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配信切り忘れに気づかない聖女様、裏では俺にベタ惚れなのが神々と異世界中に筒抜けだった件 〜変幻狐と行く異世界ダンジョンお散歩生活〜  作者: 湊月


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第45話:クラリッサ商会の野望! 特製ソースの製品化

いつもお読みいただきありがとうございます!

前回の第44話では、大聖堂の来賓用の離れにて、ミナトが振る舞う優しい家庭料理『ほくほく肉じゃが』と『黄金の出汁巻き卵』を囲み、家族の温かな絆を確かめ合いました!

コハクの変身モノマネに悶絶する美形パパ・クリストフ司教と、

「大聖堂に閉じこもるだけが聖女ではない」「外の世界の民を救う真の巡礼の聖女になりなさい」という父からの深い導きによって、ルミアの心の鳥籠が解き放たれました!

そして迎える第45話は、大豪商クラリッサの本丸へ乗り込む【特製ソースの量産化×不労所得の空間魔導財布×クラリッサの愛の独占欲】の爽快商談回です!

フェスで王都中を熱狂させたあのソースが、ついに王国全土へ向けた特産品へ!?

さらに、ミナトの提案による「売上7割の孤児支援基金」と、日々の生活や将来の遠出でもお金に困らないチートアイテム【空間魔導財布】の登場!

広場の景観や通行を一切邪魔しない「光の空中ホログラム」と、音までクリアに届く「風魔導スピーカー」、そして触るだけで登録できる「推しボタン水晶」の常設化まで!

頼もしすぎる大商人クラリッサの華麗な手腕と、ミナトへの熱すぎる本音を、どうぞお楽しみください!

白銀の装飾が施された豪奢な馬車に揺られること十数分。

王都中央の大通りを抜けた先、壮麗な石造りの建築が立ち並ぶ中央商業区の一角に到着した。

目の前にそびえ立っていたのは、クラリッサ商会本部だった。

案内された最上階の貴賓応接室は、思わず息を呑むほどの贅沢な空間だった。

足元には磨き抜かれた純白の大理石と深紅の絨毯が広がり、壁面には王国の歴史を描いた見事なステンドグラスが柔らかな光を投げかけている。

「うむ! この甘酸っぱい木苺のタルト、実に見事な出来栄えじゃ! サクサクの生地と濃厚なクリームがたまらぬのじゃ!」

ふかふかの高級革張りソファにどっかりと腰掛けたコハクが、運ばれてきた最高級ハーブティーと極上フルーツタルトを幸せそうに頬張っていた。

頭上には神具スマホがふわりと浮遊し、優雅なティータイムを天界へとバッチリ中継している。

「ふふ、お口に合って何よりですわ、コハクちゃん」

対面に座るクラリッサが艶やかに微笑み、手にしていた扇子をパチンと心地よい音を立てて閉じた。

その瞬間、いつもの愛らしい笑顔から一転、大陸屈指の大豪商の若き会頭としての鋭利な光がその瞳に宿る。

「さて、ミナトさん。お待たせいたしましたわ。……本題に入りましょう」

クラリッサは傍らに控えるメイドに合図を送り、テーブルの上へ分厚い羊皮紙の束をずらりと並べさせた。

「昨日のフェスであなたが開発した『特製濃厚ソース』……あの甘辛くスパイシーな至高の味を求める貴族、騎士団、そして民衆から、我が商会へすでに数千件の問い合わせが殺到しておりますの。まさに空前絶後の大熱狂ですわ」

「す、数千件ですか……!? フェスが終わってまだ半日しか経っていないのに……」

「ええ。王都の胃袋は完全にミナトさんのソースに征服されましたのよ」

クラリッサは得意げに胸を張り、羊皮紙を一枚指先で滑らせた。

「我が商会直営の調味料工房にて、現地食材を用いたレシピの完全再現と量産体制の構築をすでに命じましたわ。つきましては、王都のみならずアステリア王国全土、さらには周辺諸国への『特製濃厚ソース瓶詰め』の独占製造・販売ライセンス契約を締結させていただきたいのです」

すると、隣でお茶のカップを手にしていたルミアが、翡翠色の瞳を瞬かせて不思議そうに口を開いた。

「あの……ミナトさん。私、ずっと不思議に思っていたのですが……あの素晴らしい特製ソースって、どうやって作るのですか? ミナトさんの故郷にしかない特別な魔法の調味料だと思っていましたのに……」

ルミアの素朴な疑問に、俺は思わずふふっと笑みをこぼした。

「あはは、魔法なんて使ってないよ、ルミアさん。実は故郷のソースって、元を辿ればヨーロッパの家庭料理が発祥なんだ。大掛かりな機械や特別な薬なんて使わなくても、身近な食材で作れるんだよ」

