勇者とメイドさん その74
生命の神秘に触れる?
「ほんとうにありがとう。あなたのおかげで、いまのわたしがあるわ」
「そんな。僕は大したことはしてないさ。ちょっと背中を押しただけだよ」
「いいえ、あなたがくらやみからひきずりあげてくれたから、わたしはここにたっていられるの」
わたしのおんじんである、かれがしゅざいをうけるというから、みとどけたくてついてきたのだ。かれはこんなわたしをしんゆうだといってくれた。ならばわたしも、かれについてあげるのだ。
「一一一で、一一一この管が、一一一一。一一一」
かれはぴあののようなきょだいなそうちをさしながら、なにやらしつもんにこたえていた。そのかおはきらきらとかがやいてみえた。そんなかれが、とつぜんおなかをおさえてうずくまった。
「ぐううぅうっ」
「だいじょうぶ!? おなかいたいの!?」
「大丈夫、恐らく陣痛だから、良い経過をたどっている証拠だから」
きづけばまわりにひとはいなく、きゅうけいしつのようなへやにいた。
「子供を産む際には仕方ないとはいえ、これはね……。ぐあああぁぁあ」
「しっかりして!」
つくえのうえでからだをまるめて、いたみにくるしむかれ。なにもしてあげられないのがかなしくて、なみだがとまらない。
「あ……ああ」
「泣かないで、僕は大丈夫だから」
「だって……あんな、ひきこもりで、おちこぼれの、わた、わたしをたすけてくれたのに…こんなときになにもできないなんて……」
「いいの。これは……僕自身の力で超えなきゃならない壁だから。見守ってて」
「うん」
そうしてかれはうえからさがってるぬのにつかまり、もだえ、べんをはいしゅつしながらいきむ。
「さんじゅっきろでたよ。もうすこしよ」
「そっか……はぁ。じゃあもう少しだね」
したにはなぜかべんのりょうがひょうじされている。そうしてなぜかじぶんには、そのりょうがもうすこしということは、しぜんとりかいできた。なみだはとまらなかったが一一
一一一一
「夢……」
とてもおかしい夢を見ていました。そして目には涙が……。記憶の欠片にもない、傍から見ればおかしい夢でした。意志とは関係なく、心は感動していたみたいですが。しかしこうしてはいられません。なんとなくふわふわしたまま、大切なことをご主人様に確認に向かいます。
「ご主人様、男性は出産できましたっけ」
「何言ってるの?」
肛門から出産は無理があったみたいですね。
ほとんど夢を見ない中でのキチガイじみた夢。




