勇者とメイドさん その90
折り返し。
「歯医者通いも後半です」
「慣れてきたね」
「今回は被せ物の型取りでした」
「じゃあ、次からが本番ね」
今回の所要時間は約三十分、型取りということで、少し長めでした。内訳は形を整えるのに十分、歯の型に十分、上下の噛み合わせを取るのに十分でした。
「歯の形を整えるということで、まず文字通りドリルを食らいました」
「物は言いようだね……」
「ギュインギュイン回るドリルの音が苦手な人は、すごい辛そうだと感じました。十分も続きましたから」
「まさか虫歯削った後で、またドリルとは思わないよね」
その次は温かいものや、風が入ってきました。歯の型を取るためですね。というので、少しの間噛んだりしました。
「覚えているのは、『温かいの失礼しますね』『口の中に風失礼しますね』『冷たいの失礼しますね』です」
「冷たいのもあったんだ」
「噛み合わせを取るために、少し大きい範囲で粘土のようなものを噛みました」
なぜか上の噛み合わせを取る時だけ、目にタオルが掛けられなかったので、噛み合わせ取る時に噛んだのはピンク色だとわかりました。それ以外はわかりませんでしたが。
「そして次ですが、担当医がお盆休みということで、二週間後になりました」
「夏はどこにしろ通うには不向きだね」
「かつ今回の仮蓋は取れやすいということで、ちょっと間が悪いと感じました」
「ドンピシャじゃん。二週間あるのに」
「一応担当医が休みというだけで、取れたら急患で来ていいとのことなので、多分大丈夫です」
食事は右で噛んでいれば大丈夫だと言われたので、大丈夫なはずです。今までも右続きでしたから。
とはいえ少し心配。




