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全てを捧げた男は神の如き力を手にし、世界を統べる  作者: 神無月 瑠奈
第3章

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第54話

「それで?妾に頼みとは一体なんじゃ?」


それはレオンの為の小屋でのこと。


「一つ。作って欲しい魔法がある。発動と維持で必要とする魔力に関しては度外視でいいから事前に設定した特定の種族を完全に出入り不可能にする結界魔法。勿論ナターリリアのような転移系の天啓や魔法ですら出入り不可能なものをだ。それだけに特化していればいい。他のバフ、デバフなどの機能は必要ない。とにかく大陸一つ分を囲い込み、完全に出入り不能にすることに特化した結界魔法を頼む」

「ふむ………できないことはないかもしれないが新しく魔法を作るとなるとそれなりに時間が必要になる。それも完全封鎖となると……イェルセシスで解析した結界の天啓。その術式を取り入れたとしても一年以上掛かる。それも少なく見積もってもじゃ。それ以上の時間を要する可能性もある」

「じゃあ、これを使えばどの程度まで期間を短縮できる?」


そう言って、レオンは百を超える紙の束を無造作に作業台に放り出す


「これは?」


ルニエルはソレを手に取り、レオンへ問う


「それはイェルセシスを覆う建国者イェルが張った結界の術式。その全てだ。少し手間はかかったがなんとか模写することはできた後は解析と再現だけなんだが、今の俺では二割が関の山だ。だが、お前であれば全ての解析。応用も可能なのではないか?」

「ほぅ……」


感嘆に近しい声を漏らす。


「確かに……これは素晴らしい。ざっと目を通しただけでも分かる。二週間じゃ。二週間でこの結界術式を解析する。勘じゃが、これを用いれば少なくとも半年は短縮可能じゃ」

「上出来だ。なら、早急に作業に取り掛かってくれ」

「待つのじゃ。まだ、問題がある。魔力消費は度外視でよいと言ったが、どうするつもりじゃ?妾とて魔力の総量は有限じゃぞ?」


そう。それはレオン以外の全生命が抱える必然の問題。


~魔力の総量~


レオンは魔神の心臓を宿しているが故にどれだけ魔力を消費してもすぐに回復する。しかし、他の者はそうもいかない。それが例え魔力の総量が全種族の中で最も多いと謡われるエルフの女王。ルニエル=

フィ=リーフ=アウリエだったとしてもだ。


「魔力に関しては俺とパスが繋がっているこの天空雲城の動力源である精霊石から補給してくれ。俺の魔力は無限だから、いくら魔力を持っていかれようと問題ない」

「なるほどのぅ………良いじゃろ。では、妾は早速作業に取り掛かる。お主もお主の為すべきことせよ」

「言われるまでもない。そのつもりだ」




・・・・・・・・・・・・

ユーティアたちがイェルセシスから帰還して、丁度一カ月が経とうとしていた。ユーティアたちが上方を持って帰ってきてからレオンは、一向に自室から出てこようとしない。


「お父様……どうするつもりなのかしら」

「………」

「………」


それは日中活動している魔物も静かに寝静まる深夜のことだったローズマリン、エルトロン、ハイドランジーの為にレオンが用意した三人部屋で、ローズマリンがボソリと呟く。


「あなたたちも感じているんじゃない?この得体の知れない悪寒」

「わかってるよ。その悪寒が父ちゃんの作業小屋から放たれてることもな……」

「あなた、それが分かってて心配じゃないの⁉」

「チッ……そんな訳ないだろッ!でもな?今の俺たちじゃ父ちゃんの力になるどころか足手まといにしかならないんだよッ!この間の結界解析時も俺たちの周囲数百キロに父ちゃんの出鱈目な魔力の膜が貼ってあった。アレは結界だ。俺たちがまだまだ未熟だから信用してもらえてないんだッ!」


己の無力さがエルトロンに襲い掛かる。どれだけ鍛錬を重ねても……いや、重ねたからこそ思い知らされる。レオンというエルトロンにとって父の底知れない強さを。

どれだけ早く攻撃しようと。どれだけ重い一撃を入れようと。その全てを悉く真正面から受ける


「父ちゃんに認めて貰いてぇ……でも、今のままじゃあ無理だ。父ちゃんはさ、俺たちは地上最強の種族だなんていうけど本当にそうなのか?どれだけ鍛錬してもどれだけ成長しても父ちゃんに並べるだけの未来(ビジョン)が見えない」


気が付けばエルトロンの眼からは涙が溢れ出していた。それに気づき急いで袖で涙を乱雑に拭う。そのせいで目の周りは赤くなっていた。


「多分だけどお父様は魔族との戦いに私たちの誰も戦わせるつもりないんじゃないかしら」

「……あぁ、だろうな。あとどのくらい猶予があるのか知らないけど俺も父ちゃんの力になりたい」

「えぇ、なりましょう。私も、あなたも……そして、あなたもよ?ランズ」

「…………zzZ」

「「………」」


真面目な話をしていたはずなのに返事が帰ってこず、ハイドランジーの方へ視線をやると涎を垂らしながら幸せそうな子をしながら寝ていた。


「もう寝ましょうか」

「そうだな。明日も早い」


そうして、何もない穏やかな夜が過ぎていくのだった


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