↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
配信切り忘れに気づかない聖女様、裏では俺にベタ惚れなのが神々と異世界中に筒抜けだった件 〜変幻狐と行く異世界ダンジョンお散歩生活〜  作者: 湊月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/48

第17話:王都の食材不足? 豊穣神デメトラ直伝の「現代お好み焼き」開発!

第17話をご覧いただきありがとうございます!

公爵令嬢クラリッサ様が筆頭パトロンに就任し、大聖堂前広場を丸ごと使った「王都屋台グルメフェスティバル」の開催が決定いたしました!

今回はフェスで数千人へ提供する「絶対的看板メニュー」の開発回です!

どうぞお楽しみください。

朝の光が差し込む、大聖堂裏手の宿屋の厨房付きリビング。

本格的なフェス企画会議が始まる前、俺は机の上に小さめの平皿を置き、天界通販で取り寄せた【京都老舗のふっくら甘辛煮込み油揚げ】を丁寧に盛り付けた。

黄金色にふっくらと煮含められた厚揚げから、甘辛い醤油と出汁の香りがふわりと漂う。

「コハク、いつも撮影やロケの先導、ありがとうな。これ、日頃の感謝のお供えだ」

俺が神棚にお供えするような手つきで恭しく差し出すと、ソファーで毛づくろいをしていたコハクがピクッと耳を動かした。

トテトテと机の上に歩み寄り、お皿の上の油揚げをジト目で凝視する。

そして――。

「……違うのじゃ!!」

バシィッ!とコハクの前足が机を叩いた。

「妾(わらわ)は狐の姿をしておるが、安直に油揚げを差し出すでない! 妾は油揚げなどよりも、もっとハイカラで甘〜い洋菓子(スイーツ)が好きなのじゃぁぁぁっ!!」

「ええっ!? 狐って油揚げが大好物なんじゃないのか!?」

「ステレオタイプもいい加減にするのじゃ! ……いや、その油揚げも出汁が染みていて美味そうではあるが……妾が求めておるのは、パンケーキやプリン、シュークリームのようなトロける甘味なのじゃ!」

ぷくーっと両頬を膨らませて抗議する神獣子狐。

胸ポケットの神具スマホのコメント欄が、朝一番から大爆笑の渦に包まれた。

【主神アルト】:テンプレな油揚げお供え草ァ!www

【主神アルト】:神獣ちゃん、現代スイーツの味を覚えて完全にグレててワロタww

【愛の女神フィリア】:あらあら〜♡ 怒るコハクちゃんも愛らしいですわ! 甘いスイーツ、後でたくさん作ってもらいましょうね!

【豊穣神デメトラ】:小娘、その甘辛い油揚げが不要なら我の祭壇へ奉納せんかぁぁぁ!!

「あはは、悪かったよ。後で極上のパフェでも作ってやるから機嫌直せって」

俺が苦笑いしながら頭を撫でてやると、コハクは「うむ、約束じゃぞ」と現金に目を細めて油揚げをペロリと平らげた。

そこへ――トントンと上品なノックの音が響き、リビングの扉が開いた。

「ごきげんよう、ミナト。フェスの打ち合わせに参りましたわ」

すっぴん生ツヤ肌を輝かせたクラリッサが、優雅に扇子を揺らしながら入ってくる。

そのすぐ後ろから、「抜け駆けさせませんよ」とエプロンを持参した聖女ルミア様と、「周囲の安全を確認いたしました」と私服に身を包んだシルヴィアが続いた。

「みなさん、おはようございます。集まってくれてありがとうございます」

俺は3人をテーブル席へ促し、本日の最重要議題を切り出した。

「クラリッサさんのおかげで大聖堂前広場は確保できました。ですが、フェスを成功させるには、何千人もの市民に素早く、安く、そして一度食べたら絶対に忘れられない【看板メニュー】が必要です」

「ふむ……肉の丸焼きやステーキでは駄目なのですか?」

シルヴィアが真剣な表情で首を傾げる。

「ステーキも美味しいですけど、何千食も用意すると肉の調達だけで公爵家の予算でもパンクしちゃいます。それに、冷めると固くなりますからね」

「王都の屋台の定番といえば、硬いパンに干し肉を挟んだサンドか、塩茹での豆スープですけれど……そんなありふれた物では、お祭りになりませんわね」

クラリッサが思案顔で扇子をトントンと顎に当てる。

大量に作れて、原価が抑えられ、回転率が早く、誰も食べたことがない圧倒的な飯テロ――。

俺が腕組みをして頭を悩ませていた、その時だった。

ピロリ〜ン♪と神具スマホの画面が強く輝いた。

【豊穣神デメトラ】:少年よ!! 何を悩む必要があるのじゃ!

