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本物に巡り合う

 未來王の親友たち、

 極等級ウィザード・四人衆。

 未來王に問う。


 Ⓢシップ、


 「未來王、

 カルトとは何でしょうか?」


 未來王、

 ネオ・トレジャン・ヴェルセント・マイタレイヤ、

 返答する。


 『カルトとは、

 小さい集団という意味です。

 謂わば、小さな王国です。

 そこでは絶対的存在を創出します。

 熱狂的信奉者がそれを献身的に支えます』


 Ⓖゲイル、


 「ずいぶん閉鎖的……、ですね?」


 Ⓒクロス、


 「カルトはアタッチメント理論を利用する。

 能動的思考能力を奪って依存させるんだヨ」


 Ⓖゲイル、


 「地獄を恐れるあまり、

 引き込まれる者がいる。

 弱った心に付け込まれて、

 操縦(コントロール)される者が居る。

 (まど)わされて、

 判断を間違う者がいる……」


 Ⓔイレーズ、


 「大体さ?

 死んで肉体を離れたら楽園天国(パラダイス)で豪遊生活! 

 幸せいっぱい夢いっぱい! 

 なーんて、さ?

 絵空事(えそらごと)の間抜け思考、論外すぎて笑えるよ。

 極楽浄土とか? 

 神より高い地位(ポジション)を得られるとか? 

 幸せの絶対保証とか? 

 実体のない()()()(えさ)だよね?」


 Ⓒクロス、


 「オオッ? 架空取引かァ?

 そりゃあウッハウハだなァ?

 そもそも人間には百年程度の寿命しかない。

 そんなのが神や仏になれるはずがないんだヨ!

 陳腐なサーカス団のおりから逃げだせヨ」


 Ⓖゲイル、


 「如来衆タターガタとは、

 五感を消失した無味乾燥の境地である。

 元素(エレメント)とは、

 もはや成分物質である。

 そんな到着地……、

 目指す奴らの気が知れないな」


 Ⓢシップ、


 「悩める者たちの悲哀や弱みにつけこむ。

 罰が当たると強迫観念を植え付ける。

 そうして金品をせしめる。

 布施、浄め、供養、免罪符?

 もしかしたらそれは、

 偽善を駆使した集金システムかも知れないなあ」


 『ハハ、確かに。

 残念ですが、

 天国行きのチケットは売っていません』


 Ⓢシップ、


 「ニーチェのことばに、

 個人が狂気にとらわれるのは稀有けうなことだ。

 ところが、

 個人がまとまって何かの団体になったとき、

 ある党派として結束した場合、

 民族として団結した場合、

 あるいは時代の渦に巻き込まれた場合、

 いつのまにか狂気にとらわれてしまう、

 そんなことが普通に起こる……、と。

 そんなものでしょうか?」


 『一概には言い切れませんが……。

 ゲーテのことばに、

 人間のエゴ、欲望の主は(みずか)らである。 

 あまりに多くを望むもの、

 錯綜さくそうしたものを喜ぶもの、

 それらは邪道に陥り勝ちである……。

 とあります。

 つまり狂気の主……、

 それは自分自身なのです』

 

 Ⓖゲイル、


 「しかしながら、

 人生には強大な運と努力が必要です。

 ときに私財を投げうってでも、

 ()()に縋って(ゆだ)ねてしまう……。

 そんな方々が多いように感じます。

 どうしたら善導を得られますか?」


 『人間は完璧ではありません。

 間違えることで学びます。

 気がついたら正せばいいのです。

 そもそも自分の人生です。

 生き方の選択権は自分自身にあります。

 決定できないから()()()()に任せてしまう……。

 それは投げやりな博打(ばくち)です』


 Ⓢシップ、


 「結局のところ。

 信仰に意味はないのですか?」


 『いいえ、そうは言っていません。

 あくまで個人の自由です。

 ゲーテのことばに、

 偉大なもの美しいもの、

 進んで喜んであがめること、

 それはわたしの天性である。

 そしてこの素質、

 非常にすぐれたものに接することにより、

 日々刻々養い育てて行く。

 それはあらゆる感情の中で、

 この上なく幸福なものである……。

 とあります。

 フレキシブルな感性、バランス感覚が重要です』


 Ⓔイレーズ、


 「うん、同感」


 『各々(おのおの)の勝手なイメージを具現化しようと試みる……、

 それには限界があります。

 そもそも神仏は無形の存在(メタフィジカル)です。

 しかしながら()()は存在しています。

 それらは華美ではなく簡素です。 

 純朴な美しさがあります。

 もしかすると貴方はもうすでに、

 出会っているかも知れません。

 あまりに目立たなくて、

 あまりにさり気なくて、

 見過ごしているのかも知れません。

 是非とも今生(こんじょう)において、

 本物と巡り合っていただきたいですね』




 

 


 

 

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