「えっ、身近な食材で……?」

「うん。ベースになるのは、トマトや玉ねぎ、人参といった野菜と、すりおろしたりんごのような甘い果実なんだ。これらをじっくり煮込んで旨味を引き出し、そこにお酢の爽やかな酸味、お砂糖のコク、そして胡椒やクローブ、シナモンといったスパイスを合わせて熟成させる。とろみはお芋のデンプンでつければ、焼きそば麺にしっかり絡む極上の濃厚ソースができるんだよ」

「まぁ……! あんなに深くて香ばしい味が、野菜や果物とお酢からできていたのですか!?」

ルミアは目を丸くして感嘆の息を漏らした。

「ええ、その通りですわ!」

クラリッサが誇らしげに扇子を胸元に当てて頷いた。

「野菜や果実の旨味を凝縮し、お酢で日持ちをさせ、我が商会が誇る最高級のスパイスを絶妙な比率で配合する……。ミナトさんに教えていただいたレシピを試作させたところ、我が工房の熟練調達人たちが『これは大地の恵みの極致だ!』と涙を流して絶賛いたしましたのよ!」

【豊穣神デメトラ】:『うむ! 野菜と果実を煮詰め、酢と香辛料で熟成させる……これぞ大地の恵みを余すところなく活かした至高の調味料じゃ! 素晴らしいぞミナト!』

【主神アルト】:『へぇー! ソースって野菜と果物とお酢で作れるんだな! 異世界の工房で完全再現できる理由がめっちゃ納得だわww』

「契約条件ですが、製造・流通・販売にかかる経費はすべて我が商会が負担。純利益の【五割】を、レシピ考案者であるミナトさんへロイヤリティとしてお支払いいたしますわ」

「ご、五割……!? クラリッサさん、それはあまりにも破格すぎますよ! 仕入れも販売も全部商会がやってくれるのに、半分も俺が貰うわけには……」

俺が慌てて手を振ると、クラリッサは悪戯っぽく微笑んだ。

「いいえ。あの味そのものに、それだけの絶対的な価値がありますの。……ですが、ミナトさんのことですから、そう仰ると思いましたわ」

俺は少し考え、隣でそわそわとお茶を飲むルミアの横顔を見つめてから、口を開いた。

「クラリッサさん、一つ提案があります。俺に入る五割の取り分のうち――【七割】を、大聖堂の孤児院や、王都でお腹を空かせている子どもたちのための『食事支援基金』として自動寄付するようにしてほしいんです」

その言葉に、クラリッサとルミアは同時に目を丸くして息を呑んだ。

「じ、七割を寄付……ですの!?」

「はい。俺は普段の生活と美味しいご飯が作れるお金があれば十分ですから。昨日、屋台で焼きそばを嬉しそうに頬張っていた子どもたちの笑顔が……これからもずっと続いてほしいんです」

「ミナトさん……」

ルミアが胸元に両手を当て、瞳を潤ませてこちらを見つめてくる。

クラリッサは深く感嘆の溜息を吐き、静かに首を横に振った。

「……はぁ。どこまで無欲で、お優しい方なのでしょう。利益を貪る貴族たちに、ミナトさんの爪の垢を煎じて飲ませてやりたいですわ。……承知いたしました! その『ミナト子ども食事基金』は我が商会が責任を持って設立し、毎月の売上から自動送金して運用いたします!」

「ありがとうございます! 助かります」

「そしてミナトさん。残りの三割の取り分ですが……いちいち我が商会の窓口へ足を運んで金貨を受け取るなど、お手間でしょう?」

クラリッサは微笑みながら、胸元のポケットから手のひらサイズの上品な小革財布を取り出した。

深い黒革に、繊細な金糸の刺繍が施されている。

「これは……?」

「我が商会の最高機密魔導具【空間魔導財布(マジックパース)】ですわ。我が商会の中央金庫と空間魔法で直結しておりますの。ソースの売上が計上されるたび、ミナトさんの取り分が自動的にこの財布の中へ『チャリン』と直接転送されますわ」

「ええっ!? 財布の中に直接お金が湧き出るんですか!?」

「ええ。どれだけ金貨が入っても重さは変わらず、ミナトさん以外の者が手を入れても空っぽにしか見えない防犯機能付きです。王都での生活はもちろん、将来的にどこへ買い出しや遠出をされることになっても、銀行や両替商を探す必要は一切ございませんわ」

