再会と新たな出会い
王都への出発の日、村長をはじめ村人達にはしっかりと頑張ってこい、と激励された。リアナより年少の子供達の中には泣き出す子もいた。
リアナは自分が思っていたより遙かに好かれていた事に気づき、くすぐったいような気持ちが胸にわき上がった。
アルヴァはどこか決意を秘めた目でリアナを見て、「俺も自分に出来ることをする。だから、リアナも頑張れ」と力強い声で話した。
最後にリアナの両親はリアナをギュッと抱きしめた。そしてかけた言葉は「体に気をつけて」「辛くなったらいつでも帰っておいで」などリアナを気遣うものだけだった。
リアナは両親の深い愛情を垣間見た。
リアナは知っていた。両親が本当はリアナを王都に行かせたくないということを。
昨日の夜、興奮のあまりリアナが眠れないでいると、ジーナのすすり泣きとフランツがジーナをなだめている声が聞こえてきた。
リアナはそっと耳を澄まし両親の様子を覗った。幼いリアナをやっぱり王都に行かせたくないと泣くジーンをフランツがやさしく諭していた。
話の内容から察するに何度も同じやりとりがあったようだった。
両親はリアナがキラキラとした瞳で学校で錬金術を習うのが楽しみだと話していても、笑顔で相づちを打ちながら聞いてくれたので、反対の意志を持っていることに全く気づかなかった。
リアナの思いを尊重して本心を隠して送り出してくれる両親の意志を無駄にしないために、知らないふりをした。
緊張しながら教室に入ると、ユイリーがリアナに気づきこっちこっちと手を振ってくれた。
「やあ、これからはクラスメイトとしてよろしくね」
「うん、こちらこそ。でもよかったぁ、ユイリーがいて。ここに来るまでもジロジロ見られるし、もう勘弁して欲しいよ」
「う~ん、それは仕方ないんじゃない? 学校始まって以来の最年少だし。僕だって驚いたし。最初の内だけだから、まあ頑張れ!」
「ううぅぅ、人ごとみたいに」
「だって、人ごとだし」
ポンポンとした会話を楽しんでいると、黄金色の長い髪を靡かせた、まるで今から夜会にでも行く途中ですかと聞き返したくなるほどの豪華な赤いドレスを着た少女が近づいてきた。
少女はきつい眼差しをリアナに向けた。
リアナの内心はパニックに陥っていた。
なにか気に障ることをしたのだろうか?
服がみすぼらしいすぎるとか?
私より低い年齢で合格して、生意気よ! きいいぃぃ! とか考えてるのかな?
見るからに身分の高そうな少女に睨まれるなんて、これはいじめのフラグが立ったかも、とリアナはこれから暗雲立ちこめる学校生活を想像して内心で頭を抱える。
「きゃあ、可愛いですわ! 可憐です! お名前はなんとおっしゃるの?」
「へっ?」
まるで想像していなかった言葉の羅列にリアナは呆気にとられた。すぐに気を取り直して慌てて答える。
「えっと、リアナです」
「まあまあ、お名前も愛らしいのね。私はアデリーヌといいますわ。お友達になってあげてもよろしくてよ」
これは、友達になりたいというお誘いだろうか? 返事はもう決まっている。
「光栄です」っと。
なぜだかわからないが、リアナはすごく気に入られていた。アデリーヌの好みにリアナがドストライクしたようだ。誰が見ても美少女と言われるアデリーヌと比べればリアナなんて月とすっぽんである。ぶさいくとは言わないが、いいとこ中の上である。アデリーヌの目には厚いフィルターがかかっている。
アデリーヌは貴族であることに誇りを持っているが身分差別の意識は持っていなかった。口調は上から目線でちょっと高慢だが、心根は優しくツンデレだなとリオナは思った。
リアナとアデリーヌが話している間、ユイリーはスカッと無視されていた。
鐘の音が鳴り、授業が始まった。
必修授業では、魔力属性と錬金術の関係性を学んだ。
リアナが驚いたことは、傷を癒すポーションは錬金術師だとだれでも作れると思っていたが、ポーションは光の属性を持つ者しか作れないということだ。ほかにも、攻撃アイテムは自分の持っている魔力属性のみだけ作ることが出来るようだ。
リアナは六つも属性を持っている。普通の人間は一つしか持っていないのでリアナは彼らの六倍のアイテムを作ることが出来る。いや、アイテムの中には複数の属性を必要とするモノもあるのでもっとだろう。リアナは他の者と比べて自分が強烈なアドバンテージを持っていることに気づき喜んだ。
。
リアナの持っている属性は、光、闇、空間、時、火、水だ。空間や時などの属性は密かに珍しいのでは? っと思っていたが、普通に少他の属性に比べれば少ない方だがいるらしい。
教師が魔石を一つづつ全員に配る。そして魔石に込めたい属性の魔力を注ぐように言った。教師の指示に従いながら目をつぶる。集中して心臓にあるという魔力を探す。すると、自分の中に暖かい何かがあることを感じ取れた。六つの光を発するそれの内、金色に光るモノだけ魔石に移すように試みる。
スーとした何かが体から抜けていく感覚と同時に魔石が金色に染まった。
やった! 成功だ!
周りの生徒達も次々と歓声をあげる。全員が魔石に魔力を注いだ事を確認した教師は授業の終了を告げる。
今まで、魔力など感じたことがないリアナだったが自分の中に六つある魔力を感じることが出来て感動した。
前世での授業は退屈だったけれど、異世界の授業は最高だ!
休憩が終わり、次の魔力操作の授業が始まるのが待ちきれないリアナであった。




