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勇者とメイドさん その84
積乱雲といえば。
「あの積乱雲は……」
「雲がどうかした?」
「いえ、ああいった雲の中には、えてして城が存在しているらしいのです」
「空に城?」
巨大な積乱雲には、その中心部に天空の城があるというのはよく知られた噂ですが、ご主人様は初耳みたいですね。
「この季節はよく出没するそれは、天空の城と呼ばれています」
「でも噂ってことは、一切確認はされてないんだよね?」
「だと思います」
「ふーん」
残念ながら、あの荒れ狂う雲の中に真実を追求しに挑んだ者共は、残らず墜落か行方不明となっています。それだけ真実にたどり着くのは、困難を極めるのでしょう。
「しかしですね、たまに積乱雲から雷が発生するのですよ」
「いや、雲だしそれは普通じゃない?」
「雨も降ってないところで、光る球体が積乱雲の下部から発生したのだとか。それが落下して直撃した地は、広範囲にわたって荒廃を極めたのだとか」
「明らかに雷じゃないよねそれ。中に城あるって言ってるようなもんよね」
やっぱり怪しいですよね。いつの日か、その存在が確認されるとうれしいのですが。城には金銀財宝が付き物ですしね。
その日ご主人様とゲリラ豪雨に見舞われました。
はは、見ろ、人がゴミのようだ! ハハッ! 何をするっ!




