表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後まで、Yes。ノヤマノハナ  作者: 上之下 皐月
23/78

第二章 その18 長門門司 『ノヤマノハナが良いコーチだったのかは分からない。だが、良いコーチとは最低限ノヤマノハナのようにあるべきだと俺は知った。』

俺達はカーリング場の二階にあるラウンジに着くと誰ともなく椅子に腰掛ける。

…誰も何も話さないな。

俺達は一言も(しゃべ)る事もなく、ただ、野山乃花の言葉を待った。


最初に言葉を発してしまえば、(すなわ)ち、それがこの試合の評価となる。

そんな気がしていた。

軽い言葉を発してはならない。


俺達はよくやったのか?

情けなかったのか?

俺達には分からない。

俺達はどのように戦い、負けたのか。

例えそれが罵倒であれ、野山乃花にきちんと評価をして欲しかった。


ガタリ、と椅子が音を立てる程勢いよく、野山乃花は立ち上がる。

指先までしっかり伸ばしたまま、頭を下げる。

「今日は精一杯カーリングして下さり、ありがとうございました。見事な試合でした。そして、申し訳なくありました。今日の敗北は先輩達の力を出し切れなかった私に、全ての責任があります」


一瞬、全員が固まる。


俺の野山乃花のイメージと言えば。

気が強くて鼻っ柱が強いが、プライドが高い。

背も小さいし胸は()()()に小さいが、小生意気で生意気で態度が不遜。

可愛げがなく素直でもないが、無口で言葉足らず。

人に対して厳しく、自分に対してはもっと厳しい。

そして恐らく腐女子。


だが。

この責任感か。

これが、コイツの「当たり前」か。


人間というのは負けた時にこそ、その真価が問われるのかもしれない。


この、歳下の、野山乃花はその小さな身体でどれ程の理不尽(敗 北)に立ち向かってきたのか。


気を強く保たねば、乗り越えられなかったであろう、敗北。

生意気で不遜な態度でなければ目標とすることさえ嘲笑される、勝利。

口を開けば(あふ)れてしまうであろう、愚痴。

自分に対して厳しくあらねば覆せない程の、環境。


…少しは言い訳するか、俺達の()()にしろよ。

お前、いまからそんなんで、一体どんな大人になるつもりだよ。

俺達が「たわけ」ならお前は「バカヤロー」か。

今更ながら、こんな小さな女の子に俺達を背負わせちまった自分が情けない。


これが「負ける」という事か。

本当の敗北は、チームもコーチも一眼となって目指した結果の敗北は。

自分達よりも、チームメイト、コーチに対して申し訳なくなるものか。


野山乃花に()()()()()()()()


その事を何より俺は悔いた。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