勇者とメイドさん その73
なぜかじっとり。
「うわっ、部屋の湿度が」
「これでも除湿かかってますよ?」
「嘘でしょ」
「なんかベタベタするのですよね」
雨の降る夜にメイドさんの部屋を訪ねると、除湿がかかってる割にそこそこじっとりしていた。若干変な臭いもするし。自室は問題ないのになぜだ。
「住み始めてからずっとこんな状態ですよ。慣れても不快ではありますが」
「じゃあどうにかしたら」
「原因がわからないので手の打ちようが。冷房で設定温度を下げれば誤魔化せますが、暑くない湿度の高い日は冷房でも無理ですね」
「……」
除湿かかってこれは、ちょっとどうかしてる。解明のために自室までメイドさんの手を引く。
「ちょっと来て」
「はい、しかし同じ住宅なので違いがあるなど……」
「涼しいでしょ」
「何でしょうねこれ」
自室の扉を開けた途端に溢れ出る冷たい空気に、メイドさんが愕然としてる。あの部屋で過ごしてたらこうもなるか。
「待遇からして、建築物が居住人の主従関係を理解していそうですね」
「それだったら自宅ながら嫌な建物だわ。それで二つを比較して、何かわかった?」
「いいえ。広さも変わらず、同じ冷房を利用してこの差です。あの部屋には人知を超えた何か、そんなものが居座っている可能性も否定できませんね」
「収穫なしかー。まあわかり次第解決するってことで、必要な時はこっちの部屋も使っていいよ」
隣の部屋があんな地味に嫌な状態になってたとは。
その日の夕飯はお好み焼きだった。
涼しいけどなぜか湿度高い。




