第6話:兄貴分ブルーノと悪友フィン! 初めての薬草ピクニック
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柿ピーと燻製ナッツでギルドマスターの胃袋を掴み、無事にFランク冒険者証を手に入れたミナト!
今回は王都の頼れる先輩冒険者コンビ――重戦士ブルーノ&斥候フィンと初合流します!
男3人+狐で繰り広げる、男子高校生の放課後ノリ全開な「薬草ピクニックお散歩ロケ」が始まります!
神々のコメント欄とともにお楽しみください!
「おい、ブルーノ! フィン! ちょっとこっちへ来い!」
エールで完全に上機嫌になったバッカス親父の野太い怒声が、酒場の奥へと響き渡った。
ドカドカと足音を立ててカウンターへやって来たのは、対照的な二人組だった。
一人は、身の丈二メートル近い筋骨隆々の巨漢。
全身を分厚い青銅の鎧で固め、背中には巨大なタワーシールドを背負っている。顎髭を蓄えた豪快な面構えだが、その瞳にはどこか優しげな光が宿っていた。
もう一人は、身軽な革鎧を着込んだ茶髪の少年。
腰に二本の短剣を佩き、年齢は俺と同じくらいだろうか。
「なんだよ親父、せっかくの昼酒の邪魔すんなよー」
「そうだぞバッカス。次の依頼の仕込み中だったんだが……ん? そっちのお客人は?」
「おう。こいつは今日付けでうちのギルドに登録したFランクポーターのミナト坊主だ。お前ら、ちょうど昼から近場の採取依頼に行くだろう。この坊主を連れてって、外のイロハを教えてやってくれ」
バッカスが豪快に俺の背中をバチンと叩いた。地味に痛い。
茶髪の少年――フィンが、まじまじと俺の顔と制服を覗き込んできた。
「へぇ! あんたが噂の? さっき大通りを歩いてくるのを見たぜ! すっげぇ美人の騎士様を侍らせて歩いてる変な服の奴がいるって、酒場中で持ちきりだったんだからな!」
「お、おいフィン、失礼だぞ」
巨漢の戦士――ブルーノがフィンの後頭部を軽く小突き、俺に向かって大きな手を差し出してきた。
「すまねぇな、こいつは口が軽くてよ。俺はCランク冒険者パーティ『青銅の盾』のリーダー、ブルーノだ。重戦士をやってる。で、こっちの調子乗りが斥候のフィンだ」
「葉山湊です。ミナトって呼んでください。戦闘力はゼロですが、荷物持ちと料理くらいなら役に立てると思います。よろしくお願いします!」
「おう、よろしくなミナト! 気楽にいこうぜ!」
フィンがニッと白い歯を見せて肩を組んできた。
同年代の男子特有の、この飾り気のない距離感――めちゃくちゃ気が楽だ!
だがその瞬間、背後からスッと氷点下の冷気が立ち込めた。
「……貴様ら、我が主に馴れ馴れしく触れるでない。切り刻むぞ(ジャキリ)」
白銀の甲冑の美貌の女騎士――シルヴィアが、星輝剣の鍔を親指で弾いて殺気を放っていた。
ブルーノとフィンが「ヒエッ!?」と抱き合って飛び退く。
「じ、冗談じゃねぇ! 本物の聖騎士団長様じゃねぇか! なんでこんなとこにいるんだよ!?」
「我が主、やはりこのような粗野な男どもに任せるのは不安です。このシルヴィアが騎士団を率いて護衛を――」
「シルヴィアさん、ダメです! 薬草摘みに近衛騎士団がゾロゾロついてきたら怪しすぎるでしょ! それに団長さん、さっき王宮からの緊急伝令バードが届いてましたよね?」
「うぐっ……主の仰る通り、近衛の定例軍議がございまして……」
シルヴィアは名残惜しそうに眉を八の字に下げ、俺の制服の袖口をきゅっと掴んできた。
「ですが……我が主の身に万が一のことがあれば、私は……っ」
「大丈夫です、ブルーノさんたちもいますし、危ない場所には行きませんから。夕方には宿に戻ります!」
「……わかりました。必ず、無事にお戻りくださいね……?」
名残惜しそうに手を振りながら、シルヴィアは足早に王宮へと戻っていった。
嵐のような女騎士が去り、ブルーノとフィンが胸を撫で下ろす。
「た、助かった……首が飛ぶかと思ったぜ……」
「おいミナト、お前マジで何者なんだよ……? 騎士団長様がお前に甘ったるい目ぇ向けてたぞ……?」
「あはは……まあ、色々ありまして。それより行きましょう、薬草採取!」
俺は誤魔化すように笑い、二人を促してギルドを出発した。
もちろん、胸ポケットに仕込んだ神具スマホのカメラはバッチリ起動済みだ。
【主神アルト】:シルヴィア君のお見送り可愛いw
【愛の女神フィリア】:名残惜しそうにするシルヴィア様、完全に恋する乙女ですわ!
【豊穣神デメトラ】:男連中との採取か! 野に生える美味い野草を見つけたらカメラに映せよ!
