勇者とメイドさん その33
継母が意地悪なのは昔からの定番なのかな。
「こうやって久々に目にすると、シンデレラいいよね」
「シンデレラ……ええ、まあ主人公が大成する素敵な話ではありますよね」
「ガラスの靴とかオシャレじゃん?」
「個人的には走ったら簡単に割れそうで、怖いどころじゃないですけどね」
現実的なメイドさん。まあシンデレラの足が血みどろとか、それは嫌だけどね。ただそうだとしても、それを補ってなお余りある素敵要素が。
「かぼちゃの馬車とか」
「城に着く頃にはかぼちゃの臭い染み付きそうですね。ただ内側に身が残っていれば、食べれるので評価します」
「華やかなドレスとか」
「裾引きずって動きづらそうですね。派手なフリフリも苦手なのでこっちは却下」
「かっこいい王子様とか」
「ご主人様がいますので結構です」
「……メイドさんにロマンはないの?」
「そういうご主人様は乙女ちっくですね」
「感受性豊かって言って」
なんというか、そういう存在に憧れてた頃もあったっけ。あの頃からは少し年齢と経験を重ねたせいで、だいぶ擦り切れちゃったけど。
「またひとつご主人様の嗜好がわかったので、今後の業務に取り入れていきますね」
「なんか恥ずかしいからやめて」
(と言う割には、そんなに嫌そうではないですけどね)
その日の夕飯はかぼちゃの煮物だった。
かぼちゃの馬車って気取ってないとこがすき。




