勇者とメイドさん その44
高すぎるから深くからスタートする。
「ご主人様、既にそこそこ深くまで掘ってますけど、この穴はどこまで掘るんですか?」
「だいたい十メートルくらい」
「まだ先ですね。それよかそんな深くまで降りて、戻ってこれますか?」
「メイドさんは俺を誰だと思ってるのさ。勇者だからね、今となっては終わった話だけど」
私が洗濯物を干しに庭に出てみると、少し離れたところに少し大きめの穴が。その中では、ご主人様が下へ下へと掘り進めていました。十メートルともなると、時間はかかりそうなので、お昼頃にまた様子を見に来ましょう。
「ご主人様ー、生きてますかー」
「……よいしょっと、生きてるよ。ちょうど終わったとこ」
時間をおいて様子を見に来てみれば、ちょうどご主人様が穴から這い出してきました。何やら満足そうにしているあたり、やりたいことは済んだのでしょう。
「この穴は一体」
「下にはタケノコが埋まってるよ」
「タケノコですか」
「そ、タケノコ。じゃ汚れたしシャワー浴びてくる」
「……」
いつの間に用意したのか、穴の傍に「竹栽培予定地」と書かれた看板がありました。竹は二十メートルを超えるとも言われるため、一家庭で栽培するにあたっては、もう少し深く掘ることが正解ですが、約半分の深さにしたその真意は何でしょう。しかし竹ですか。個人で何に使うんでしょう、必要な分だけ使っても余りそうですし。
「え、穴の深さが足りないって? それは大丈夫、調べたところ、約二ヶ月で二十メートル育つらしいから、一ヶ月で回収するならその半分でいいかなって」
「それを聞いて安心しました。十メートルでも穴から出てくると、処理する際に近所迷惑になりかねないので」
「そのうち使うから待っててね」
ご主人様のことです。竹槍にでもするのでしょうか。
家屋よりも圧倒的に高くなるのってすごい。




