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配信切り忘れに気づかない聖女様、裏では俺にベタ惚れなのが神々と異世界中に筒抜けだった件 〜変幻狐と行く異世界ダンジョンお散歩生活〜  作者: 湊月


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第15話:令嬢のお肌の悩み? 日本の極上美肌パックと美容液!

第15話をご覧いただきありがとうございます!

英国王室御用達のダージリン紅茶と宝石マカロンの前に、誇り高きプライドが音を立てて崩壊してしまった公爵令嬢クラリッサ様!

しかし、ミナトの観察眼は彼女の「お肌の深刻なSOS」を見逃していませんでした!

今回は異世界の女性貴族たちを悩ませる肌トラブルを、現代日本の超ハイテク美容アイテムで一撃解決!?

どうぞお楽しみください!

「ふぅ……美味でしたわ。……ほんの少し、口にして差し上げただけですけれど」

桐箱の中のマカロンを最後の一つ(塩キャラメル味)まで綺麗に平らげたクラリッサは、白磁のカップを置くと、わざとらしく優雅に扇子を広げて口元を隠した。

両頬をほんのり桜色に染め、満足そうに瞳をトロンと潤ませている。

俺はその至福の余韻を遮らないよう、穏やかな声で切り出した。

「クラリッサさん、マカロンはお口に合って良かったです。……ところで、単刀直入にお聞きしてもいいですか?」

「あら、なんですの? アルスハイム家の莫大な財力で、このお菓子を専属契約で買い取ってほしいという懇願かしら?」

「いえ。……クラリッサさん、最近お肌がひどく乾燥して、ピリピリ荒れていませんか?」

ピキッ……!

クラリッサの優雅な微笑みが、一瞬で凍りついた。

扇子を持つ白く細い指先が、目に見えてビクッと跳ねる。

「な……ななな、何を根拠のない妄言を口走っていますの!? このわたくしの肌は、アステリア王国中の貴婦人たちが羨望の眼差しを向ける、完璧な白磁の陶器肌ですわよ!!」

「そう強がらなくても大丈夫ですよ。目の下に薄くクマが出てますし、小鼻の横とおでこにファンデーション――あ、白粉(おしろい)の粉浮きが見えます。それに、さっきから頬を扇子で隠しながら、指の背で痒そうにこすってましたよね?」

「うぐっ……!?」

クラリッサが息を呑み、扇子を顔の前から下げられなくなった。図星中の図星だったのだ。

実家で暮らしていた頃、冬場になると妹や母親が「乾燥して肌が砂漠!」「ファンデが粉吹く!」と騒いでいたのを嫌というほど見てきた俺にとって、乾燥肌の初期症状を見抜くことなど朝飯前だった。

カウンターの奥で様子を伺っていたバッカス親父が、髭を撫でながら苦笑いを漏らす。

「おいおいミナト坊主、貴族のお嬢ちゃんにそいつは禁句だぞ……。貴族の女たちが使う白粉は鉱石の粉が入ってて肌が息しにくい上に、落とす時は油でベトベト擦るからな。肌荒れと乾燥は、あいつらの永遠の呪いみたいなもんだ」

「そ、そうですわよ……っ!」

クラリッサが悔しそうにエメラルドグリーンの瞳を潤ませ、唇を噛み締めた。

「シルヴィアの奴は、すっぴんで汗を流して訓練しているくせに、神聖魔力のおかげか毛穴一つない美肌を保っていますのよ……!

わたくしは毎晩、王室御用達の高級オリーブ香油を塗りたくって、擦り込んでいるのに……!

朝起きればカサカサで、お化粧をすればひび割れて……っ! こんなの……こんなの、不公平ですわ……っ!!」

高飛車な仮面が剥がれ落ち、年相応の少女のような切実な叫びが漏れ出していた。

美を競い合う社交界の頂点に立つ彼女にとって、肌荒れは文字通り命を削るほどの重圧だったのだ。

【愛の女神フィリア】:ああああっ……! 分かります、分かりますわクラリッサ様!!(激しく同意)

【愛の女神フィリア】:油を塗りたくるだけの旧時代のスキンケアなんて、毛穴を痛めつけるだけですのよ! 水分! まずはお肌に水分を与えなくてはなりませんの!!