【主神アルト】:『全自動不労所得財布キタァァァ!! これで一生金欠の心配消滅したなww』

【愛の女神フィリア】:『売上の7割を子どもたちへ寄付……ミナト様、どこまでお心が聖母なのですか……! そして空間魔導財布便利すぎるーーっ!!』

あまりに便利なチートアイテムに俺が感激していると、契約書へのサインを終えたクラリッサが、ふと柔らかな眼差しを向けてきた。

温かいお茶に口をつけ、静かに問いかけてくる。

「ところでミナトさん。フェスも無事に大成功で終わりましたけれど……ミナトさんはこれから先、どうなさるおつもりですの? ずっとこの王都で暮らすのかしら?」

突然の問いに、俺は少し視線を彷徨わせ、頭を掻いた。

「うーん……正直、俺にも分からないんですよね。元々ある人(神様)の気まぐれでここに来た身ですし、このスマホで配信を続ける限り、いつその人(アルト様)から『別の場所へ行け』って言われるかも分かりませんし……」

「そうでしたのね……」

クラリッサは持っていた扇子をきゅっと胸元に抱きしめ、紫水晶のような瞳を揺らした。

だが次の瞬間、大商会の主としての凛とした光を取り戻す。

「もしミナトさんがいつか王都を出て、遠くへ行かれることになっても……わたくしはこの王都に残らないとですわ」

「クラリッサさんはついて来ないんですか?」

俺が尋ねると、クラリッサは誇らしげに微笑んだ。

「ええ! ミナトさんの素晴らしい調味料や料理を世界中へ広げる流通網の総司令塔は、王都の本部でわたくしが指揮を執らねばなりませんもの! ミナトさんがどこへ行っても物資や資金に困らぬよう、王都から世界中の支店へ指示を出し続ける……わたくしは、ミナトさんの【最強の後方支援者】になりますわ!」

その堂々たる宣言に、俺は思わず感嘆の声を漏らしかけた。

――だが。

クラリッサはスッと立ち上がると、テーブルを回り込み、俺の目の前までツカツカと歩み寄ってきた。

そして、至近距離から上目遣いに俺をじっと見つめてきたのだ。

「……なーんて、格好をつけましたけれど。本音を言えば……商会の仕事なんて全部放り出して、ミナトさんの隣にずっといたいですわよ……っ!」

「えっ、クラリッサさん!?」

「でも、わたくしがここで稼いで盤石な基盤を作らなければ、ミナトさんが困ってしまいますもの。……ですから、もし遠くへ行くことがあっても、新しい食材や料理を見つけたら、一番にわたくしへ商業化の相談をしてくださいましね? 他の女商人になびいたら、絶対に承知しませんわよ!」

ぐっと顔を近づけてくるクラリッサに、俺の背後から素早い影が滑り込んできた。

「ク、クラリッサさん! 距離が近すぎます……っ! ミナトさんが困っていますから、少し離れてくださいましーーっ!」

ルミアが真っ赤な顔で俺とクラリッサの間に割り込み、両手を広げて壁を作った。

「あらあら、ルミアさんったら相変わらず独占欲がお強いこと。ふふ、でも負けませんわよ?」

「な、ななな、何を仰っているのですか……っ!」

【愛の女神フィリア】:『「他の女商人になびいたら承知しませんわよ」いただきましたわーーっ!!♡ ルミアちゃんの正妻ブロックも完璧ですわーっ!!(12,000pt赤スパ寄付)』

【主神アルト】:『クラリッサちゃん健気すぎて泣けるわ……! 「私が稼いで男を支える」タイプの最強ヒロインじゃん!』

二人の美少女の火花にタジタジになりつつ、俺は窓の外を眺めながら、以前から気になっていた疑問を口にした。

「そういえばクラリッサさん。大聖堂前広場に設置したあの大画面スクリーンですが……あんな巨大な木組みや板が広場にずっと置いてあると、普段の信徒さんの通行や景観の邪魔になりませんか?」

あんな巨大なスクリーンが美しい大聖堂の前に常設されていたら、大司教様たちも困るのではないかと思ったのだ。

だが、クラリッサはフフッと余裕の笑みを浮かべた。

「ふふ、ご安心くださいまし。フェスの巨大な足場は、明日の屋台解体と一緒に綺麗さっぱり撤去いたしますわ」

「えっ、撤去しちゃうんですか?」

「ええ。その代わり――ユリアス様と協力して、【邪魔にならない最新の魔導装置】を設置するのです!」

クラリッサは応接机の上へ、青く透き通った手のひら大の美しい水晶玉をトンと置いた。

「フェスの屋台などを撤去した後、広場の噴水の脇に、高さ一メートルほどの小さな美しい石柱を一本だけ設置いたします。普段は単なる綺麗なモニュメントですから、広場の景観も壊さず、信徒の皆様の通行の邪魔にも一切なりませんわ」

