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全てを捧げた男は神の如き力を手にし、世界を統べる  作者: 神無月 瑠奈
第3章

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第59話

『ただ一つの権能を奪ったくらいで私と君たちの差が埋まるとでも?』


―せいぜい粋がってろッ。最後に笑うのは俺たちだ―


「最終決戦ってやつだね」


しかし、強がってはいるが、実際は神化したレオンの魔力回路は依然ズタボロ状態。アレスもレオンからの魔力供給を経て辛うじてこの戦場で意味を成している。


不気味な静けさがその場を支配する。


―行くぞッ!―


その静寂を最初に破ったのはレオンだった。その掛け声に呼応しアレスは精霊魔法を魔力の限り放つ。それを示し合わせたかのようにレオンは転移門を無数に開き、同時にアルファを覆い隠すように開いた出口からアレスの精霊魔法が不規則にアルファへ遅いかかる。


『芸がないね。先ほどの戦法はもう聞かないよ』


その瞬間アルファの両手に盾と穂先が二つに分かれた二又の槍が出現する


―ッ……これはッ⁉―


それはレオンが有する雷霆と同種。つまり……


―神器ッ!―

『正解ッ!』


しかも、それは二つで一つの神器ではない。一つ一つが同等の神気を帯びている。


―貴様ッ……一体どれだけの神器をッ―


『さぁッねッ‼』


二つの神器に呆気にとられた瞬間を突かれてしまった。攻撃は盾によって全て防がれ、肉迫したレオンの腹部を深く抉るように蹴られ、その衝撃によって数千メートル上空から地上に蹴り落される


「レオンッ⁉」


―グゥッッッッ………―


『上空が君の領域なら地は私の領域(もの)だ』


静かにそう告げるとアルファは二又の槍の穂先を地面へ突き立てる。


本来であれば刃こぼれを誘発するのでよくはないのだが。アレは神器。それも飛び切り死の気配が籠った代物だ。何が起きても不思議ではない


死者(プロケシオス・モ)復活の(ルトゥールウィッス・)行進(レスルジェンティウム)


「何が起こると思う?」


風の精霊を器用に扱い上空から降りてきたアレスが不気味な音……いや、唸り声にも似た音を立てながら揺れ動く大地を見つめながらレオンへ問いかける


―さぁな……だが、構えとけ。絶対良くはならない―

「あぁ、違いない」


アレスはレオンから補給した魔力を練り高めながら苦笑にも似た笑みを浮かべた


―起きろ―


その瞬間そこは地獄と化す


「ア、アァ…アァァァッ!……」


一体。二体……地面に亀裂が入ったと思ったらその亀裂から無数の人が……いや、人だった何かが地上から這い上がってきたのだ


「あれは……死人。屍食鬼(グール)だッ!」


数秒後。その間にレオンたちの目の前には万を悠に超える屍食鬼の軍勢が現れた。しかもご丁寧に屍食鬼一体一体に中位の天使と同等の神気が込められている


―気を付けろ。アレをただの屍食鬼と一緒にするなよ―

「うん、微かだけど屍食鬼から異質な何かが放たれているのが見えたよ。アレは神の力かなにかだよね?」


その察しの良さに補足も何もなく静かに頷く


―俺も天使を出したいところではあるんだが今は魔族の掃討を任せていてこれ以上は出せない。よってこいつらの相手は俺たちでやるしかない―

「全く。君と一緒にいるとつくづくとんでもないことになるね」

―そうだな。なら最後まで笑っていよう―

「そうだね。祝賀パーティーは君持ちだ」


そう言い終えるや否や神気を帯びた屍食鬼の万の軍勢が一斉にこちらへ襲い掛かってくる


―雲よ。集え―

「水の良き隣人たちよ。風の良き隣人たちよ。未だ成熟し得ないオイラだけど、その御力を貸しておくれ」


その時運悪く戦場の周辺に一人の翁がいた。その翁はわずか数キロ先で起きている出来事を目視し、こう感じた


「この世の終わりじゃ……」



黒々と上空に浮かぶ雲の塊。それはレオンの命によって集った雷雲。その中には普通の人間。いや、S級の魔物でさえ一瞬で消し炭になるほどの雷エネルギーが蓄積されていた。


魔法とは精霊と協力し世界に干渉する奇跡。その精霊がもつ力が強大であればあるほど干渉し得る力は増す。そして、その精霊が認めるエルフももちろん規格外の化け物である。そして、この男はあのエルフの女王すら舌を巻く程。その力は言わずもがなである。

それは神と昇華したレオンの横に立つのにこれ以上ない存在である


―雷鳴時雨―

「            」


その瞬間世界は揺らぎ天使と同等の神気を纏った屍食鬼の万の軍勢は一片たりとも残さずその跡形を消してしまう

「案外なんとかなるもんだね」

―俺もお前も相当力をッ………ゴフッ―

「ッ⁉」


その時だった。レオンの胸から一本の腕が生えた。突然の吐血にアレスは動揺し、腕の根元へ視線を移す。そこにいたのは………


『どうかな?仕返しされる気分は』


ニチャァァと気色の悪い笑みを浮かべたアルファが経っていた。


(まずいッ!またレオンの天啓がッ)


“天変万雷が奪われる”


それが頭によぎった瞬間アレスの行動は早かった。アルファへ攻撃を加えようと風の精霊の補助を受け、レオンの魔纏に迫る速度で肉迫する。しかし、アルファはソレを結界で弾き、レオンの中に眠る天変万雷へ手を伸ばす。


―フッ………―

『ッ⁉』


その瞬間レオンは力なく垂れ下がっていた手へ再び力を籠め、燐状態へと変質させる。そして、アルファの腕を掴み……


いらっしゃいッ!(ウェルカム!)

『ッ⁉まさかッ』


アルファがレオンの狙いに気付くほんのゼロコンマ一秒の世界。その数舜をレオンは他の神々の因子を簒奪することだけに全ての意識を割く。


―お前たちの仇を取ってやるッ!俺に力を貸せッ‼―


その瞬間。アルファの中の奥深くで眠りについていた無数の神々の因子が目を覚ます


『クッ!簒奪したなッ⁉再びッ……この我からッ!』

―一人称は()じゃなかったか?アレスッ!―

「冷や冷やさせてくれるねッ!ハァァァッ‼」


それは神が放つにはあまりにもか細すぎる光。しかし、その光こそどこにも起源を持たないアレスだけの起源。よって、それは世界の理から外れる


『オイラは……オイラだッ!』


『ヤァァメェェェロォォォォッッ‼』


不格好ながらも神と化したその肉体に更に最上級精霊の力を加算し、確かにその瞬間レオンと同等の領域へ足を踏み入れたのであった

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