対極の網羅
未來王の図抜けた仲間たち、
未來王に問う。
魔王・Ⓓディス、
「ねえ?
語り継がれている神話たち、
どんな教戒があるの?」
未來王、
ネオ・トレジャン・ヴェルセント・マイタレイヤ、
返答する。
『神話とは……、
残酷な歴史物語です。
野蛮な欲望、理不尽な正義、
それらを正当化したもの、ともいえます』
魔導師・Ⓒクロス、
「裏切り、醜い覇権争い……、
怨恨憎悪の物語だヨ、なァ?」
魔導師・Ⓢシップ、
「略奪謀略……、
殺戮の物語ですね?」
『神話から得られる教戒……、
それは対極の網羅かも知れません。
光と闇、陽と陰、明と暗、善と悪、生と死……、
対極を網羅するからこそ、
見えてくるものがあります』
魔導師・Ⓖゲイル、
「レオナルド・ダ・ヴィンチのことばに……、
物語を描くうえでは、
正反対の両者を一緒にしておくといい。
対比の効果が演出される。
醜い人と美しい人、大きい人と小さい人、
老人と若者、強い人と弱い人……、
互いに近いところにいればいるほど、
そのコントラストは大きくなる。
できるだけ異なる者をくっつけておくといい……。
とありますね?」
魔導師・Ⓔイレーズ、
「じゃあさ?
神話はまやかし? フェイク?
繰り返されている不毛な戦争の意味って……?」
『アインシュタインのことばに……、
平和は強制できるものではない。
それは理解することでしか到達できない……。
とあります。
理解できない人間が犯した過ちを、
理解できる人間が償っているのです』
魔王・Ⓓディス、
「ンフフフ……、
アタシは苦しみ、絶望し、死を知った。
だけど奇跡を信じていた。
対極を網羅するからこそ、
最悪を最高に転換できた。
この偉大な世界の中に自らが存在している!
今はとっても幸せよ?
宇宙の神秘と結びつくことができたもの……」
『ゲーテのことばに……、
奇跡は信仰の愛児だ。
最悪の日に生まれた者は、
悪い日も快いであろう……。
とありますね?』
魔導師・Ⓒクロス、
「タゴールのことばに……、
賢者はいかに教えるかを知っている。
愚者はいかに打ち負かすかを知る……。
って、あるよなァ?」
『サルスティウス・ユグルタ戦記に記されています。
あらゆる戦争は起こすのは簡単である。
しかしやめるのは極めてむずかしい。
戦争の始めと終わりは、
同じ人間の手中にあるわけではない。
始めるのは、
どんな臆病者にもできる。
しかしやめるのは、
勝利者がやめたいと思うときだけだ、と。
賢者が正しい判断をすること、
常に願っています』
超呪術師・Ⓡリリィ、
「しかし過ちは繰り返されています。
権威欲を隠して人を操る、
平和を祈る素振りで戦争へと導く、
慈善活動の裏で淫欲を満たす……、
そんな愚かしい歴史が重ねられています」
魔王の息子・Ⓑブーブー、
「そうなんだよ!
人間って懲りないよねえ?
期待するだけ無駄だよね?」
『いいえ、そんなことはありません。
実は多くの人間が過ちに気づいていました。
その証拠が音曲や詩歌です。
それらは人間の心魂に語りかけます。
気づかせようとメッセージを送っています』
魔導師・Ⓔイレーズ、
「うん。
風の音、波の音、木々のさざめき……、
そして世界の音曲のどこかに、
深い意味、込められているよね?」
『大人たちが子供たちに与えるもの……、
それが惨鼻な絶望でありませんように……。
愛ある希望でありますように…………』




