分に仕込んである。ポメルに魔力を流すことで炎の刃を発生させる。高度に圧縮された炎は高熱となり鎧すらもないかのように貫く。
その高熱から自身を守るため熱を前面にのみ発生させるようにしてあるが、そのために魔力の消費量は大きい。
洞窟を出て月の光にかざして確認する。
わずかに鍔部分が溶けている。どうやら完璧に、とはいかなかったようだ。"刃掛"に緋蓮刃を収める。
が、次の瞬間にはペイっと吐き出される。
「な、何でっ!?」
不意をつかれて思わずらしくない言葉が出てしまう。
「残念だが、それは剣というより槍というほうが正しかろう。おもしろいが、条件の"刃"とは言えまい。ランクもCだしのぅ」
「そ、そんなぁ~」
「くくく、残念だが次の一振りを期待しているぞ。ではまたな。」
はぁ、とため息をつく。
戦刃の誓い、というか戦神の合格基準はわかりづらい。
剣とナイフはそれぞれ最初の一本は一本として認められたが、東国の武器カタナとワキザシはワキザシは一振りとして認められなかった。
カタナ、は技による切断に特化した武器として認められたが、ワキザシはカタナと同じ条件の武器であるとされたのだ。
ナイフは短さをある意味利点として認められたが、ワキザシは様式上の理由でその短さである、戦闘上の利点ではナイフやカタナとそれぞれ重複するというのだ。
カタナという武器において間合いは非常に重要なのだ、と説得を試みた(後になって思えば神様相手に条件について交渉するとかとんでもない不敬をと恐ろしく思ったものだ)が、
「うむ、確かに間合いは重要であるが、それはカタナなどに限られるものでもあるまい。」
「た、確かにそうだけど…はい、わかりました」
私は渋々引き下がらざるを得なかったのだ。
なんてこともあったくらい、戦神様の基準は曖昧だ。
あ~あ、また一本ダメだったか。材料もったいない…ぐすん。
少しだけ幼児退行したリリアムであった。




