勇者とメイドさん その55
思考がまとまらない。
「メイドさん大丈夫? 眠いの?」
「……はい、瞼が重いとは……こういった状態を指す言葉なのですね……。瞼が重くて上がりません」
「無理しすぎ、ほらおいで。膝枕してあげるから。ついでに耳かきもしたげる」
「うー、あー。すみませ……思考がまとまらな……」
霞がかったであろう頭の中、睡眠不足のメイドさんがこちらに這い寄ってきた。また一晩何をしていたのか。膝にメイドさんを迎えて耳かきをとる。メイドさんは飴耳だった。
「メイドさん大丈夫?」
「ではありません……」
「寝たら?」
「寝たいです」
「もっと耳掃除したら?」
「やりすぎも良くないので、期間を空けているので」
耳かきの感覚でギリギリ起きているメイドさんと問答をする。頭働いてないからか返答がすごい簡単。メイドさんの耳垢は溜まってた。とそこに来客用のベルが鳴った。
「今は手が離せないから、入ってきてどうぞ!」
少し声を張り上げたがメイドさんが覚醒する気配はない。寝不足ってほんと影響するっぽいね。瞼が上がるようになってきたメイドさんだが、その目は虚ろだ。
「ではお言葉に甘えて上がらせていただきます。って、何してるんですか」
「死にそうだったメイドさんひっ捕らえて耳かき」
「死にそうって……ただの睡眠不足じゃないですか」
「言葉のあやってやつですよ」
そこに現れたのは、最近巷で噂されたりされてなかったりする聖女様。何の用で来たんだろうか。
「何かあった?」
「いえ、特には。王様から様子を見てこいと言われまして」
「で、どうよ。今の暮らしを見た感想は」
「仲睦まじそうで何よりです。では、邪魔者は早々にお暇させていただきますね」
「またいつでもおいでねー」
聖女様は突然現れ、風のように去っていった。王様が何を考えてるかは知らないけど、干渉してこないならいっか。
「ほら、メイドさん。反対も」
「うー……」
メイドさんが膝枕の状態で擦り寄ってくる。限界みたいだし、反対もやったらベットに収めた方がよさげかな。
その日の夕飯は天ぷらだった。
瞼も上がらない。