◇
王都の東門を抜けると、目の前にはどこまでも続く青空と、柔らかな緑の芝生が広がる緩やかな丘陵地帯――通称『陽だまりの丘』が広がっていた。
そよ風が吹き抜け、白い綿毛のような野花が揺れている。
「うわぁ……めちゃくちゃ綺麗だな」
「だろ? ここは王都のすぐ側だから凶暴な魔物は出ねぇし、スライムや野ウサギくらいしかいねぇんだ。ピクニックには最高の場所さ」
ブルーノが豪快に笑いながら先頭を歩く。
「で、ミナト。今日受けてきた依頼はこれだ」
フィンが羊皮紙の依頼書を広げて見せてくれた。
「『ヒーリンググラスの採取(30株)』と、甘い香りのする『星屑草の採取(10株)』だ。ヒーリンググラスは傷薬の原料で、星屑草は大聖堂の香油やお茶に使われる高級草だな」
「なるほど……でも、この広い丘からその二種類だけを探すのって、結構大変じゃないですか?」
青々とした芝生を見渡し、俺が首を傾げると――
「くふふ、ミナトよ。妾の出番を忘れておらぬか?」
俺の肩の上で丸くなっていたコハクが、得意げに胸を張った。
七色の尻尾がポワンと光を放ったかと思うと、煙とともに姿を変える。
現れたのは――ピンと立った三角耳と、つぶらな瞳が愛らしい、モフモフした柴犬風の子犬だった!
「わんっ! ……じゃなくて、妾の神獣の鼻を舐めるでないぞ! この風に乗る薬草の匂いなど、百歩先からでも丸わかりじゃ!」
「おおおおっ!? 狐が犬になったぁぁぁ!?」
フィンが目をひん剥いて飛び上がった。
「すげぇ! ミナト、この狐……いや犬、ただのペットじゃねぇのか!?」
「まあ、優秀な相棒カメラマン兼マスコットですからね。コハク、案内頼むぞ!」
「任せるのじゃ! こっちじゃ、ついてまいれ!」
トテトテと駆け出すコハク。
俺たち男3人は、笑いながら子犬の後を追いかけた。
「ここじゃ! この岩陰に群生しておるぞ!」
コハクが前足で地面をカリカリと引っ掻く。
岩の隙間を覗き込むと、銀色の縁取りがある鮮やかな緑の葉――『ヒーリンググラス』が、みっしりと茂っていた!
「うおっ、マジだ! しかも傷一つねぇ特級品じゃねぇか!」
フィンがナイフを取り出し、手慣れた手つきで根を傷つけないように刈り取っていく。
俺も背負い袋から麻袋を取り出し、採取した薬草の土を払いながら丁寧に敷き詰めていった。
「手際がいいな、ミナト。土を落として葉が擦れねぇように分けてる。ポーターの才能あるぞ」
ブルーノが感心したように頷く。
「実家の庭で家庭菜園を手伝ってましたからね。植物の扱いは慣れてるんです」
さらにコハクの神がかった嗅覚の案内により、日当たりの良い斜面で銀色に輝く美しい花――『星屑草』の群生地もあっさり発見。
本来なら半日以上かかるはずの採取依頼が、なんと一時間足らずで完了してしまった!
「すげぇや……! こんな楽な採取依頼、冒険者になって初めてだぜ!」
フィンが草の上に大の字に寝転がり、晴れやかな空を見上げる。
【主神アルト】:コハクのわんこ形態かわえええええ
【愛の女神フィリア】:男の子たちが仲良く河原で遊んでいるような、爽やかな空気感……! とても癒やされますわ!
【豊穣神デメトラ】:薬草もいいが、そろそろ昼時ではないか? 少年、腹は減っておらんのか!?
神々のコメント通り、俺の腹も「ぐぅ」と小さな音を立てた。
スマホの画面を見ると、時刻はちょうど正午を回ったところだ。
「よし、依頼も終わったことだし、ここで昼飯にしようぜ」
ブルーノが腰の革袋から、旅の携帯食を取り出した。
ゴトッ、と岩の上に置かれたのは――
石のようにカチカチに乾燥した灰色の黒パンと、水分が完全に抜けて塩を吹きまくった茶色い干し肉だった。
「……ブルーノさん、それって?」
「ん? 冒険者の定番の携帯食だ。日持ちするからな。エールか水でふやかして、奥歯で削りながら食うんだよ」
そう言って、ブルーノが眉間にシワを寄せながら干し肉を力任せに噛みちぎる。顎の筋肉がギシギシと音を立てていた。
フィンも「顎が疲れるんだよなぁ、これ……味もしょっぱいだけだし」とテンションを下げている。
俺の料理人としての魂が、静かに、しかし激しく燃え上がった。
(快晴の青空の下、男3人でピクニックに来ておいて……そんな悲しいカチカチの干し肉で済ませられるかよ!!)
「ブルーノさん、フィン。その携帯食を噛むのはちょっと待ってください」
「あ? どうしたミナト?」
俺は立ち上がり、神具スマホをサッと構えて天界通販アプリをタップした。
「せっかくの野外飯なんですから……男らしく、ガツンと美味いものを食べましょう! 俺が最高の昼飯を作ります!」
第6話をお読みいただきありがとうございました!
次回――第7話は、男たちの胃袋を完全に掌握する「あの揚げ物」が登場します!
天界の武神アーレスも巻き込んだ、熱狂の飯テロをお楽しみに!
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