勇者とメイドさん その46
してんのうリョウの部屋の扉になみのりをする。
「最近東へ向かう冒険者が、行方不明になるケースが多発してるらしいんだけど、メイドさん何か知ってる?」
「東ですか……そうですね、最近こんな噂を耳にしたことはありますか? 元魔王城、その四天王の部屋の入ってきた扉に『なみのり』すると、未知の世界へ行けるとか」
「聞いたことはないけど、なみのり?」
「聞いた限りでは。ただ私もその『なみのり』なる行為が何なのか、どういう原理で未知の世界へ行けるのかは把握していません」
かつてご主人様が倒した魔王、その住居である魔王城なのだから、そのような摩訶不思議な人間には理解し難い現象が発生したとしても、それは魔王配下にとっては普通のことかもしれません。
「そしてこの噂には続きがあります。一度入ったが最後、二度と戻ることが出来ない暗闇の空間に閉じ込められるとか、薄暗い閉ざされた水たまりに通じているとか、戻ることが考えられないような華やかな楽園に通じているとか、はたまた扉にもう一度『なみのり』をすれば、こちらの世界に戻ってこれるとか」
「どれも胡散臭くはあるけど、真実も混ざってそうだね」
「これは事実らしいですが、入ってきた人はほぼ戻ってこれていないそうです。そのため本当に帰還した人がいたとしても、信じられるということも少ないでしょうね。こういったカルトじみたことは、面白おかしい根も葉もない噂が流れるのは常ですし、面白がって向かう人が後を絶たないのでしょうね」
「わざわざ行方不明者が発生してるとこに、行く必要もないだろうに」
「人間なんてそんなものですよ。いつの時代も心霊スポットやらが廃れないのはそういうことです」
ただ、とある伝手から入手した情報によると、あれらの噂は全て事実なのだとか。ただ疑問なのが、なぜ一箇所の入口から別の場所に通じているのか、なぜ閉じ込められるという情報は漏れないはずなのに正しいと言いきれるのか、水たまりや楽園に到達した者はどのように帰還したのか。
事実だと知ったところで謎は深まるばかりですが、それらが正しい以上、近づかないのが賢明でしょう。
2回ほどDSステーションにお世話になりました。




