第40話:数万食全食完売! 王都の夜空を染める大魔導花火
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前回の第39話では、半熟玉子を崩した特盛焼きそばを一口食べたパパ・クリストフ司教が、あまりの美味さに理性を完全崩壊!
幼き娘を手放した長年の罪悪感を男泣きで吐露し、ルミアとの温かな和解を経て「娘をよろしく頼む!」と特大の父親公認を叫ぶ感動&爆笑劇をお届けしました!
そして迎える第40話は、いよいよ第1章フェス編の【超特大クライマックス(全食完売&大魔導花火)】です!
父親公認と結婚コールを大画面で見ていたシルヴィアとクラリッサが黙っているはずもなく、怒涛の修羅場ツッコミから開幕!
そして夕暮れとともに訪れる、仕込んだ数万食が完全完売するカタルシスの瞬間!
神具スマホに鳴り響く【チャンネル登録者数 100,000人突破】の黄金ファンファーレ!
大聖堂正面の白亜の大階段に腰掛けた仲間たちと、中央公園から夜空へ打ち上がる大輪の魔導花火。
これまで登場した王都のオールスターたちがそれぞれの場所で夜空を見上げる感動のカットイン、そして東部樹海でタブレットを抱く魔女エレナの視線まで――!
第1章の集大成となる熱い一幕を、どうぞ最後までじっくりとお楽しみください!
大聖堂の白亜の尖塔を茜色に染めていた夕日がゆっくりと沈みかけていた。
広場を揺るがした「お父さん公認だー!」「結婚おめでとうー!」という民衆の割れんばかりの拍手喝采が、ようやく収まりかけたその時――。
大屋台の中央カウンターへ、冷たい秋風を切り裂いて凄まじい威圧感が殺到した。
「――我が主?」
ゴゴゴゴゴ……と不穏な地鳴りのような気迫を背負い、白銀の甲冑を鳴らして現れたのはシルヴィアだった。
その手は、腰に佩いた白銀剣の柄をギリギリと力任せに握りしめ、透き通るような青い瞳の奥に、氷点下を遥かに下回る凄まじい嫉妬の焔を宿している。
「持ち場の警備中、大聖堂の魔導スクリーンに、ルミア殿のお父上から『娘をよろしく頼む』と頭を下げられ、数万の民衆から結婚を祝福される貴方の姿が映り込んでいたのですが……。あれは一体、いかなる軍略でしょうか? このシルヴィア、納得のいく説明を求めます」
「ちょ、シルヴィアさん!? 柄から手を離してください! 抜刀5秒前みたいな殺気を放つのやめて!?」
悲鳴をあげるミナトの眼前へ、今度はバサリと分厚い帳簿が叩きつけられた。
「そうですわミナトさん!!」
金髪の縦ロールを怒りで激しく揺らし、肩を怒らせて踏み込んできたのはクラリッサだった。
「わたくしという第一の商業パートナーがいながら! 事前の相談も契約書もなく、公衆の面前で聖女様と既成事実を作って婚約成立のような空気を醸し出すなど……明確な営業妨害、信義則違反ですわーーっ!!」
「ひいいっ!? だ、だから違うんですってば!!」
ミナトは両手をちぎれんばかりにブンブンと振って必死に弁明した。
「焼きそばを食べさせたら、お父さんが感極まって勝手に叫んだだけで! 俺は結婚なんて一言も言ってませんからぁぁぁ!!」
「も、もうやめてください……! お父様も、シルヴィア様もクラリッサ様も……! わ、私、恥ずかしくて消えてしまいたいです……っ!」
当のルミアといえば、純白のエプロンを両手で握りしめ、顔から濛々と真っ白い湯気を噴き出してカウンターの下へ蹲っていた。
【主神アルト】:『はい修羅場キタァァァァァ!!www 女騎士長の目が一切笑ってなくてワロタwww』
【愛の女神フィリア】:『キャアアッ!♡ 嫉妬する女騎士様とツンデレ商業令嬢! この三つ巴の空気、たまらなく美味ですわーーっ!!(50,000pt赤スパ寄付)』
【武神アーレス】:『む……! 戦場よりも鋭き乙女の視線、これぞ若者の修羅よな!』
「おいおいミナト! 修羅場ってる場合じゃねぇぞ!」
鉄板の脇から、汗だくのブルーノが声を張り上げた。
「焼きそばの麺も、豚バラも、これが正真正銘の最後の一皿分だ!」
「クレープ生地も、リンゴも、もう完全に底を突いたわ!」と母マリアも笑顔で告げる。
「――っ! よし!」
ミナトは冷や汗を拭い、両頬をパンと叩いて鉄板へ向き直った。
「シルヴィアさんもクラリッサさんも、後でいくらでも説明します! まずはこの祭りを、最後の一皿まで魂込めてやり切らせてください!」
二人のヒロインが息を呑み、わずかに気圧されて道をあける。
カンッ、カカカンッ!
