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勇者とメイドさん その38

パンはパンでも食べられないパンは?

「メイドさん、パンはパンでも食べられないパンは?」


「パンジャンドラム」


「よし、パンジャンドラム作ろう」


「えっ」



 この平和な世界で唐突にパンジャンドラムを作ると言い始めても、ご主人様はきっと正気です。


「なぜパンジャンドラムを?」


「パンはパンでも食べられないパンは? って聞いて帰ってきた物を作ろうと思ってね。フライパンとかだったら比較的簡単だったろうけど」


「はあ。しかし作るだけ作って、あとはどうするのですか? 処分に困りそうですが」


「それなんだけどね、パンジャンドラムは食べられないパンだけど、食べ物で作ったら食べられるパンだし、食べて処分できるし面白いかなって」


「無駄にしそうなので、せめて構想を練ってからにしましょう」



 無理そうなので早々に諦めさせてしまいましょう。


「まず本体にはそこそこの大きさと強度があって、動力のロケットが引火せず、ある程度複雑な加工が可能な素材が必要です」


「むう、パッとは思いつかない」


「そして肝心の爆薬は食べ物じゃどうしようもありません」


「そこはほら、c4使えば」


「甘いだけで食べられませんよ? その上c4ではパンジャン起爆は無理なので、サクッと諦めてください」


「ぐぬぬ……爆薬は使う時だけ取り付けるでもいいけど、これだと他が無理か」



 たまのこういった無茶苦茶な思いつきは、早めに止めておかないと面倒なことになりますから。ご主人様には悪いですが、もう諦めて……


「じゃあ普通のパンジャン作ろ」


「なぜ」


「当初の予定は、別に食べられないパンジャンでもよかったし。作ったパンジャンは武器としてこっちで保管しておくから、メイドさんは何もしなくていいよ」



 そう言い残してご主人様は、パンジャンドラム作りに出ていってしまいました。最初に私がパンジャンドラムではなく、フライパンと回答していればこんな事には……。いや、パンダと回答していたら、それこそお世話出来ないのに生命を生み出していた可能性がありますね。そういう見方をすれば、まだマシな回答だったかもしれません。




 後日街の倉庫の前を通りかかった時、パンジャンドラムらしき影がチラッと見えましたが、きっと見間違いなので無視しました。

なんだかんだメイドさんもどこかおかしい。

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