勇者とメイドさん その80
勇者欠席。
「……今日もやってますね」
森の奥深くで剣の素振りをする、デュラハンの夫婦と思わしき二人組を発見。あの夢を見て以来、何から始めるべきかを考えた結果、あの夢に一番近しいデュラハンに慣れることから始めてみました。
「今日も修行ですか、精が出ますね」
「……」
「いつも通り見てるだけですから。頑張ってください」
「……」
ご主人様が家を留守にしている間は、ほぼここに来ています。最初は茂みからこっそり観察していたのですが、偶然デュラハンの剣が抜けてこちらに飛んで来たので、前腕で守るために立って構えたらバレました。さすがデュラハン、その時は腕が砕けるかと思いました。
「……」
「……」
「……」
「……」
しかしデュラハンが最初から怖いと感じなかったのは、デュラハンがそういう魔物であると認識しているからでしょうか。人間のパーツが外れてなお動く、という異常事態には恐怖するというのに。
「いつものです。前を開けてください」
「「……(ガパァ」」
「それでは私はこの後用事があるので、お先に失礼しますね。お二人共、この後も頑張ってください」
ある時デュラハンを観察しながら、サンドイッチを食べていると、物欲しそうな目で見てきたので、それ以降ここに来る時はサンドイッチを持参しています。鎧の前がなぜか開くので、毎回そこに格納しています。まあ首が分離しているので、上からの摂取が出来ないため納得ですが。
ただ、ご主人様が他の面で人知を超えた存在かもしれないので、今後も守備範囲は広げていく予定です。
全体では無理でも個人での交流は別よね。