夕闇の迫る広場に、最後のリズミカルなコテの音が響き渡った。
ジュワァァァッ! と立ち上る香ばしいソースの煙。
ミナトは丁寧に焼き上げた最後の焼きそばを大皿へ盛り付け、ルミアが心を込めて巻いた最後の林檎クレープとともに、列の先頭で待っていた冒険者の手へと手渡した。
巨大な仕込み樽も、山積みだった小麦粉の麻袋も、キャベツのボウルも――すべてが綺麗に、一欠片の残りもなく空っぽになっていた。
ミナトは息を整え、額の汗を拭いながら、広場を埋め尽くす数万の群衆へ向かって両手を大きく天へと掲げた。
「――これにて! 用意した全メニュー、完全完売です!! 皆様、本当にありがとうございましたーーっっ!!」
一瞬の静寂。
そして――。
――ウオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!
大聖堂前広場が、まるで地鳴りのような凄まじい大歓声と拍手に包まれた!
朝早くから並んでいた民衆、屈強な冒険者たち、出店していた商人たちが、誰彼構わず抱き合い、快挙を称え合って叫んでいる。
その歓声の渦の中心で、ミナトの胸ポケットに収められていた神具スマホが、眩いばかりの黄金の光を放った。
『ピロリロリロリロリロリロリ〜〜〜ン♪』
天界のパイプオルガンを思わせる、どこまでも荘厳で透き通るようなファンファーレが鳴り響く。
空中に浮かび上がった光の画面に、特大の文字が刻み込まれた。
【祝・チャンネル登録者数 100,000人突破!】
【天界特別ボーナス:1,000,000pt 付与】
『かっかっか! やり遂げたのじゃミナト!! 十万人達成じゃぁぁぁ!!』
コハクが宙をくるくると舞い、歓喜の声を張り上げる。
【主神アルト】:『10万人突破キタァァァァァ!! おめでとうミナト!! 王都フェス完全勝利の大成功だァァァッ!!(100,000pt赤スパ寄付)』
【豊穣神デメトラ】:『天晴れじゃ! 人々の腹を満たし、王都全体を笑顔で包んだその腕前、まさに神域の料理番よ! 存分に誇るがよい!』
【愛の女神フィリア】:『感動ですわ……! わたくし、胸がいっぱいで涙が止まりませんの……! ありがとうミナト様、ありがとう皆様ーーっ!!(100,000pt赤スパ寄付)』
夕闇が完全に夜の帳へと溶け込み、広場には無数のランタンと魔導ランプの温かな光が灯り始めていた。
喧騒と熱狂の余韻に包まれる広場を見下ろす場所――大聖堂の正面にそびえ立つ、純白の大理石でできた「白亜の大階段」の中央踊り場に、ミナトたちは移動していた。
心地よい夜風が、やりきった仲間たちの火照った頬を優しく撫でていく。
一段高い大階段に、ミナト、ルミア、シルヴィア、クラリッサ、ユリアスが横並びに腰を下ろし、コハクがミナトの膝の上で丸くなっていた。
眼下に広がるのは、自分たちが数万人をもてなした大屋台と、笑顔でランタンを揺らす人々の光の海だ。
「本当に……全部、売り切れちゃいましたね、ミナトさん」
ルミアが翡翠色の瞳を細め、穏やかに微笑みかける。
「ええ。わたくしの試算を遥かに超える、歴史的な大成功ですわ」とクラリッサも満足そうに目を細めた。
「我が主の成し遂げた偉業……このシルヴィア、生涯の誇りといたします」
シルヴィアも先ほどの殺気を解き、柔らかく澄んだ笑顔をミナトへ向けた。
大階段の最上段――大聖堂の重厚な正門前には、ヴァルフレート大司教と、ルミアの両親であるクリストフ司教、母マリアが並んで立っていた。
「クリストフ。良い娘に育ったな。……そして、掛け替えのない眩しい仲間たちに恵まれた」
「……はい、大司教様。私には勿体ないほどに、眩しい仲間たちです」
不器用な父が、仲間たちと肩を並べて笑い合う娘の背中を、穏やかな眼差しで見つめていた。
「ふっ……皆、空を見上げるといい。私の魔導の粋を集めたフィナーレだ」
隣に座るユリアスが、プラチナシルバーの髪を夜風に揺らしながら、胸ポケットから淡く発光する宝珠――遠隔起爆の魔石を取り出した。その理知的な眼差しには、友と共に成し遂げた大舞台への静かな誇りが宿っている。
「打ち上げ場所は、広場に隣接するアステリア中央公園の大噴水だ。騎士団に立ち入り規制を敷いてもらったため、安全性に一切の狂いはない。さらに光魔石の励起術式と発色薬草の圧縮比率を極限まで高めた完全無害仕様だ。煤一つ落ちてこないよう演算してある。――点火だ」
カチリ、とユリアスが静かに魔石を押し込んだ。
その刹那――。
ヒュウウウウウウウウウウウウ……ッッ!!
