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友達

 リアナはアデリーヌの問いかけに答えることが出来なかった。

 そんなリアナの耳にユイリーの大きなため息が耳に入り身体が強張った。

「アデリーヌさん! そんな意地悪してるとリアナに嫌われますよ」

 ユイリーは諫めるように言った。

 それに慌てたのはアデリーヌである。

「そ、そんな! リアナがわたくしのこと嫌いになるはずありませんわ!」

 アデリーヌはユイリーの言葉に動揺し、リアナを不安そうな顔で見た。


 リアナは二人の言動がイマイチ飲み込めていなかった。


 嫌われるのはリアナの方ではないのか?

 どうしてアデリーヌはこんなにもリアナなんかの反応を気にしているのか?


 リアナの胸中には疑問が渦巻いていた。


「リアナ、実を言うと僕たちは君が複数の属性を持っていることを知っているんだ」

「えっ?」

 リアナは予想だにしない言葉を聞いて目を大きく見開いた。


「どうしてって顔をしているね。簡単なことだよ。リアナは複数の属性の授業を受けているよね? それが噂になっていることと、リアナは最近アイテムを大量に作って売りさばいているようだね。道具屋の主人が自慢していたよ、すごいちびっ子がいるって。リアナが作ったということを信じていない人も多いけど、鋭い人はみんなリアナが作ったことを確信しているよ」


 リアナは自分が隠していた事があっさりばれていた事に脱力感を覚えた。


「リアナは賢いけれど、やっぱり幼いからか抜けているよね。本当に隠したいなら、学校の道具屋でなくて外の道具屋で売らないと」

 ユイリーは口元を緩めて言った。

 

「リアナの態度から何となく属性のこと隠したかったのはわかったけど、誇るべきことなのにどうして?」

「そうですわ! リアナはすごいのですからもっと胸を張って知らしめるべきですわ! そうしたら、リアナを貧乏だとバカにしているボンクラ共も腰を抜かして驚きますわ」


 二人の言葉からはリアナへの嫉妬は見られない。

 ユイリーはどうしてリアナが隠したいのか不思議そうだ。

 一方のアデリーヌはリアナが見くびられているのが悔しいらしい。


 リアナの胸に暖かいものが満ちあふれてくる。気づけば頬を冷たい水で濡らしていた。


「ど、どうしたんだい?」

「わ、わたくし達がリアナを泣かした--いいえ、ユイリー! あなたがリアナに無理に理由を聞いたりするから!」

「そ、そんな! アデリーヌさんこそリアナが隠したいことを知らしめるべきなんて言うから!」

「だって、しかたないじゃない! リアナがあんな奴らに侮られているのが我慢できないのですもの!」


 リアナの涙を見て激しく動揺した二人は、お互いに責任をなすりつけあっていた。

 そんな姿を見てリアナ頬は緩み、口からクスクスと笑い声が漏れる。

 それに気づいて二人は言い争いをピタリと止めた。そしてほっとした表情でリアナを見た。


「ごめんなさい、ユイリーにアデリーヌ。わたし、複数の属性を持っていることが二人にばれたらわたしから離れていくかもしれないって思って怖かった。だから避けたの。なるべく授業も被らないように調整して。----距離をおいた方が離れて行った時に傷つかなくて済む、そう思ったの」


 リアナは醜い自分の心を謝罪の言葉と一緒に打ち明けた。


「わたくしがリアナから離れるなんてありえませんわ!」

アデリーヌがリアナに向かって駆け寄り、ギュっと小さな体を抱きしめた。

「僕だってそうだよ!」

 ユイリーは彼にしては強い口調でアデリーヌの言葉に賛同した。


 ユイリーはリアナが避け始めてからアデリーヌがどんなに寂しがっていたか話してくれた。

なんでも、ユイリーの部屋に毎日やって来てリアナについてあれこれ相談していたようだ。

アデリーヌはユイリーの言葉に真っ赤になって怒って否定していた。アデリーヌ曰く、ユイリーがリアナについて悩んでいたから聞いてあげたそうだ。


どちらの言葉が真実に近いかリアナはわかっていたが追及しなかった。


ユイリーはアデリーヌが連日ユイリーの部屋に来ることで、彼女の兄であるアマデオに凍えるような目で見られ、しつこく彼女に指一本触れないことを念押しされたそうだ。


リアナはユイリーにますます申し訳なくなった。

アマデオのアデリーヌに接する態度からその様子が容易に想像できた。


思い出したようにアデリーヌが手をパチンと合わせて話し出す。

「そうですわ! お兄様がリアナとユイリーを誘って素材採取に行こうって言ってくださったの! お兄様とお兄様のご友人が護衛をしてくれるって言っていましたわ! リアナとユイリーは来週の闇の日と光の日は空いていますかしら?」


 この世界は、火の日、水の日、風の日、土の日、氷の日、雷の日、闇の日、光の日と一週間が八日ある。曜日の名前は属性にちなんで付けられている。闇の日と光の日は国民の休息日である。だから授業も休みである。

 つまり授業があるからなどという言い訳は使えない。

 シスコンなアマデオの反応が恐ろしかったが、リアナにとって素材屋で手に入る以外の素材を手に入れることが出来る採取は願ってもいないことである。

 そして何より二人と一緒に採取に行けることが嬉しかった。

 

 リアナは「イエス」と答えた。もちろんユイリーも。


 こうしてリアナ、ユイリー、そしてアデリーヌは採取の旅に行くことが決まった。





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