勇者とメイドさん その68
無機物はUMAに入りますか?
「あっ」
「メイドさんどうしたの?」
「ガチャガチャがなぜこんな所に」
「……しかも『あなたの欲しいものが出てくる』だって? 嘘くさ」
通りを歩いていると突如現れたのは、ガチャガチャ。ガチャガチャすると、カプセルが出てくるアレのことです。一体どこから湧いてきたのでしょうか。
「しかし、欲しいものですか。何が出てくるのか、気になるところではありますね」
「やめた方がいいでしょ。見てよ、これ三百円のやつだし」
「それもそうですね。それを聞いて急にやる気が失せました。帰りましょう」
三百円のガチャガチャほど悪い文化はありません。帰ろうと踵を返すと、視線の先にはさっきのガチャガチャ。いつの間に移動したのでしょう。
「なにあれ」
「そうですね……捕獲してUMAとして然るべき機関に突き出せば、明日から大金持ちになれますよ」
「よし、捕獲するか」
その言葉を理解出来たのか、ガチャガチャはかぶり(?)を振りながら、カプセルをひとつ排出してきました。何でしょうね、あの生き物。
「しかし、あれは意思表示かもしれません。念の為開けてみては?」
「不気味でしかないけど、まあ解決しないだろうし。出てきたのは紙だけど……なになに? 『真実に気づくいい機会だ、悪いことは言わないから三百円入れていくべし』」
「新手の詐欺ですね。帰りましょう、ご主人様」
「ここまで怪しいとね」
今度は邪魔されないよう、即座にご主人様と転移で戻りました。しかしあれは未知との遭遇でした。
「生きたガチャガチャとは……人生何が起こるかわかりませんね」
「いや、あんな珍妙なものは普通に過ごしてれば、人生に一度見るか見ないかくらいだからね?」
ただUMAという括りに入れるなら、あれも雪男とか宇宙人と同列の存在ということに。
三百円のガチャガチャは高いから手が出せない。




