9話:アルカディアの領域へ
穴の中へと飛び込んだ瞬間、世界が反転した。
激しい浮遊感。
目を開けることさえままならない。
まるで、深い海の底へと沈んでいくような、不思議な感覚。
私は、レオンさんの手をぎゅっと握りしめた。
レオンさんも、私の手を握り返してくれた。
その温かさに、私は、少しだけ安心した。
どれくらい時間が経っただろう。
激しい浮遊感は、徐々に落ち着きを取り戻し、体がフワリと宙に浮く感覚に変わった。
私は、恐る恐る目を開けた。
すると…
そこは…
まばゆい光に満ちた空間だった。
光り輝く壁。
きらめく床。
まるで、星屑でできた宮殿のよう。
私は、息をのんだ。
ここは…どこ…?
天国…?
それとも…
夢…?
「…すごい…。」
レオンさんが、私の隣で、感嘆の声を漏らした。
レオンさんの目は、キラキラと輝き、まるで子どものように純粋な好奇心で満ちていた。
私も、レオンさんの言葉に同意した。
ここは…
本当に…
すごい…。
そして…
美しい…。
「…見て…エリア…。」
レオンさんが、指をさした。
私は、レオンさんの指さす方向を見た。
…すると…
…目の前には…
…巨大な…
…水晶玉…
…が…
…浮かんでいた…。
水晶玉は、ゆっくりと回転しながら、様々な色に輝いている。
赤…
青…
緑…
黄色…
紫…
まるで、虹のすべての色を閉じ込めた宝石のよう。
その美しさに、私は、言葉を失った。
「…これは…一体…? 」
私は、レオンさんに尋ねた。
レオンさんは、水晶玉を見つめながら、答えた。
「…わからない…。…でも…きっと…。」
レオンさんは、深呼吸をしてから、言った。
「…アルカディア様の…力…なんだと思う…。」
アルカディア様の…力…?
…そうか…
…ここは…
…アルカディア様の…
…領域…?
「…エリア…。」
レオンさんは、私の目を見つめ、真剣な表情で言った。
「…僕たちは…今…アルカディア様の…領域に…いるんだ…。」
アルカディア様の…領域…?
「…ああ…。」
レオンさんは、頷いた。
「…ルナが…僕に…教えてくれたんだ…。」
「…ルナが…? 」
「…ああ…。」
レオンさんは、頷いた。
「…ルナは…僕に…言ったんだ…。」
レオンさんは、ルナの言葉を真似て言った。
「…《いつか…エリアを…アルカディア様の…元へ…連れて行く時が来る…》…と…。」
「…私を…? …アルカディア様の…元へ…? 」
「…ああ…。」
レオンさんは、頷いた。
「…そして…その時は…きっと…君が…《特別な力》…に…目覚める時…。」
私の…
特別な力…?
一体…?
私は、水晶玉を見つめながら、自分の力について、そして、これから起こるであろう出来事について、思いを巡らせた。




