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配信切り忘れに気づかない聖女様、裏では俺にベタ惚れなのが神々と異世界中に筒抜けだった件 〜変幻狐と行く異世界ダンジョンお散歩生活〜  作者: 湊月


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第2話:聖女様、配信が切れていません!

第2話をご覧いただきありがとうございます!

いよいよ異世界配信ロケがスタート。美しき聖女様へのインタビューですが……タイトルの「大惨事」がさっそく幕を開けます。

神様たちのコメント欄とともにお楽しみください!

「うわああああっ……ととと!?」

雲の上から放り出された俺は、地面に激突するかと思いきや、着地の直前にふわりと見えないクッションに包まれるようにして、白大理石の敷石の上に降り立った。

手元のコンビニ袋を確認する。卵は……無事だ! 一つも割れていない!

「ふぅ……天界の主神め、送り出し方が雑すぎるだろ……」

「何を情けない声を上げておるのじゃ、ミナト! 見よ、この美しい景色を!」

俺の肩に乗った金色の神獣子狐・コハクが、ふさふさの尻尾を揺らしながら鼻を鳴らした。

顔を上げると、そこは言葉を失うほどの絶景だった。

青く澄み渡る大空の下、どこまでも続く白大理石の美しい街並み。

遠くには天を突く壮麗な王宮――アストラリス宮殿の尖塔がそびえ立っている。

俺が着地したのは、街の中央に位置する巨大な『アステリア大聖堂』の美しい裏庭広場だった。

手元の神具スマホがピロンと軽快な電子音を鳴らす。

画面には、すでに神界直通の配信画面が立ち上がっていた。

【主神アルト】:無事着いたね。ここが神聖アステリア王国の王都だよ!

【愛の女神フィリア】:キャーッ! 制服の男の子、新鮮で可愛いですわ!

【豊穣神デメトラ】:少年、手に持っているその豚肉と卵はどうする気だ?

「うわっ、もう神様たちが見てる……!?」

「当たり前なのじゃ! ほれミナト、記念すべき初配信じゃぞ。挨拶せんか!」

コハクに尻尾でペシペシと頬を叩かれ、俺は慌ててカメラに向かって愛想笑いを浮かべた。

「えーっと、神々の皆様、初めまして。葉山湊です。戦闘力ゼロの高校生ですが、この世界の日常やお散歩風景をまったりお届けしていこうと思います」

神具スマホの画面越しに、天界の神々からパラパラとコメントが流れる。

さて、初回のロケはどうするか。

キョロキョロと周囲を見回していると、大聖堂のステンドグラスの扉が静かに開き、純白の修道服を纏った一人の少女が姿を現した。

「……っ」

思わず息を呑んだ。

陽の光を浴びてキラキラと輝く金色の長い髪。

慈愛に満ちた淡い青の瞳。

胸元には豊満な膨らみがあり、歩くたびに清楚な修道服がふわりと揺れる。

まるで絵画から抜け出してきたかのような、完璧なる美少女だった。

「……あら? 裏庭にどなたかいらっしゃるのですか?」

鈴を転がすような、清らかな声。

彼女こそが、神聖アステリア王国で全信徒から敬愛される聖女、ルミエラ・エル・ヴァレンティア様その人だった。

「し、初配信でいきなり本物の聖女様キターーー!?」

「ミナト、突撃インタビューじゃ! 妾がカメラを回すのじゃ!」

コハクが尻尾を振ると、ポンッと煙を上げて小さなメイド服姿に変身し、プロ顔負けのカメラワークで俺と聖女様をフレームに収めた。

「あ、あの! 怪しい者じゃありません! ちょっとこの街の日常をリポート……お散歩しておりまして!」

「まあ……珍しい異国の衣服をお召しの方ですね。ふふ、私はルミエラと申します。神の導きによる出会いに感謝を捧げましょう」

ルミエラ様は胸の前で手を組み、天使のような微笑みを浮かべた。

その神々しさに、スマホの画面が一気に加速する。

【主神アルト】:お、ルミエラ様だ! 今日も清楚だねぇ

【愛の女神フィリア】:まあっ! なんて美しい聖女様かしら! 尊い……!