中央公園の大噴水から、一条の眩い光の矢が、空気を切り裂いて一直線に天蓋へと駆け上がった。
静まり返る王都。
そして――遥か上空数百メートルで、満天の星空が真昼のように弾け飛んだ。
――ドォォォォォォォォォォォンッッッ!!!!
深紅、黄金、群青、紫水晶。幾重にも重なる巨大な光の花びらが、夜空いっぱいに咲き乱れた。
大聖堂の白亜の尖塔が七色の閃光に照らし出され、広場中から「わぁぁぁぁぁッッ!!」と割れんばかりの歓声が巻き起こる。
光の雨が降り注ぐ王都の夜空を、それぞれの場所で人々が見上げていた。
王宮の豪奢なバルコニーでは、アルベルト国王とエレオノーラ王妃が寄り添い、手を取り合って夜空を見上げていた。
「アルベルト、あの子たちの祭りは大成功だったようね」
「ああ、見事なものだ。あの少年料理番には、いずれ王家から相応しい報奨を贈らねばな」
貴族街の屋敷のテラスでは、美食家ガストーネ伯爵が、昼間持ち帰った焼きそばの余韻に浸りながら、ワイングラス片手に花火を見上げていた。
「ふん……平民の祭りにしては、悪くない余韻だったな」と、口元に優雅な笑みを浮かべる。
広場の屋台脇では、バッカス、ブルーノ、フィンがエールジョッキを高く掲げて「完売万歳だーー!」と豪快に飲み干し、隣で副団長ヴィンセントが「胃に穴が空くかと思ったが、無事に終わって本当によかった……」と安堵の息を吐いていた。
大聖堂裏庭のテラスでは、孤児院の子供たちがシスターの手を握り、「きれい!」「きつねさんたちのお祭り、大成功だね!」と飛び跳ねて手を叩いている。
そして――。
カメラは王都を遠く離れ、鬱蒼とした「東部・静寂の古代樹海」の奥深くへと切り替わっていた。
魔導書やガラス器具が散らかった、薄暗い森のアトリエの窓辺。
配線や魔石が剥き出しになった試作魔導板を、両手でぎゅっと胸に抱きしめた女性――美しき魔道学者・エレナが立っていた。
タブレットの画面の中には、大聖堂の階段で夜空を見上げ、仲間たちと満面の笑顔を咲かせるミナトの姿が生中継されている。
「ふふ……素敵な笑顔ね、ミナトくん」
エレナは熟れた果実のように頬を赤らめ、愛おしそうに画面の中のミナトを指先でそっとなぞった。
「私も……早く会いたいな」
夜空に咲き誇る大魔導花火の光が、王都の仲間たちと、遠く樹海で待つ魔女の未来を、美しく照らし出していた。
第40話をお読みいただき、本当にありがとうございました!
フェス編の超特大クライマックス、いかがでしたでしょうか!
冒頭のシルヴィアの抜刀プレッシャーとクラリッサの営業妨害抗議という最高に美味しい修羅場から始まり、仕込んだ数万食が完全完売するカタルシスの瞬間!
そして神具スマホに鳴り響く【チャンネル登録者数 100,000人突破!】の黄金ファンファーレ!
第1話から積み上げてきたミナトたちの努力が、最高の形で実を結びました!
大聖堂正面の白亜の大階段に並んで座るミナトたちと、中央公園から打ち上がる大魔導花火。
国王夫妻、ガストーネ伯爵、冒険者たち、ヴィンセント、孤児院の子供たち、そして見守る大司教と両親……第1章で関わったすべての人々が同じ夜空を見上げる光景は、まさに大団円に相応しい美しさでした!
そしてラストには、試作タブレットを抱きしめる魔女エレナの姿が久しぶりに登場しました。
そして、物語は第2章へと続いていきます。
次回――第41話もお楽しみに。




