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全てを捧げた男は神の如き力を手にし、世界を統べる  作者: 神無月 瑠奈
第3章

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第56話

―機は熟したッ!我が名の下に罰を下せ!聖戦の始まりだ


レオンにとって二度目の号令。十の軍に分割した全ての天使の軍勢が魔族領へと降下を開始する。本来であればレオンは魔王城へと乗り込み魔王を仕留めるはず。しかし、その必要はなくなった。天罰によって死した者は過去現在未来からその存在を消し去られてしまう。よって過去へ帰ったとしてももう一度殺す必要はなくなったのだ。天使たちの後ろ姿を見届けたレオンは天空雲城の方へと移動を開始するのだった。


―と、その前にこの姿をあの子らに視られるわけにはいかない。


雲を大量に生成し、それらをルニエルが張った特定種族断絶結界の更に外側へ貼り付け内側からの視覚を完全に遮断する


「なッ、なんだッ⁉雲がッ!」

「父ちゃんの力だッ!ってことはどこか近くにいるってことだよなッ!」

「でも、お父様の魔力は全く感じられませんッ」



―驚かせてごめんな。子ども達よ………あと、その他も。少し事情が変わった。すまんが、少しの間俺の中に居てくれ


「「「「ハァァッ⁉」」」」

「ちょッ待ッ!」


ローランが何かを言おうとしていたが、そんな事を聞いている暇はない。問答をスルーしてレオンは自身の内側へと天空雲城をしまい込む


『なるほど、己の内側(世界)へしまい込みましたか……私が奪い損ねた神の力を人の身でありながらよくぞここまで………』


丁度天空雲城をしまい込んだ直後に背後から不快極まりない声が聞こえてくる


―直接向かい合うのはこれが初めてだなぁ。俺の子等をよくも食おうなんぞしてくれたなぁ。


レオンの恫喝にαはどこ吹く風と言わんばかりに笑う。その笑い声すらレオンの神経を深く逆撫でする


『アレは私が契約した男が望んだこと。存在の格が上の魂を喰らう事で人を超えた何かに成れると信じていたので協力したまで。あんな取るに足らないゴミ屑如き私には不必要です。』


ピキッ……

それはレオンにとって触れてはならない一番の事象


―あぁ?そのゴミ屑とやら。俺の子等のことじゃないだろうな?もしそうなら言葉は慎重に選べよ?コロスゾッ


両の手によって握りしめられた処刑の鎌。それがレオンの感情の高まりと同調するかのように不気味に青白く灯りだす。濃厚な殺意がαの喉元に刃を立てる


『怖いですね……ですが、事実。あんなものを取り込む必要など微塵もない。私が欲するのは貴女が持つ力。その全てが欲しい。それだけですから』


レオンの殺気を受けて尚、平然と会話を続ける。

張りつめた空気。レオンが放ち続ける濃厚な殺気に空間が悲鳴を上げはじめる。そして、ソレは世界全体の天候にすら影響を与え始める。


・・・・・・・・

「職員を今すぐエントランスに集めろッ。全員だ!」

「はいッ!」


そこはかつてレオンが拠点として一年近く冒険者として活動していたファーストテイル。先ほどまで灰色だった空は消え去り、本来は昇っているはずの太陽すらその姿を消していた。その不気味さに、長年死線を潜り抜けてきた元Aランク冒険者の勘が反応する


「今動ける限りの冒険者へ通達しろッ!一般人はすぐにこの冒険者協会の地下演習場を含む避難シェルターへ避難させるッ!冒険者はその避難誘導。斥候には町の外周辺の異常を調査させろッ!総員ッ取り掛かれッ‼」

「「「わかりましたッ!」」」


職員はグランテの指示で一斉に動き始める。町全体に張り巡らされた連絡網をフル回転させ、町全体の避難誘導が開始され始める。


「一体何が始まろうってんだよ………レオンッ」


消えた空を見上げながらグランテは呟くのだった


・・・・・・・・・・・・

―まずは、小手調べだ


瞬間雷雲がαの頭上に発生し、雷が墜ちる。それは神へと至る前のレオンが放つ雷とは比べ物にならない程のエネルギーを有した一撃。しかし………


混沌(カオス)


瞬間αの周囲からドス黒い何かが溢れ出し落雷はその中へと吸収されていった。そして、その何かにレオンの中にある天変万雷がひどく怯える


―悪寒……どうりで神々の力を容易く奪うことが出来た訳だ。


『【奪う】という言葉。少し語弊があるようですね。正しくは【返して】もらう。元は私の力なのですから。勿論あなたからも()()()貰いますね』


―これはお前の力じゃねえ。はい、そうですかと奪われるわけにはいかねえよッ!


瞬間レオンはレオンの中から3対6枚の純白の翼をもつ4体の天使を取り出す。


熾天使(セラフィム)ッ!我が眼前の敵を打ち倒せ!


((((ッ!))))


それらはレオンの号令によって一斉にαへと攻撃を仕掛ける。それと同時にレオンは大鎌の形をしていた雷霆(ケラノウス)を矢へと変化させ、雷によって生成した弓へと装填する


―死ね


限界まで引いた矢をα目掛け解き放つ。


『何度やっても無駄ですよ。それはもともと私の力なのだから』


放った雷霆も熾天使すらαのドス黒い混沌へと飲み込まれてしまった。それはまだいい。攻撃を防がれるのは想定内。あれくらい防ぐと踏んでの攻撃だ。しかし………


―戻ってこない……だと⁉


矢として放った雷霆。それを呼び戻そうとするが全く反応しない。


―クソッ戻ってこいッ!


手を伸ばし必死で問いかけるがその問いにも全く反応を示さない。それを見たαはニタァと気色の悪い笑みを浮かべる。


『君が探しているのはコレのことかな?』


その瞬間レオンは目を見開く。相変わらずの神経を逆撫でするようなその声で、レオンへ語り掛ける。アルファの手元には、先ほどまでレオンが手にしていた雷霆があったのだから


―ッ⁉……何故お前がソレをッ


『さっきも言ったじゃないか。これはもともと私の力なんですよ。それを掌握し、主を挿げ替えるなんて造作もない。そうやって私の子孫たちは力を私に返してくれたんです』


 (なるほど……だから天変万雷の前任者も戦うのではなく逃げることを選択したのか………)


全身に怒りが立ち上り、力が入る。


(飛び道具は聞かないどころか吸収されるときた……あれ?なんか前にも同じ感じの奴と戦ったような……あっ)


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