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勇者とメイドさん その82
夜食。
「こんな夜中に何してるの?」
「起こしてしまいましたか。申し訳ありません」
「いや、偶然目が覚めただけだから。けどこんな夜中に台所で何を」
「空腹と葛藤の間で揺れ動いています」
「……」
夜は謎に空腹に苦しめられるので、たまに何か食べようと台所に降ります。しかし太るのも嫌なので数十分迷った挙句、結局何も食べないで戻ります。
「太るの気にするほどじゃないと思うけど。どっちかというと痩せ型じゃん」
「筋肉は重いですよ? そういうことです」
「まあそうだけどさ……」
必要な箇所に筋肉は仕込んでいるため、外見は細くても重さに関しては、これ以上はまずいです。
「メイドさん、ここにカップ麺があります」
「……」
「ここに急ごしらえのサラダがあります」
「……」
「ここにチョコがあります」
「ニキビ」
「わかってるじゃん」
食い気味に反応してしまいました。ニキビで吐くことになるのは衝撃的でしたから、しっかり記憶に刻まれています。故に夜中にチョコはご法度です。
「じゃあ魔術で強制的に寝かせてあげる。空腹は寝て誤魔化すのが一番よ」
「助かります」
次の朝、空腹で一時間早く目覚めたのは、また別の話。
迷ったらとりあえず寝よう。




