勇者とメイドさん その69
カタツムリの殻を取ってみたいと思ってた。
「ナメクジ……カタツムリと何が違うのか」
「殻では? あと食用かそうでないかとかも」
「メイドさんでも知らないことは対応できないか」
「そんなこともあろうかと、都合よくナメクジとか生物について書かれた本があります」
「メイドさんなんでもありだね」
ナメクジを見かけたから少し眺めてたら、ふと疑問が湧いてきた。ナメクジとカタツムリは何が違うのか。塩や砂糖で溶けるのは一緒だし、何が違うのか。
「……結論から言いますと、その差は殻の有無くらいみたいです」
「それほとんど同じじゃん」
「いえ、その殻に違いがあります。カタツムリは殻に内蔵などを仕込んでいるらしく、殻を取り上げたら死ぬみたいです。人で例えるならば、肋骨とその中身を抉り出すようなものですかね」
「子供の発想がえげつない結末を生み出していた……」
今まで殻は空洞だと思ってたけど、その認識は違ったらしい。そこまで重要な器官だったとは。
「食用に関しては、専用の畑で栽培されているそうです。基本的にどちらも寄生虫を含んでいるため、野生は食べてはいけませんね。食べた後に昏睡、回復しても首から下が動かない事例が紹介されていますね」
「怖っ。生肉といい、寄生虫は厳禁だね」
「基本的に家庭での生食は控えるべきですね」
エスカルゴと謳って食用にもなっているが、それはほんの一部の管理された個体の話だった。寄生虫取り除くために加熱しようにも、ほぼ水分だからそれも無理な話だし。いや、食べたくはないけどね?
「あとは殻の有無による寒さや暑さ、外敵に強いかくらいの差ですね」
「ほんとに差は殻だけじゃん」
「加えて食用のカタツムリが食べられるのは、カタツムリが巻貝の一種だからだそうです」
ナメクジとカタツムリの差を知るいい機会になった。こうしてまたひとつ、いらない知識が増えた。
その日の夕飯は春巻きだった。
けどほとんど見ないし取ったことはない。