【豊穣神デメトラ】:安価で大量に手に入り、腹に溜まり、香気で街中を狂わせる料理……大地の恵みたるキャベツと小麦、そして少しの豚肉を組み合わせた【至高の円盤】を作るのじゃぁぁぁ!!

「大地の恵みの円盤……? ああっ! お好み焼きか!!」

俺は手を打った。

キャベツを主役にすればコストは驚くほど安く抑えられる。

小麦粉を出汁で溶いた生地で量を増やし、豚肉を少し乗せて鉄板で蒸し焼きにすれば、フワフワでボリューム満点の極上鉄板料理になる!

「クラリッサさん、王都の近郊でキャベツと卵は大量に手に入りますか?」

「ええ、北部の高原で採れる『高原甘藍(こうげんキャベツ)』は、シャキシャキとして甘みが強く、今がまさに収穫の最盛期ですわ。卵もアルスハイム家の専属養鶏場から数万個単位で手配できますけれど……草と卵で、本当に人が群がるようなご馳走が作れますの?」

「ふふっ、作れるどころじゃありませんよ。……論より証拠、いま目の前で焼いてみせます!」

俺は腕まくりをすると、天界通販アプリを素早く起動した。

『出汁と山芋たっぷり極上お好み焼き粉』

『国産豚バラ肉薄切り(脂身黄金比率)』

『天かす(イカ天風味入り)&刻み紅生姜』

『濃厚特製ブレンドお好みソース(大容量)』

『特製からしマヨネーズ&青のり&極薄削り鰹節』

光の粒子とともに、調理器具と食材がキッチンへ現れる。

俺はクラリッサに持ってきてもらったみずみずしい高原キャベツを、ザクザクと粗みじん切りにした。

「お好み焼きの命は、キャベツの切り方と空気の含ませ方です」

ボウルにキャベツ、天かす、紅生姜、卵、そして出汁で溶いた生地を合わせ、スプーンで底からすくい上げるようにサックリと空気を含ませながら混ぜ合わせる。

カセットコンロの上にセットした分厚い鉄板に油を引き、生地をこんもりと丸く流し込んだ!

ジュワァァァァァァッ!!

「わぁ……! ジューって良い音がしたよ、ミナト!」

ルミア様が身を乗り出して目を輝かせる。

その生地の上に、薄切りの豚バラ肉を隙間なく敷き詰める。

香ばしい出汁の香りが立ち上り、下側がきつね色に焼けたら――テコを二本差し込み、手首のスナップを利かせて一気に裏返す!

パシィィィンッ!! ジュウウウウウッッッ!!

豚バラ肉が直接鉄板に叩きつけられ、ジューシーな豚脂がパチパチと音を立てて弾け飛んだ。

豚の脂を吸いながら、キャベツが自身の水分でふっくらと蒸し焼きにされていく。

「な……なんという香ばしい脂の匂い……!」

シルヴィアがゴクリと喉を鳴らし、腰の星輝剣の柄から自然と手が離れた。

「仕上げに蓋をして蒸らすこと三分……よし、火が通ったぞ!」

蓋をパカッと開けると、白い猛烈な湯気とともに、二倍近くにふっくら膨らんだ黄金色の円盤が現れた。

再びひっくり返して豚肉の面を上にし、俺は刷毛にたっぷりと【特製濃厚お好みソース】を含ませた。

「いきますよ……!」

ジュワワワワワワワワッッッッッ!!!!

熱々の豚肉の上にソースが触れた瞬間、醤油、果実、野菜、そして秘伝のスパイスが焦げる、暴力的なまでの香気が部屋中に爆発した!