【主神アルト】:愛の女神が急にガチの美容アドバイザーになってて草ァ!ww

【豊穣神デメトラ】:大地の土と同じじゃな。乾いた土に油を撒いても泥になるだけ、まずは清らかな水を染み込ませねば芽は育たん!

神具スマホのコメント欄も、神々の枠を超えて熱い議論が巻き起こっている。

「クラリッサさん。油で蓋をする前に、まずは干からびた肌に『これでもか』というくらい水分と美容成分をゴクゴク飲ませてあげなきゃダメなんです」

「お、お肌に……水分を飲ませる……?」

「ええ。ちょうど良いものがありますから、試してみませんか? 代金はいりません。マカロンを綺麗に食べてくれたお礼です」

俺は天界通販アプリを素早く操作し、日本のドラッグストアとデパコスの叡智を結集した【至高の集中保湿セット】をカートに放り込んだ。

『超濃密ヒアルロン酸&生コラーゲン配合極上うるおいフェイスマスク』

『高濃度セラミド浸透ナノ美容液』

『スチーム温感ホットタオル(ラベンダーの香り)』

ポチッと注文を確定させると、カウンターの上に淡いピンク色のパウチと、小瓶、そして湯気を立てる純白のタオルがふわりと具現化した。

「くふふ……ミナト、妾の出番じゃな!」

コハクが七色の尻尾をくるりと回した。

ポンッ!という軽快な音とともに、手のひらサイズの子狐から、清潔な白いエプロンドレスとナースキャップを被った【ミニエステティシャン少女】へと姿を変える。

「わらわに任せるのじゃ! そなた、そこの椅子にもたれて目を閉じるのじゃ!」

「ひゃっ!? な、なんですの急に……!」

戸惑うクラリッサの首元に、コハクが器用に湯気の立つ温感ホットタオルをそっと当ててやる。

ふわりと広がるラベンダーの鎮静効果のある芳香。

「あ……温かい……。首の後ろがぽかぽかして、強張っていた頭の芯が……ふにゃりと解けていきますわ……」

クラリッサの肩からスッと力が抜けた。

「よし、毛穴がしっかり開いたところで……これです」

俺は銀色のパウチをプチッと開封した。

中から取り出したのは、とろみのある透明な美容液をひたひたに吸い込んだ、シルクのように滑らかな純白のシートマスクだ。

一滴落ちるだけで机の木目を濡らすほどの、圧倒的な保水力。

「クラリッサさん、少し冷たいですよ」

「えっ、そ、その濡れた布は一体――ひゃんっ!?」

ぺたり。

クラリッサの顔の上に、ひんやりとした極上のフェイスマスクが隙間なくピタリと密着した。

「――っっっ!?!?!?」

クラリッサの喉から、声にならない吐息が漏れた。

「つ、冷たい……! けれど……痛くない……!? な、なんですのこの溢れんばかりの水気は……!?

ひたひたと……冷たくて清らかな泉に、お顔全体を浸されているみたい……!

乾いて痛かったお肌の奥深くまで、ごくごく……ごくごくと、潤いが吸い込まれていくのが分かりますわぁぁぁ……っ♡♡♡」

マスク越しでも分かるほど、クラリッサの表情が至福に蕩けていく。

ただ油で表面を固めていただけの異世界の肌に、ナノレベルに微細化されたヒアルロン酸と生コラーゲンの水分爆弾が、砂漠に染み渡る大雨のように浸透していくのだ。

「くふふ、仕上げの美容液じゃ!」

コハクが十滴ほどセラミド美容液を手のひらに取り、マスクの上から優しくハンドプレスしていく。

ペタ、ペタ、と吸い付くような心地よい音が酒場に響く。

「はふぅぅぅ……極楽……これが天界の癒やしですの……? もう、この布をお顔から剥がしたくありませんわ……このまま一生暮らしたいですわぁ……っ♡」

【愛の女神フィリア】:全知全能の水分補給キターーーーーッ!!(100,000pt赤スパ投下)

【愛の女神フィリア】:見てくださいあの密着度! 天界の美の神殿でもあんな贅沢なシートマスクはございませんわ!!