「ルミエラ様は、普段はこちらでどのようなお務めを?」

「はい。迷える信徒の皆様のお悩みを聞き、神の祈りを捧げております。皆様の心が少しでも温かくなるよう、日々笑顔を絶やさぬよう心がけておりますの」

完璧だ。受け答えも、たたずまいも、百点満点のお手本のような聖女様である。

異世界ロケの第1回目としてはこれ以上ない大成功だろう。

「素晴らしいお話をありがとうございました! それでは神界の皆様、今回の神聖アステリア王国リポートはここまでとなります! また次回の配信でお会いしましょう〜!」

俺は満面の笑みで手を振り、スマホの画面にある『配信終了』の赤いボタンを――ポチッとタップした。

……はずだった。

「ふぅー……緊張したぁ! コハク、撮影お疲れ!」

「うむ、妾のカメラワークも完璧じゃったな!」

胸を撫で下ろす俺。

聖女ルミエラ様もまた、お辞儀をして去っていく――かと思われた、その時だった。

グルルゥー。

振り返ると、そこには先ほどまでの神々しい微笑みを消し去り、お腹を空かせたルミエラ様が立っていた。

「……え? ルミエラ様?」

「あのー、 ミナトさん、お腹が空きましたので、よろしければ一緒に食べませんか」

「俺で良いんですか」

「はいっ、喜んで!」

「あと、ルミアって呼んでも良いですよ」

「では、ルミアさん、いえ、ルミア様お願いします」

その後、教会にある部屋で食事をした。

ミナトが作ったジューシーな生姜焼きとふわとろのスクランブルエッグでルミアの胃袋と緊張がさらにほぐれ、我慢の限界を迎えた

そして、彼女は俺の制服の裾を両手できゅっと握りしめ、上目遣いで体をすり寄せてきた。

「もう三時間もお祈りと説教で座りっぱなしだったんだよぉ……! 信徒のおじいちゃんのお話長すぎるし、笑顔キープするの疲れちゃったぁ……!」

「ちょ、ルミア様!? キャラ崩壊してますって!?」

「だってぇ! 誰にも言えなかっただもん。そしたら、年が近くて、感じの良い君がいたから。 頑張ったご褒美に、あたま撫でてぇ……!」

すりすり、と俺の腕に柔らかい胸元を押し付けながら甘えてくる聖女様!

いい匂いが鼻腔をくすぐり、俺の理性と心臓が激しく悲鳴を上げる。

「わ、わかりましたから! 頭撫でるから離れて――って、あれ?」

ふと、テーブルに置いたスマホが目に入った。

画面の右上で、あるマークが激しく点滅している。

『● LIVE中継中(ON AIR)』

「……嘘だろ?」

冷や汗が滝のように吹き出す。

さっき押したの、『終了ボタン』じゃなくて『画面最小化ボタン』だったぁぁぁぁぁぁっ!?

おそるおそる画面を覗き込むと、そこには天界がひっくり返ったような超高速の弾幕コメントが流れていた。

【主神アルト】:草ァーーーーーーーーッッッ!!!wwwwwwww

【主神アルト】:聖女ちゃん裏でチョロすぎてワロタwwwwww

【愛の女神フィリア】:ぎゃああああああああ尊いいいいいっっ!!!(血涙)

【愛の女神フィリア】:赤スパ投げます! 10万G投げます! 早く頭を撫でてあげてええええ!!

【豊穣神デメトラ】:追加でパンケーキだ! その甘えん坊に今すぐ特大の甘いホットケーキを食わせてやれぇぇぇ!!

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『神界よりスーパーチャット:100,000ptが寄付されました』

虹色に光り輝く赤スパの嵐。

そして、そんな神々の熱狂など露知らず、ルミア様は俺の腕にぎゅっと抱きついたまま、とろけそうな瞳で見つめてくる。

「ミナトくん……? 早くぅ……♡」

「あ、あ、あのぉぉぉぉぉルミア様ぁぁぁぁぁっ!? 配信! 配信が切れてませんんんんんんんっっっ!!!」

大聖堂の静かな裏庭に、俺の魂の絶叫が木霊したのだった。

第2話をお読みいただきありがとうございました!

記念すべき初ロケからの……前代未聞の配信切り忘れ事故が発生してしまいました!

素顔がバレてしまったルミア様と、天界で大興奮する神々。

次回もお楽しみください。

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