「ひゃうんっ!?!?」

「ぐあああああっ!? な、なんだこの鼻腔を焼き焦がすような甘辛い匂いはぁぁぁっ!?」

クラリッサが扇子を取り落とし、シルヴィアが胸を押さえてよろめく。

そこへさらに、からしマヨネーズを細く格子状に美しく絞り出し、青のりを散らし、最後に極薄削りの鰹節をドサッと載せる!

ゆら〜り、ゆら〜り……。

熱気を受けて、鰹節がまるで生きているかのように鉄板の上で踊り狂った。

「お待たせしました! 特製・関西風豚玉お好み焼き、完成です!」

「うぎゃあああ! 甘味ではないが、我慢できんのじゃ!」

さっきまで洋菓子を要求していたコハクが、一番に切り分けた熱々のピースにかぶりついた!

ハフッ、ハフハフッ……モグモグッ!

「アツッ……! ハフゥッ……んんんんんまぁぁぁぁぁいっっっ♡♡♡」

コハクの七色の尻尾がピーンと直立し、顔面をとろけさせた。

「外側は豚肉がカリッカリに香ばしく、中は山芋とお出汁でフワットロじゃ! 蒸されたキャベツが信じられぬほど甘く、この濃厚な焦がしソースと酸味のある白いタレが絡み合って……脳天が痺れるほどの旨味の津波じゃぁぁぁっ!」

「くっ……毒味は騎士団長の役目! いただきます!」

シルヴィアが小皿に取り分け、フーフーと息を吹きかけてから大口で頬張った。

ルミア様もフォークでハフハフと口へ運ぶ。

ハフッ……ジュワァァァッ……!

「――ッッッ!?!?!?」

二人の動きが完全に停止した。

次の瞬間――

「んふぅぅぅぅぅぅぅ……っ♡♡♡」

ルミア様が両手を頬に当て、トロンとした目でソファーに沈み込んだ。

「あ、温かい……! ソースが甘辛くて、マヨネーズが濃厚で……噛むたびにお肉の旨味とキャベツのお汁がジュワッと溢れてきて……幸せすぎて、意識がふわふわしてきちゃいますぅ……っ♡」

「お、恐るべき兵糧……!」

シルヴィアも顔を真っ赤に染め、額にうっすらと汗を浮かべてハフハフと貪り食う。

「肉の量は少ないはずなのに、生地全体に旨味が染み渡り、パンより遥かに食べ応えがある……! この焦げたタレの匂い、戦場にあれば兵士全員が我を忘れて突撃するレベルですぞ……っ!」

そして、震える手でクラリッサが、恐る恐る一口を口に運んだ。

サクッ……フワッ……ジュワッ。

「あ……あぁ……っ……♡」

クラリッサのエメラルドグリーンの瞳が潤み、艶っぽい吐息が漏れ出した。

「キャベツの甘みと豚の脂を、この濃厚な黒いタレが完璧にまとめ上げて……計算し尽くされた究極の調和……!

これほどのものを広場で焼かれましたら……王都中の民が、匂いだけで正気を失って押し寄せてしまいますわぁぁぁっ!!」

ハフハフ、モグモグと、猛烈な勢いで鉄板を空っぽにしていく美少女三人+一匹。

【主神アルト】:ソースの焦げる音と匂い、画面越しでも飯テロすぎて草ァ!ww

【豊穣神デメトラ】:見たか少年! これぞ大地の恵み! 我の勝利じゃぁぁぁ!!

【愛の女神フィリア】:ふふっ、ハフハフしながらお顔を真っ赤にする皆様、とっても可愛らしいですわ♡(50,000pt赤スパ投下)

『愛の女神フィリアよりスーパーチャット:50,000ptが寄付されました』

「よし……! 屋台フェスのメインメニューは、この【関西風豚玉お好み焼き】で決まりだな!」

俺が力強く宣言すると、満腹で頬を赤く染めた3人が力強く頷いた。

看板メニューは完成した。

次なるステップは――この奇跡の鉄板料理を振る舞うための、神聖なる大聖堂前広場の最終認可。

あの頭の固い「堅物大司教」を攻略するための作戦が、動き出そうとしていた。

第17話をお読みいただきありがとうございました!

次回――第18話は眉間にシワを寄せたお爺ちゃん司教を、ミナトのスイーツでどう攻略するのか……!?

お楽しみに!

ぜひページ下の【ブックマークに追加】や、作品への【★評価】で応援していただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。