「でも、巨大スクリーンを無くしてどうやって画面を映すんですか? それに……光の映像だけだと、音が出ないんじゃありませんか?」

俺のもっともな疑問に、クラリッサは得意げに人差し指をピンと立ててみせた。

「ふふ、そこは天才魔導師ユリアス様ですわ! ミナトさんたちが配信を始めた瞬間、石柱の頂点から上空へ光が放たれ、広場の上空に半透明の巨大な【光の魔導スクリーン】がパッと展開されます。そして同時に――石柱の内部に組み込まれた風魔導の術式が作動し、ミナトさんの声や調理の音を、広場全体へ心地よくクリアに届ける魔導拡声器(スピーカー)として機能するのです!」

「映像だけじゃなく、音まで……!? 石柱がスピーカーを兼ねているんですね!」

「ええ! お肉が鉄板で焼ける極上の『ジュワァッ』という音も、ルミア様の可愛らしいお声も、広場の隅々まで高音質でお届けできますわ。広場から離れた大通りへは音が漏れすぎないよう、結界で調整してありますの」

「なるほど……! 空中に浮かぶホログラムと魔法のスピーカーなら、普段は広場を一切邪魔しないし、配信の臨場感も完璧ですね!」

俺が感嘆すると、クラリッサは机の上の水晶玉を指差した。

「さらに、その石柱の台座にはこの【神聖登録水晶】を埋め込みますわ。通りかかった民衆や冒険者がこの水晶に手を触れると――『ピコン♪』と軽快な音が鳴り、ミナトさんの配信の登録者として魔力波長が自動登録されますの」

「触るだけで登録できる推しボタン……! それなら誰でも直感的に参加できますね!」

「ええ! 王都の皆様へミナトさんの日常や美味しい料理をお届けしつつ、我が商会の新商品の宣伝にも使わせていただきます。さらに、ユリアス様の宮廷工房でこの中継&登録水晶柱を量産し、我が商会の交易網を使って周辺諸国の主要都市の広場や、冒険者ギルド本部へも順次売り込んで設置させていきますわ!」

クラリッサは扇子を広げ、自信満々に微笑んだ。

【主神アルト】:『空中に浮かぶホログラム画面に風魔法のスピーカーとか、ユリアスとクラリッサのコンビ有能すぎww 音が聞こえるのは神仕様だわ!』

【武神アーレス】:『うむ! 兵站(へいたん)と情報網を整えることこそ勝利の要! 実に見事な後方支援軍略であるぞ!』

特製ソースの量産化、子どもたちを救う「食事支援基金」、金貨が湧き出る「空間魔導財布」、そして世界中に配信と音声を届ける「邪魔にならない空中ビジョン&魔導音響柱」。

頼もしすぎる豪商令嬢の手によって、盤石すぎる生活と経済の基盤が整えられた。

「ありがとうございます、クラリッサさん。これで明日からも安心して過ごせます!」

「ふふ、お役に立てて光栄ですわ。……ミナトさん、これからもずっと頼りにしてくださいましね?」

柔らかな夕陽がステンドグラスを茜色に染める中、俺たちは固く温かい握手を交わしたのだった。

第45話をお読みいただきありがとうございました!

クラリッサ商会本部での【特製ソース製品化×空間魔導財布×クラリッサの愛の独占欲回】、いかがでしたでしょうか!

フェスで大ヒットした特製ソースが正式に製品化!

「そもそも異世界でどうやってソースを作ったの?」というルミアの素朴な疑問から、野菜と果実、お酢やスパイスを煮詰めて作るという目から鱗の製法が明かされました!

そして、ミナトの提案で売上の7割を子どもたちの食事支援基金へ寄付!

商会の中央金庫から直接金貨がチャリンと自動転送されるチートアイテム【空間魔導財布】を手に入れたことで、日々の買い出しや将来の遠出でもお金に困らない最高の環境が整いました!

さらに、「最強の後方支援基地としてミナトさんを支える」という豪商としてのカッコよさと、

「本当はミナトさんの隣にずっといたい! 他の女商人になびいたら承知しませんわよ!」というクラリッサの健気で熱い独占欲!

ルミアの可愛い正妻ブロックも含めて、ラブコメとしても楽しんでいただけていたら幸いです!

そして、広場の大画面問題も「普段は小さな石柱1本で邪魔ゼロ、配信時のみ上空に浮かぶ光のホログラムスクリーン&風魔導の音響スピーカー」としてスマートに解決!

肉の焼ける飯テロ音も、ルミアの甘え声も、クリアな高音質で広場へ届きます!

触れるだけで登録できる「推しボタン水晶」の普及ルートも整いました!

次回――第46話もどうぞお楽しみに。

第2章新たなる旅路まで、あと5話となります。

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