【主神アルト】:公爵令嬢が酒場でパックされて白目剥いてるの草ァ!!www

【豊穣神デメトラ】:小娘の肌がみるみるうちに大地の潤いを取り戻しておるぞ! 見事な手入れじゃ!

『愛の女神フィリアよりスーパーチャット:100,000ptが寄付されました』

十分後。

「はい、そろそろ浸透しましたよ。剥がしますね」

俺がシートマスクの端をつまみ、下から上へとゆっくりと優しくめくり上げた。

ペリリッ……。

その瞬間。

酒場の薄暗い光を浴びて、クラリッサの顔面が「パァァァァァッ!」と発光したかのような輝きを放った。

「お……おいおいおい、嘘だろ……!?」

壁際で見ていたバッカス親父が、目をこすって絶句した。

そこにあったのは、先ほどまでのカサつきや赤みが完全に消え去り――

まるで剥きたてのゆで卵のようにツルリとして、朝露を浴びた花びらのように瑞々しく光り輝く、圧倒的な【生ツヤぷるぷる肌】だった。

「クラリッサさん、手鏡をどうぞ。手のひらで自分の頬に触れてみてください」

「え……? あ……」

クラリッサはおずおずと差し出された手鏡を覗き込み、震える指先で自分の頬をそっと包み込んだ。

ペトッ……モチッ。

指を離すと、吸い付くように肌がモチッと持ち上がり、指を押し返すほどの弾力。

「な……なに、これ……!? わ、わたくしの……お肌……!?」

クラリッサのエメラルドグリーンの瞳から、大粒の涙がポロポロと零れ落ちた。

「柔らかい……! 吸い付くようにしっとりして……乾燥のピリピリ感が、跡形もなく消えていますわ……!

赤みも消えて……毛穴が、毛穴が見当たりませんの……!

こんな……こんな奇跡のような美肌は見たことがありませんわぁぁぁっ!!」

クラリッサは手鏡を胸に抱きしめると、ガバッと勢いよく立ち上がった。

そして、カウンター越しに俺の両手をギュッと力任せに握りしめてきたのだ!

「ミナト!! 貴方、この濡れた魔法の布を……どこで手に入れまして!? 幾らですの!? 金貨百枚!? 千枚!? アルスハイム家の領地を一区画差し上げてもよろしくてよ!!

この布があれば……この布さえあれば、わたくしは王都……いいえ、大陸中の全貴婦人の頂点に君臨できますわ!!」

鼻息荒く、至近距離で詰め寄ってくる公爵令嬢。

さっきまでの冷淡な高飛車っぷりはどこへやら、瞳には血走った熱烈な欲望がギラギラと宿っている。

「落ち着いてくださいクラリッサさん! これは俺の知り合いの通販から取り寄せたものなので、領地なんてもらえませんって!」

「でしたら、わたくしが貴方の筆頭パトロンになりますわ!!」

クラリッサはビシッと指を鳴らすと、背後の私設騎士たちに命じた。

「馬車から革袋を持ってきなさい! いますぐにですわ!」

ドサッッッ!!

カウンターの上に叩きつけられたのは、ずっしりと重い白金貨と金貨がギッシリ詰まった巨大な革袋だった。

「これを受け取りなさい! そして、明日の朝……明日の朝のわたくしの肌の状態を見て、この潤いが続いておりましたら……!

わたくしの名において、貴方を我がアルスハイム家の最高専属顧問として迎え入れますわ! もちろん、あのシルヴィアの鼻を明かすための全面協力も惜しみませんことよ!」

高らかに宣言するクラリッサ。

その頬は、今もぷるぷると瑞々しい光を放ち続けていた。

金髪縦ロールの高飛車ツンデレ令嬢は、日本の至高のフェイスパックの前に、完全なる「最強の太客パトロン」へと堕ちるカウントダウンを迎えていたのだった。

第15話をお読みいただきありがとうございました!

次回――第16話は令嬢の莫大な財力と権力が、ミナトの配信活動にどんな劇的な進化をもたらすのか……!?

お楽しみに!

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